儚き想い、されど永遠の想い
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182部分:第十四話 忍び寄るもの八
第十四話 忍び寄るもの八
それを味わいながらだ。彼は佐藤に話すのだった。
「赤がいいだろうね」
「菓子に酒ですか」
「ワインだったらいけるよ」
「左様ですか。ワインならですか」
「それでどうかな」
「面白いと思います」
ワインと菓子、その組み合わせについてだ。佐藤も答えた。
「それもまた」
「そうだね。じゃあ今度ね」
「そうして召し上がられますね」
「そうしてみるよ。アイスクリームはいいね」
アイスを食べ続けながらの言葉だ。
そして食べながらだ。こんなことも話した。
「それじゃあもう一個貰おうかな」
「もう一つですか」
「うん、それはいいかな」
「一個だけなら宜しいかと」
佐藤は真面目な顔で主に述べた。
「甘いものは過ぎるとよくありませんが」
「それでもだね」
「一個ならばいいです。それにです」
それにだと話すのだった。話ながら店の者を見る。見ればだ。そちらはそちらで二人を見ながらだ。しきりに売りたそうな顔をしていた。
彼のその顔を見てだ。佐藤は義正に話すのだった。
「甘いものはです」
「適度ならだね」
「非常にいいものです」
こう彼に微笑んで話すのだった。
「ですから」
「そうだね。それじゃあね」
「私もそうさせてもらいます」
「君も食べるんだ」
「はい、実は私も」
彼自身もだというのだ。
「この店のアイスは気に入りました」
「そうなったんだね」
「美味です」
やはりだ。それ故にであった。
「これだけの味のアイスはそうはないと思います」
「そうだね。僕もちょっとここまでのアイスは」
「召し上がられたことはありませんか」
「あまりないね。だから余計にね」
「召し上がられますね」
「そうさせてもらうよ」
こうした話をしてだ。二人はだ。
その二つ目のアイスを食べてだ。その味と冷たさを楽しむのだった。
それからだった。義正はだ。
場所は同じだった。だが日を違えてだ。彼は真理にだ。アイスを御馳走した。
立ったままでラフな、ネクタイはしているが比較的楽な格好でだ。彼は白いブラウスの真理に対してだ。まずはアイスの話をするのだった。
「如何でしょうか」
「アイスですね」
「この味はどうでしょうか」
「はい」
微笑んでからだった。真理はだ。
笑顔でだ、こうしたことを言うのだった。
「この味は」
「御気に召されましたね」
「こんな美味しいアイスはです」
「召し上がられたことはありませんか」
「宴の場でも」
どうかとだ。義正に話すのだった。
「そしてレストランでもです」
「ありませんでしたか」
「実はアイス自体がです」
真理はそのアイスを食べながら話すのだった。
「あまり食べたことはなかったです」
「そうだったのですね」
「はい。ですから」
「御気に召されて何よりです」
「では」
真理はだ。食べながらだった。
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