気は優しくて
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第二章
「何でも奈良の鉄道会社を買収してね」
「とんでもない社長を」
「自分のことしか考えない悪徳社長を取り込んで」
「そうしてその会社の列車で来てるらしいよ」
「その会社の京都駅からわざわざ列車を乗り入れて」
「無理矢理にね」
「許せないよ」
マンモスは子供達の教えてくれることに怒りを覚えた。
そうしてだった、子供達に強く約束した。
「絶対に護るから」
「ジャビット団、奈良の鉄道会社からだね」
「大阪を護ってくれるんだ」
「そして僕達も」
「そうしてくれるんだね」
「そうするよ」
絶対にとだ、マンモスはまた約束した。
「何があっても」
「そうしてよ、本当に」
「若しジャビット団が大阪に来たら大変なことになるよ」
「あんな悪い奴等が大阪に入ってきたら」
「もうどんなことになるか」
子供達もわかっていた、彼等が来た時にはどうなるのか。それで大阪への入り口を護るマンモスを信じて彼の活躍を心から願っていた。
京都からの線路の彼方に赤と白の列車が見えた、その列車こそは。
「来た!」
「奈良の鉄道会社の列車だ!」
「ジャビット団が乗っている列車だ!」
「あの列車が来たぞ!」
子供達は駅のホームからその列車を見て口々に言った。マンモスは駅の線路の真ん中に仁王立ちしている、列車が来るその先に。
そのマンモスにもだ、子供達は言うのだった。
「来たよマンモスさん!」
「奴等が!」
「凄い勢いで来るよ!」
「しかも線路を動かしているのは社長だ!」
「ジャビット団と結託している鉄道会社の社長だ!」
見れば悪代官の如き顔のスーツ姿の男が列車を動かしていた。そして列車の中にはジャビット団が満載されていた。
「行け鉄金鉄道!」
「今やこの鉄道は我等ジャビット団が貰った!」
「社長は我等の仲間になったぞ!」
「我等の同志になったのだ!」
「そうだ、吾輩は百億円を貰ってジャビット団に寝返った!」
社長も列車を運転しつつ邪悪な笑みで言った。
「社員は全部リストラしジャビット団の者に入れ替えた!」
「そうだ、行け社長!」
「我等と共に大阪を乗っ取るのだ!」
「そして大阪をジャビット団のものにするぞ!」
「我等のやりたい放題の街にするのだ!」
それがジャビット団の目的だった、彼等はひたすら突き進んでいた。だがその列車が突き進む線路の上に。
一匹の蝸牛がいた、マンモスも社長もジャビット団も目がいいので蝸牛に気付いた。だが社長とジャビット団は。
「構うな!」
「そのまま突き進め!」
「蝸牛の命なぞどうでもいいわ!」
「我等の野望の前にはな!」
こう言って列車を進ませる、しかし。
心優しいマンモスは違っていた、蝸牛の命を護る為に。
無意識のうちに突進した、そうして社長が操縦するジャビット団の者達が乗り込んでいる列車をまさに一撃でだった。
線路から遠く彼方へ吹き飛ばした、列車は瞬く間に空高く浮かび上がった。
「な、何だ!?」
「列車が線路を離れたぞ!」
「空高く浮かんだぞ!」
「何が起こったんだ!」
「東淀川マンモスの仕業か!」
社長とジャビット団の面々がそう思った時にはもう遅かった、列車は奈良の鉄道会社の本社ビルまで飛んで行き。
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