儚き想い、されど永遠の想い
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17部分:第二話 離れない想いその二
第二話 離れない想いその二
「それもです」
「駄目なんだね」
「何時までも悩んでも苦しんでも。何にもなりませんから」
「そうだね。それはね」
「憂いは取り払うに限ります」
執事は言った。
「楽しみを見出して」
「楽しみをだね」
「今はです」
執事はここで主にあることを勧めた。その勧めるものとは。
「百貨店にいますから」
「買い物でも楽しもうか」
「そうされるべきかと」
これが主への勧めだった。
「気分転換に」
「そうだね。それがいいね」
義正もだ。彼のその言葉に述べた。そしてであった。
百貨店の中で買い物をはじめた。彼の顔を見てだ。
店員達は態度を畏まらさせてだ。恭しく話すのだった。
「若旦那様、それではです」
「このスーツはどうでしょうか」
「いえ、このコートをです」
「これはどうでしょうか」
「何を買われますか?」
「いや、そんなに気を使わなくていいから」
今度はだ。苦笑いでこう話す彼だった。その周囲の恭しさにだ。苦笑いを浮かべるしかなくてだ。そのうえで彼等に応対するのだった。
「そんなね」
「宜しいですか?」
「あの、しかし」
「やはりここは」
「そうです。若旦那様ですから」
「だからいいよ」
こう言うのであった。やはり八条家の子息、三男であってもそれとなればだ。百貨店の店員達も態度を正しくするしかなかったのだ。
だがその彼等にだ。八条は笑顔で話すのだった。
「今日は仕事で来ているのじゃないからね」
「それはわかっていますが」
「それでもです」
「若旦那様が来られると」
「礼節というものがありますから」
「礼節は素晴しいものだよ」
ここでだ。八条はまだ言う彼等にこう述べた。
「ただ。それはね」
「それはといいますと」
「礼節ですか」
「それのことですね」
「うん。それを僕にだけ向けるのじゃなくて」
それでだではない。彼が言うことはそこにあった。
「他のお客様にも向けるべきだな」
「あっ、確かに」
「他のお客様をおろそかにしては」
「どうにもなりません」
「うん、それは気をつけてね」
このことだった。彼は店員達に言うのであった。
「くれぐれもね」
「わかりました。では」
「それはです」
「肝に命じます」
「しかしです」
それでもなのだった。やはりここでもだった。
「若旦那様にはです」
「礼節があります」
「ですから」
「困ったね。これか」
結果としてだ。苦笑いのままでいるしかない彼だった。
だがここでだ。執事がこう彼に話すのだった。
「旦那様、ここはです」
「どうすればいいのかな、一体」
「受けられるべきです」
これが執事の彼への提案だった。
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