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儚き想い、されど永遠の想い

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158部分:第十三話 運命の告白その二


第十三話 運命の告白その二

 肯定的なものも入れてだ。それで話すのだった。
「そこに加わる色はだ」
「邪なものだけではなく」
「様々なものも加わるのではないだろうか」
 今度はだ。義智だけではなく義正も見て話していた。
「いいものもな」
「いいものをですか」
「そうだ。含まれるのではないのか」
 また言う彼だった。
「そうではないのか」
「では結婚はです」
 そのことについてだ。義智は考えながら述べた。
「全てのはじまりなのですね」
「純白からはじまるか」
「そこからどうした色を付けていくのは」
「二人次第だ」
 そのだ。二人次第だというのだった。
「結婚する二人次第だ」
「それが結婚ですか」
「そうだと考えるがな」
「ですね。言われてみれば」
 義智は考える顔のまままた話した。
「そうなりますね」
「義正もそう思うか」
 ここまで話してだ。義愛はだ。
 義正にもだ。尋ねるのだった。
「結婚はその全てのはじまりだと」
「そうですね。はじまりですね」
「そうだ。はじまりだ」
「二人の」
「人は一人では生きられないものだから」 
 結婚するまでは一人だ。だがそれは決して完全ではないというのだ。
「支那では陰陽だな」
「そのまま男女ですね」
「陽が男で陰が女でな」
「その二つが一つになってこそですね」
「完全だ」
 義愛はこう義正に話す。
「そうなってからがはじまりなのではないか」
「そうですね。そして今はです」
「この舞踏会の場か」
「はじまりですね」
 義正は言った。その舞踏会の白い世界を見ながらだ。
 その白い世界には汚れはない。だがそれ以外のものもなかった。それはこれから備わっていくものだとだ。義正は見ながら思うのだった。
 そう思いながら長兄の話を聞き。そして言った。
「ではです」
「では?」
「今日からです」
 無意識のうちに微笑んでだ。兄達に話していく。
「はじめます」
「?はじめる」
「はじめるとは」
 はじめる話をしてもだった。今の末弟の言葉にはだ。
 二人の兄達は目をしばたかせた。そうして彼に問うのだった。
「結婚か?」
「それをなのか」
「あっ、いえ」
 その失言に気付いてだ。またすぐにだった。
 義正は訂正の言葉を入れた。入れずにいられなかった。
「何でもありません」
「何でもないか」
「そうなのか」
「はい、そうです」
 何とかそれを繕ってからだ。彼は話すのだった。
「ただ。何でもはじまりがあって人は」
「二人で一人だ」
「それは確かだな」
「はい、そうですね」
 内心胸を撫で下ろしながらの言葉だった。
 
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