儚き想い、されど永遠の想い
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139部分:第十一話 断ち切る剣その十三
第十一話 断ち切る剣その十三
「その不安の中でも」
「それでも。嬉しいですね」
「先生は約束してくれました」
その信じていたことが実ってなのだった。
「そのことがとても」
「私達はこのまま進んでいけるのですね」
真理はこうしたことも話した。
「そうなのですね」
「幸せに終わらせて幸せにはじめられて」
義正はそのだ。伊上の言葉をそのまま出してみせた。
そしてそのうえでだ。真理に話すのだった。
「幸せに進められます」
「そうですね」
「そのこと自体が幸せです」
義正はこうも話した。
「とても。幸せなことです」
「何もかもが幸せにできることが」
「それ自体がです」
「そうなりますね」
真理もだった。義正のその言葉にだった。
頷いた。それでだった。
義正にだ。あらためて話した。
「私は二人でいられて」
「はい、そうして幸せにです」
「なれるのですね」
「幸せには一人でもなれます」
ここでこうも言う義正だった。
「ですが一人よりも二人の方がより」
「幸せになれますね」
「そう思います。ですから」
「だからこそ私達は」
「賽は投げられました」
古典的だがだ。この場合はその通りだと言える言葉だった。
「そして私達はその賽に従うだけです」
「そうしてですね」
「行きましょう」
真理に顔を向けてだ。微笑んでの言葉だった。
「是非共」
「そうですね。それでは」
真理も頷いてだった。こうして二人はその賽に従うのだった。
伊上はその二人を見守ってからだ。彼の従者、その老従者に話すのだった。
「いいことだ」
「あの御二人のことですね」
「そうだ。とてもいいことだ」
満足した顔で安楽椅子に座りだ。傍らに立つ従者に話した。
「これで二つの家の対立が終わりだ」
「そうしてですね」
「幸せな一組の夫婦が生まれる」
そのだ。彼等がだというのだ。
「それはとてもいいことだ」
「そうですか。だからですね」
「この時が来るとはな」
目が微笑んでいた。そのうえでの言葉だった。
「来ると信じていたがだ」
「それでもですか」
「そうだ。それが何時になるか」
そのだ。時が来ることについての話もするのだった。
「それは全くわからなかった」
「二つの家の対立が終わるその時がですね」
「人は終わらせる為に努力をする」
この場合についてのだ。具体的な話だった。
「しかしその努力が実るのが何時かはだ」
「それはわかりませんか」
「容易にはわからない」
また話す彼だった。
「人は限りがあるのだ」
「ありますか」
「その能力にはな。人は神ではないからだ」
「神の様に全てのものが見える訳ではないのですね」
「だから人だ」
それでだとも話すのだった。
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