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儚き想い、されど永遠の想い

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132部分:第十一話 断ち切る剣その六


第十一話 断ち切る剣その六

「非常にだ。いいことだ」
「そう仰って下さいますか」
「まず結婚すること」
 最初にだ。そのことを話したのだった。
「それがいい」
「結婚自体がですか」
「浪漫な表現だが愛し合う二人が結ばれることはだ」
「そのこと自体がですね」
「そうだ。非常にいい」
 微笑んでだ。義正と彼の横に座る真理に話してくる。
「是非そうするべきだ」
「有り難うございます」
「そしてだ」
 しかもだというのだった。二人に対して。
「わしのところに話を持って来たこともいいことだ」
「先生ならと思いましたので」
 今度は義正がだ。単刀直入に述べた。
「それでなのです」
「そうだな。わしならばな」
「力になって頂けますね」
「そうさせてもらいたい」
 こう答える彼だった。
「わしからもだ」
「そう言って頂けますか」
「そう、是非な」
 こうまで言うのであった。
「そうさせてくれるな」
「御願いします」
 義正は真剣な顔で伊上のその顔を見詰めて話した。
「是非共」
「うむ、それではな」
「はい、それでは」
「そしてだ」
 伊上から話を続けてきた。
「八条家と白杜家の対立は解決しなければならない」
「どうしてもですね」
「そうだ。無意味な対立だな」
「はい」
「そうだ。そうした対立はだ」
 どうかというのだった。そのことも話すのだった。
「何時かは解決しなければならなかったのだ」
「ならなかった、ですか」 
 義正は伊上のその言葉がだ。過去形になっていることに気付いた。
 そしてそのうえでだ。彼に問い返すのだった。
「そうなのですね」
「その時が遂に来たな」
 伊上は微笑みでだ。義正に話した。
 そしてそのうえでだ。真理にも言うのだった。
「白杜の家はじゃ」
「私の家ですね」
「そう、とてもいい家じゃ」
 こうだ。彼女に話すのである。
「貴女の父君のことは昔から知っているが」
「はい、父も仰っています」
「あの人は素晴しい人だ」
「有り難うございます」
「白杜家の棟梁としてだけではない」
 それだけではないというのだ。
「財閥の総帥としても。人としても」
「どの場合でもなのですね」
「見事な御仁だ」
 こうだ。その娘に対して話すのだ。
 こう話してだ。そのうえで今度はだ。義正に顔を戻して話すのだった。
「それは八条家も同じだ」
「私の家もですか」
「君のお父上も立派な御仁だ」
 真理に対するのと同じことを話すのだった。
「まことにな」
「そう言って頂けるのですね」
「やはち八条家の棟梁としても財閥の総帥としても人としても」
 見事だというのである。まずは二人の父からだった。
 
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