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儚き想い、されど永遠の想い

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103部分:第九話 知られたものその九


第九話 知られたものその九

 二人はそのことを思いだしてだ。それで喜久子の話を聞くのだった。
「そうですか。式場でなのですか」
「式を挙げられますか」
「その場所も決まっています」
 それもだというのだ。
「もう。ですから」
「後はその日になるだけ」
「そうなのですね」
「そうです。本当に楽しみで」
 結婚式のことを話していってだ。さらにだ。
 喜久子はだ。その相手のことも話すのだった。
「許婚のその方ですが」
「御主人になられる方ですね」
「その方ですね」
「はい、幼い頃からよく御会いしていました」
 つまりだ。幼馴染みだというのだ。そうした意味でもだ。喜久子にとっては非常に素晴しい相手で結ばれることが嬉しいというのである。
「私より一つ年上の方で」
「お兄様の様な方なのですね」
「本当に」
 その通りだと答える。真理に対して。
「はい、そうなのです」
「左様ですか」
「そうした方とですね」
「お兄様であり」
 喜久子はだ。満面の穏やかな笑顔で二人に話していくのだった。
「そして伴侶となられる方なのです」
「一つではないのですね」
「そうなのです」
 喜久子は真理にまた話した。そうしてだ。
 真理もだ。二人の話を聞き終えてだ。そのうえで己のことを話すのだった。
「あの」
「はい、真理さん」
「何かおありですか?」
「実は私もです」
 勇気を出してだ。そのうえでの言葉だった。
「御相手がいまして」
「そうなのですか。真理さんもですか」
「おられるのですね。そうした方が」
「すいません」
 まずは謝罪の言葉を述べる真理だった。
「今まで隠していて」
「いえ、それは御気になさらずに」
「そのことはです」
 いいとだ。麻実子も喜久子もだ。穏やかな笑顔で真理に話した。
 そうしてだ。再び彼女に言うのであった。
「どなたにも申し上げにくいことがありますから」
「ですから」
「そうなのですか」
「はい、ですから」
「御気になさらずに」
 また話す二人だった。
「それでなのですが」
「真理さんのその方とは」
「一体どなたなのでしょうか」
「その方は」
「神戸におられる方でして」
 まずはそのいる場所からの話だった。彼女達のいるこの神戸のだ。
「ある華族の家の方です」
「華族のですか」
「では。私達と同じですね」
「そうなりますね」
 実は彼女達は皆華族の家である。ただし爵位自体はそれぞれだ。しかし爵位についてはだ。彼女達は殆んど意識せずに交流しているのだ。
 その彼女達はだ。さらに話していくのだった。
「では確かな方なのですね」
「その方は」
「そうです。素晴しい方です」
 そのことも話す真理だった。
「とても」
「よい方に会われてですね」
「御付き合いされていますか」
「そうなのです。ただ」
 ここでだ。真理はだ。
 それまで晴れやかだった顔を曇らせてだった。こんなことを言った。
 
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