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レインボークラウン

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第五百一話

               第五百一話  恐ろしいまでの美人
 小田切君はタロ、そしてライゾウを連れてこの日の夕食の食材を買いに商店街とスーパーを巡っていた。
「博士今日はシーフードか」
「そっちがいいって言ってたね」
「お刺身に天麩羅にカルパッチョにムニエルってな」
「フライもって言ってたね」
「うん、そういうのを食べてね」
 小田切君は一緒に買いものに出ている二匹に答えた。
「お酒は白ワインのつもりだね」
「じゃあ今日買うお酒は白ワインか」
「ストックなかったらね」
「それがないんだよね」
 実際にと答えた小田切君だった。
「博士二日前白ワインかなり飲んでね」
「ストックないんだな」
「そうなんだね」
「だからな」
 それでというのだ。
「白ワインも買うよ、モーゼルね」
「ドイツワインか、モーゼルっていうと」
「そっちなんだ」
「基本ドイツはシーフードはあまり食べないお国だけれど」
 肉類、特に豚肉が多い。海に面している部分があまりなくその海も日本程幸が多くないからである。
「それでもね」
「博士がそっち飲みたいからか」
「それでなんだ」
「うん、お魚には白ワインだからね」
 これが赤ワインだとどうにも合わない。
「だからね」
「白ワインも買ってか」
「それで魚介類も買うんだね」
「そうするよ、勿論君達の御飯も買うから」
「おう、楽しみにしてるぜ」
「美味しいの買ってね」
 二匹は自分達の食事の話にはこれまで以上の笑顔で応えた、そうした話をしつつまずは商店街に向かって歩いていたが。
 小田切君と二匹はここである女と擦れ違った、コーカロイドの雪の様に白い肌と赤い目、そして見事な栗色の長い髪を持ちドレスの様な服を着た美女だった。 
 その美女と擦れ違ってからだ、小田切君は二匹に言った。
「あの人凄い美人さんだったね」
「ああ、何だよあの人」
「あんな奇麗な人見たことないよ」
 ライゾウもタロもこう言う。
「この世の人じゃないみたいな」
「人間離れした感じだったな」
「お肌は雪みたいで目は真っ赤でな」
「生気がない感じがするけれど」
「それでも美人さんだったな」
「有り得ない位にね」
 二匹もこう言う程だった。普段は女性にあまり振り向くことのない小田切君もその美女のことは忘れらくなっていた。


第五百一話   完


               2017・11・26 
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