オズのトト
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第一幕その八
狼についてでした、狼と聞いてトトが言いました。
「僕のご先祖様になるんだよね」
「その通りだよ」
モジャボロはトトのその問いににこりと笑って答えました。
「犬は狼から進化したからね」
「だからだね」
「そこがちょっと信じられない時があるね」
「うん、怖い狼が可愛い犬になったって」
「どうにもね」
ジョージと神宝、そしてナターシャはこう言いました。
「狼はとても怖いから」
「けれど犬は愛嬌があるからね」
「外見は似ている犬もいるけれどね」
「犬は様々な品種改良が為されたのだよ」
モジャボロは狼を怖いという三人にこう言いました。
「そして色々な姿の種類が生まれたんだ」
「トトもそうよね」
ドロシーはここでまたトトを見ました。
「小さい種類よね」
「うん、この通りね」
トトもドロシーの方を見上げて応えます。
「僕は小さい種類の犬だよ」
「毛が多くて長い巻き毛でね」
「狼さん達と全然姿が違うね」
「そうよね」
「こうした種類の犬もいるんだよね」
自分で言うトトでした。
「品種改良されていって」
「そうよね、けれどね」
「狼さん達と全然姿が違うから」
「元はそうだったとはとても思えないわ」
「犬程様々な姿の種類がいる生きものは少ないだろうね」
モジャボロは学者として言いました。
「まさにね」
「というかね」
ここでカルロスが言うことはといいますと。
「狼って怖いの?
「いや、怖いから」
「家畜も人も襲うし」
「物凄く怖いわよ」
ジョージ、神宝、ナターシャの三人はカルロスに反論しました。
「群れを為すし」
「狂暴で頭もよくてね」
「野生の狼はとんでもなく強いよ」
「そうなのかな、ブラジルには狼がいないからね」
だからと言うカルロスでした。
「よく知らないけれど怖いといより恰好いいかな」
「ううん、狼っていうと」
恵梨香は困ったお顔で言いました。
「私はニホンオオカミを思い出したけれど」
「ニホンオオカミはもう絶滅したとされているね」
ムシノスケが恵梨香に応えました。
「外の世界では」
「まだ生きているってお話もありますけれど」
「そうだね、オズの国にはいるけれどね」
「外の世界にはいないですから」
「馴染みがないね」
「はい、ですが怖いっていうイメージはないです」
「ニホンオオカミは特別な狼でね」
ニホンオオカミについてです、モジャボロはこうも言いました。
「森にいて小型でね」
「小さいんですね」
「うん、そして骨格も普通の狼と違うんだ」
「そうなんですか」
「そう、狼とは別の種類と思うにね」
狼と名付けられていてもというのです。
「違うんだ」
「そうだったんですか」
「そして日本の犬は比較的狼に近い外見の種類が多いね」
「はい、言われてみますと」
恵梨香もこのことはわかりました。
「秋田犬も柴犬も甲斐犬も」
「そうだね、その日本の犬達もね」
まさにというのです。
「ニホンオオカミからなっているけれど」
「骨格にニホンオオカミの名残がですか」
「私は見たね、レントゲンで観るとね」
「そうですか」
「これが面白いよ」
実にというのです。
「本当にね、後ね」
「後?」
「送り犬という妖怪が日本にいるそうだけれど」
今度は妖怪のことを話すのでした。
「これはおそらく正体はニホンオオカミだよ」
「そうなんですか」
「山道で人の後ろをつけてくるね」
そうしたことをする妖怪だというのです。
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