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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1931話

 夜、影時間になる前に、俺達の姿は月光館学園の前にあった。

「何だか、影時間にタルタロスに行くのは慣れたけど、こうして下手に夜の学校ってなると……ちょっと違和感があるな」

 月明かりに照らされた月光館学園の姿を見ながら、順平が呟く。

「夜の学校ってだけなら、順平だって最近は慣れてるんじゃないのか?」

 強豪と呼ばれている剣道部に入部した以上、当然ながらその練習量は相当なものだ。
 ましてや、剣道というのは陸上やテニスのように、外で活動する部活ではない。
 であれば、当然ながら暗くなってきたから部活は終了……という感じになる筈もなく、外が暗くなってもまだ練習してるのは珍しくない話だろう。

「んー、アクセルの言う通りではあるんだけど、部活が終わったばかりの頃って、何て言えばいいかな。……そう、例えばまだ学校に活気が残ってるだろ? けど、今の学校にはそれがない。それこそ、いつ幽霊とかが出てきてもおかしくないような……」
「ちょっと順平、止めてよね」

 心底嫌そうにそう言って言葉を止めたのは、ゆかりだった。
 幽霊とか、そっち系が相変わらず苦手らしい。
 シャドウとかを相手にしている時点で、それを疑問に思ってもおかしくないと思うんだけどな。
 もっとも、ゆかりらしいと言えばゆかりらしいが。

「そう言えば、森山さん、大丈夫かしら?」

 このままだと幽霊の、もしくは学校の怪談的な話になると思ったのか、ゆかりが強引に話題を変える。
 だが、森山の名前が出たところで、夜空を見上げていた有里の表情に微かな不満が浮かんだのを、俺の目はしっかりと捉えていた。
 森山の友人が行方不明になったという事で、もしかしたら森山も行方不明になる可能性があるかもしれないと、急遽巌戸台分寮の方で保護する事になったのだ。
 何でも時々どこからともなく声が聞こえてくるとか何とか。
 ……昼休みの会議室でそれを言わなかったのは、恐らく言っても信じられないと思ったから、らしいんだが……まぁ、森山の立場で考えれば、それも分からないではないよな。
 どこからともなく声が聞こえてくる……なんて話を口にしても、良くて戯れ言……下手をすれば薬の禁断症状か何かじゃないかと言われかねない。
 ともあれ、そんな訳で森山は現在巌戸台分寮に保護されてる訳だが、有里にしてみれば、山岸を苛めて今回の出来事を引き起こした森山がそのような立場になっている事が面白くないのだろう。

「どうだろうな。あの寮にいれば、まず安全だと思うがけど。……それより、そろそろ校舎の中に入ろうと思うが、準備はいいか?」

 影時間になる前に校舎に入っておく必要がある。
 現在の時間は、午後11時45分。
 日付が変わるまで……影時間になるまでは、まだ若干の余裕はあるが、それでも出来るだけ早く移動しておいた方がいいのは間違いない。

「こういう時って、アクセルがいてよかったと思うよな」

 順平が呟き、他の者達が同様だと頷く。
 正直なところ、俺もそれは間違ってないと思う。
 もしここに俺がいなければ、まず最初に鍵を必要とする必要があった。
 だが、それは俺がいれば話は変わる。

「じゃあ、行くぞ」

 その言葉と共に、俺を中心として影のゲートが展開。
 そこに身体が沈み込んでいく。
 うわぁ……といったような声が聞こえたような気もしたが、その辺は諦めて貰うしかない。
 そうして、次の瞬間……俺達の姿は、体育館の倉庫の中にあった。

「相変わらず便利な能力だな。……アルマー、一応聞いておくが、この能力を使って犯罪はしていないだろうな?」

 桐条が確認するようにこちらに視線を向けてくるが、俺はそれに肩を竦めてから口を開く。

「犯罪って言えば、今ここにこうしているのも犯罪じゃないのか?」
「う……」

 まさかそう返されるとは思っていなかったのか、桐条が言葉に詰まる。
 もっとも、月光館学園は桐条グループの持つ学校であり、桐条はその桐条グループの会長の1人娘だ。
 そう考えれば、犯罪じゃないのか?

「ともあれ、影時間になる前に無事こうして山岸が閉じ込められた倉庫に入ることが出来たんだ。後は、時間を待つだけだな」

 上の方に填め込まれている窓からの月明かりだけが、唯一の光源だ。
 炎獣で明かりを作るか? と思ったが、どうせもうすぐ影時間なんだし、その辺りを心配する必要はないだろうと判断する。

「それにしても、うちの学校で苛めなどというものがあったとは……正直、信じたくはなかったが」

 無念そうに桐条が呟く。
 真面目な桐条にしてみれば、自分が通い、生徒会長をやっている学校でそのような事になっているとは思いたくなかったのだろう。
 だが、実際に苛めはあった。
 今回は山岸の一件だったが、よく調べれば実際にはまだ他にも同じような苛めがあってもおかしくはない筈だ。
 それが表に出てくるのかどうか、微妙なところだが。

「人がいる限り、悪意というのはなくならないんだろうな」
「しかし、アルマー。それでは……」
「っと、悪いな。話はそこまでだ」

 携帯で時間を確認すると、既に時刻は午後11時59分。
 日付が変わり、影時間になるまで残り1分を切っている。
 こうなると、もうお互いに喋っている時間はなかった。

「それぞれ、影時間になったら何があっても対応出来るように準備をしておくように」

 桐条の言葉に、その場にいる全員がそれぞれの武器を手に、頷きを返す。
 そしてタイミングを合わせるように……次の瞬間、世界は本来有り得ない影時間へと突入するのだった。





「ここは……」

 周囲を見回す。
 影時間に突入し、月光館学園の校舎はタルタロスになった。
 それは間違いないのだが……俺がいたのは、何故か見覚えのあるエントランス。

「アクセル!」
「アルマー!」

 聞こえてきた声に視線を向ければ、そこにはゆかりと桐条2人の姿があった。
 2人揃って戸惑ったような表情を浮かべているのは、やはりここがエントランスだからだろう。
 俺達はつい先程……影時間が始まる直前まで、体育館倉庫にいた。それは間違いない。
 だが、いざ影時間になってみれば、何故か俺達の姿はエントランスにある。
 ……あの体育館倉庫が、タルタロスになるとエントランス? それはちょっと考えにくい。それに……

「順平達は?」
「分からん。このエントランスにはいないようだ。ペンテレシアで調べてみるから、少し待ってくれ」

 そう告げ、ペルソナを召喚して周囲の調査を始める。
 だが……その調査は10秒と掛からずに終わり、首を横に振る。

「駄目だ。あの3人とは全く連絡が取れない。少なくても、ペンテレシアで把握出来る範囲にはいないらしい」
「……そうか」

 桐条の言葉を聞き、ふと嫌な予感を覚える。
 この世界の原作では、果たして今の状況だとどうだったのかと。
 ペンテレシアの探査範囲が限界に近いというのは、以前から聞いている。
 根本的に何か別の手段を用意しなければ、恐らくこれ以上は上の階の探査は出来ないだろうと。
 本来なら……つまり、原作の展開であれば、もしかしてペンテレシアの探索範囲内に他の3人もいたのでは? と、そう思ったのだ。
 影時間になって月光館学園がタルタロスになった時、皆が散らばる影響で原作とは全く違う展開になった。
 そう考えるのは、決して間違っていない筈だ。
 ……勿論、これはあくまでも憶測でしかない。
 そう考えれば、今の状況は……うーん、正直なところ難しいな。
 いや、もう事態が起こってしまった以上、俺達が出来るのは早いところ有里達と合流する事だ。

「となると、どうする? ペンテレシアだったか、桐条のペルソナがより遠くを探査出来るように、もっとタルタロスの上に向かうか?」

 このエントランスから見つける事が出来ないのであれば、より上の階に移動して探索するというのが、最善の行為だろう。
 そう思って告げたのだが、桐条は難しい表情を浮かべる。

「いや……エントランスに誰もいないというのは、色々と不味い。ここにあるターミナルは、一瞬でタルタロスの上層部からこっちに戻ってくる事が可能となっている。であれば……」

 桐条の言いたい事は分かる。
 だが、だからといって、このままここにいない3人を放っておく訳にもいかない……というのだろう。

「けど、じゃあどうする? 俺が探すにしても、結局のところペンテレシアみたいな探査能力はないぞ?」

 正確にはスライムを使えばその階の探査をするのは難しい話ではないのだが、今はそれをまだ隠している。
 ゆかり辺りには教えてもいいのかもしれないが……ともあれ、現在の状況では桐条……正確には幾月に対して俺の能力の全てを知らせるのは危険だと判断している。

「うむ。だが……っ!?」

 ペンテレシアで周囲の警戒をしていた桐条が、急に強張った表情を浮かべる。
 何だ、と周囲を見回す。
 一瞬死神か? とも思ったが、死神が出てくる前なら念動力が危機を教えてくれる。
 だとすれば、死神以外の何かだが……

「ゆかり」
「分かってる」

 名前を呼ぶだけで、ゆかりもすぐに臨戦態勢に入る。
 どこに敵が現れても、すぐにショートボウを撃てるように。

「桐条、出てくるのはどこからだ? シャドウだろ?」
「ああ。……このタイミングで、しかもこのエントランスに出没するのであれば、それは間違いなく満月に出てくるイレギュラーシャドウ。……来るぞ!」

 その言葉と同時に、死神が出てくる時のような感じでシャドウが……イレギュラーシャドウが姿を現す。
 それだけであれば、問題はない。
 この状況でそうして姿を現すのは予想の範囲内の事だったのだから。
 だが……予想と違う点が、1つ。
 それは、姿を現したシャドウが1匹でなかった事だ。

「イレギュラーシャドウが2匹同時にだとっ!」

 驚愕の声を発したのは、桐条。
 有里が寮で倒したというのと、先月のモノレールを乗っ取ったイレギュラーシャドウ。
 そのどちらもが、1匹ずつ出てきた。
 そこから、イレギュラーシャドウは常に1匹ずつ姿を現す……のだとばかり思っていたのだが、実際には違ったらしい。
 実際、こっちの戦力としてペルソナ使いが何人もいるのだから、イレギュラーシャドウもわざわざ1匹ずつ姿を現す必要はないんだよな。
 厄介な事になったな。
 正直、イレギュラーシャドウが1匹であれば、それこそ俺ならすぐにでもどうとでも出来る自信があった。
 だが、2匹となると、1匹を俺が相手をしている間、残りもう1匹を桐条とゆかりでどうにかして貰う必要がある。
 現状最強のペルソナ使いのゆかりだが、それでもイレギュラーシャドウを桐条と2人でどうにか出来るかと言えば……どうだろうな。
 シャドウとの戦いで重要なのは、実力もそうだが相性だ。
 弱点を突かれると倒れるという特性を持っているように、こっちの攻撃を耐える能力を持つシャドウというのも、珍しくはない。
 その辺り……

「桐条、どうだ! あの2匹のシャドウの能力が分かるか!?」
「無理だ、敵の能力か、それとも単純に向こうが強いからか、ペンテレシアではあの2匹の能力を読む事は出来ない!」
「……そうか。なら、取りあえず俺が1匹を倒すから、お前達は何とかもう1匹を相手に持ち堪えてくれ」

 余裕を見せているのか、ゆっくりとこっちに向かって歩いてくる2匹のイレギュラーシャドウを見ながら、俺はゆかりと桐条に告げ……その返事を聞くよりも前に、一気に前に出る。
 どういう訳か、あのシャドウはこっちを侮っているらしい。
 イレギュラーシャドウ同士で情報の共有とか、そういうのはないらしい。
 つまり、完全に別の個体という事なのだろう。
 もっとも、そっちの方がこっちにとって有利なのは間違いないのだが。
 こっちの能力を知らないのであれば、それこそ不意を突くにはこれ以上ない程に便利だ。
 不意を突くというのは、基本的に何度も使える手段ではない。
 情報を共有しているのであればそのような真似も出来ないだろうが……今の状況であれば。
 出てきたシャドウは、風船のように腹が膨れているシャドウと、背が高く細長いシャドウ。
 2匹で1匹という扱いなのか、それとも1匹ずつ2匹なのか。
 そのどちらかは分からないが、とにかく狙うべき相手は風船のようなシャドウだ。
 瞬動を使って敵との間合いを詰めながら、体育館倉庫にいる時から既にいつ戦闘になってもいいように空間倉庫から取り出したゲイ・ボルグを突き出す。
 瞬動の速度と、突きの速度。
 その2つが合わさった一撃は、間違いなく強力な一撃となり……風船のような胴体を貫くのだった。

「よし、やったか!?」

 そう叫び……もしかして今のはフラグか? と思いつくのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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