とある3年4組の卑怯者
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85 緊急学級会
前書き
前回から「不幸の手紙」を題材としているため、今回と次回の内容は大半はアニメ「ちびまる子ちゃん」1期118話「まる子 不幸の手紙をもらう」と被っています(細かい相違点はいくつかありますが)。
藤木が教室に入ると、まる子やとし子、はまじから睨まれた。
(やっぱり不幸の手紙の事で怒ってるんだ・・・!何か文句言われたらどうしよう・・・)
藤木は胸騒ぎが収まらなかった。
「たまちゃん、聞いてよ!昨日ね、アタシに藤木から不幸の手紙が来てたんだよ!」
まる子はたまえに昨日の事を話した。
「え!?不幸の手紙!?本当?やだね、最近流行ってるらしいけど・・・」
「不幸の手紙?俺んちにも来てたぞ。藤木からだったぜ」
はまじも話に入ってきた。
「え?はまじのとこにも来てたの!?」
まる子は自分だけじゃないと驚いた。
「アンタそれどうしたの?」
「母ちゃんが捨てちゃったぜ。くしゃくしゃにしてポイってゴミ箱にな」
「へえ~、あっさり捨てたんだ」
「私の所にも来てたよ」
とし子も話に入ってきた。
「え、とし子ちゃんとこにも!?」
「うん、私怖くなっちゃったけど、お母さんが大丈夫だって言ったから出さなかったけど、今もそわそわしてるんだ」
「そーか、手紙には四人ってあるから俺とさくらと土橋で三人だからこりゃあと一人いるな」
その時、教室に誰かが入ってきた。丸尾だった。
「後の一人はズバリ、ワタクシでしょう・・・!」
「丸尾、顔がやつれてるぜ・・・」
「それはもちろん、私昨日不幸の手紙の事で私は勉強に集中できず、夜も眠れなかったのです!!この学級委員のワタクシに不幸の手紙を送るなど大胆不敵!!」
そして藤木を指差した。
「藤木君、今こそ私の力を篤とお見せ致しましょう・・・!!フッフッフッフッフ・・・!!」
丸尾は怒りと恨みが籠った表情をしていた。
(う・・・、ど、ど、どうしよう・・・!!)
藤木は恐怖に浸っていた。その場にいたリリィは不幸の手紙の意味が分からず、何なのか丸尾に聞いた。
「丸尾君、『フコーのテガミ』って何?」
「それはズバリ、書かれた手紙と同じ事を書いて別の誰かに送り、でないと不幸が訪れるという大変ご迷惑で悪質な手紙でしょう!!」
「そんな、藤木君なんでそんな・・・!!」
藤木はリリィに知られてもはや絶望を感じた。
(どうしよう、リリィに知られた・・・!!)
その時、野口が傍観していた。
「不幸の手紙か・・・、クックック・・・」
こちらはみどりが通う入江小学校。みどりは教室に入り、堀に挨拶する。
「ほ、堀さん、おはようございます」
「おはよう、吉川さん」
「今日、テスト、頑張ります」
「うん、私もスケート楽しみだわ。そういえば私、転校前にも冬になると友達とスケートしに行ってたわね」
「そうなんですか?」
「うん、スケートが得意な友達もいて、ジャンプやスピンもできてたの」
「凄いですね!私もその人と会ってみたいです」
「ええ、いつか会えるといいわね」
入江小学校の3年4組のクラス。怒りの形相を剥き出しにしている丸尾が教卓の前に立っていた。
「今日の朝の会は緊急学級会を開きます。ズバリ、藤木君、起立してください!!」
「は、はい・・・」
藤木は丸尾によって起立した。
「貴方はさくらさんと土橋さんと浜崎君とそしてこのワタクシに不幸の手紙を送りましたね!?」
「は、はい・・・」
藤木は体を震えさせながら答えた。丸尾もまた怒りで体が震えていた。そして教卓を拳で叩いた。
「何故に、貴方はそんなことをしたのですか!!?許しませんよーーー!!!かーくーごー!!」
丸尾は怒り狂った。藤木は丸尾の怒りに圧倒された。
(ひ、ひい~、助けて~!!)
藤木は恐ろしくなった。しかし、誰も藤木に味方する者はいなかった。
「はい」
まる子が挙手した。
「さくらさん・・・」
「私も昨日はさんざん気にしました。お父さんはそんな手紙出す人は大バカだと言っていました!」
まる子はそう言って座った。藤木は泣き出してしまった。
「う、う・・・ご、ごめんなさい、俺、自分の所に・・・不幸の手紙が来て、それで、不幸が来るのが怖くて、うう、うう・・・、出してしまったんです・・・うう・・・!!」
「まあ、まあ」
その時、戸川先生が介入した。
「先生、ズバリ甘やかしすぎでしょう!」
丸尾は戸川先生の対応に抗議した。しかし、戸川先生は教卓の前に立つ。
「藤木君、もう座ってもいいですよ。丸尾君も席に戻ってくださいね」
丸尾は気に食わずに自分の席へと退いた。藤木は着席後も泣き続けた。
(藤木君、あんな酷い事する人だなんて思わなかったわ!もう顔も見たくもない!!)
リリィは藤木への怒りに満ちていた。
(藤木君・・・、じゃあ、昨日は不幸の手紙の事でそわそわしてたの?!そんな陰険な事するなんて酷いわ!!)
笹山も複雑な表情をしていた。戸川先生は皆に不幸の手紙についてのコメントをする。
「藤木君は自分の所に不幸の手紙が来て気が動転してしまったんですね。不幸の手紙が来たら気にしないですぐに捨ててしまうのが一番ですよ」
「はい、わかりました・・・」
「皆さんも不幸の手紙が最近出回っているようですが、信じないようにしてくださいね」
こうして戸川先生の寛大な措置によって授業に入った。
みどりと堀は矢部や麦田など他の女子達とテストに出る範囲の確認をしていた。
「ここが出てきそうね」
「私、この漢字上手く書けるか自信ないわ」
今までのみどりならこうやって輪の中に入る事は出来なかっただろう。しかし、堀がいつも皆と打ち解けられるようにしてくれた。その為、内気になる事もなかった。そしてみどりも自分の意見を言おうとする事ができた。
「私、すごい勉強しました。この漢字はこう覚えましたね・・・」
「あ、先生入って来たわ。席戻ろう」
みどりは以前よりも学校生活が楽しいと感じる事ができるのだった。
(よし、今日を乗り切ったら後は楽しいスケートが待ってるわ!そうしたら・・・)
みどりは好きな男子の顔が思い浮かぶ。
(藤木さんと会えるかもしれない・・・。そうすれば私にとって最高の日になるわ・・・)
みどりは放課後の楽しみにワクワクするのであった。
後書き
次回:「不幸」
不幸の手紙を出した事で皆から非難される藤木。友人だったはずの永沢や山根からは絶交を言い渡されてしまい、リリィや笹山からも嫌われてしまう。全てを失った藤木が向かう場所は・・・。
一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!!
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