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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1929話

 タルタロスの中で山岸を探したが、結局見つからなかった翌日の朝、少し早い時間に学校の会議室に俺達の姿はあった。
 現在、午前8時少し前。
 いつもであれば、まだ寝ているか……もしくは寝起きといった時間帯だ。
 普通の学生なら家を出ていてもおかしくない時間だが、俺の場合は基本的に月光館学園の近くまで影のゲートで転移出来るから、通学時間とかは必要ない。
 駅まで移動してモノレールに乗って、それで移動して駅から学校まで歩く。
 そのような時間を、俺の場合は完全に省略出来る為だ。
 まさに、優雅な朝と表現するのに相応しいだろう。
 もっとも、その優雅な朝も毎日だと、それが日常に変化するのだが。

「さて、集まって貰ってすまないな。話す内容は、言うまでもなく山岸の件だ。昨日はタルタロスを全て調べつくす……という訳にはいかなかったが、それでもかなりの場所を探索したのは間違いない。それでも見つからなかったとなると……」

 桐条は言葉を濁す。
 死んだ可能性が高いと、そう思っているのだろう。
 影時間の間だけ出ているタルタロスだが、それでも山岸がいなくなってから1週間近く経っている。
 毎日の影時間を3時間だとすれば、21時間。4時間だと28時間タルタロスで1人という事になる。
 正直なところ、とてもではないが普通の人間に……それも決して運動神経がいいとは思えない山岸に生き残れるとは思えない。
 唯一の救いは、山岸が非常に臆病な性格をしているという事か。
 場合にもよるが、今回のように1人だけで全く訳の分からないタルタロスのような場所にいるのであれば、臆病な性格の方が生き残る確率は高い。
 これでもし山岸が好奇心旺盛だったり、攻撃的な性格をしているのであれば……そうなれば、シャドウに遭遇してしまう可能性が高いだろう。
 そして普通の人間がシャドウと遭遇した場合、対処するのはまず無理だ。
 ……いっそ、影時間になったということで象徴化だったか? それになって、棺になってくれていれば、安心なんだが。
 基本的にシャドウは棺には攻撃をしないし、棺になっていれば時間の経過とか考えなくてもいい。
 もっとも、影時間の間しか出てこないタルタロスの中で棺になっていたら、影時間が解決しない限りはずっと行方不明って気がしないでもないが。

「探し方が悪かった、とかじゃないですか?」

 桐条の言葉に対して、最初に口を開いたのはゆかり。

「探し方が悪い? だが、機械の類が殆ど使えない以上、どうしても人の手で探すしかないと思うが?」
「あ、ごめんなさい。そういう意味じゃなくて……えっと、私達がタルタロスに行く時って、影時間になってからタルタロスの中に入ってエントランスに行くじゃないですか。けど、山岸さんは……」
「っ!? そうか、山岸は学校の中にいる状態で影時間になった。だとすれば、正式なルート……と言っていいのかどうかはわからんが、エントランスではない場所にいる可能性もあるのか!」

 ゆかりの言葉に、桐条は息を呑む。
 ……なるほど。
 それは俺にとってもちょっと予想外の内容だった。
 学校の中にいる状態で影時間になれば、タルタロスではどこにいるのか分からない可能性もあるのか。
 もしかしたら、それこそ本当にもしかしたらだが、タルタロスの最上階付近にいるという可能性も否定は出来ない。
 勿論もの凄く小さな可能性ではあるだろうけど。

「となると……山岸がいつどこで、どうやってタルタロスの中に入ったのか。それが問題になるな」
「だが、それをどうやって知る事が出来る?」

 真田の言葉に、桐条は口を開く。

「山岸を苛めていた者は、全員が行方不明になっている……といった訳ではないのだったな?」

 その視線が向けられたのは、この中では山岸と一番親しい有里。

「はい。1人まだ無事な人がいたと思います」
「ふむ、ではその者に話を聞く必要があるな。……全く、この月光館学園で苛めなど」

 不愉快そうな様子の桐条。
 まぁ、その気持ちは分からないでもない。
 この学校は実質的に桐条が経営している学校だと言ってもいい。
 それだけに……という思いが強いのだろう。

「では、その人物に話を聞く必要があるな」
「そうなると、問題は森山さんだっけ? その人が学校に来ているかどうかよね」

 ゆかりも山岸を苛めているのが誰なのかは知っていたのだろう。
 まぁ、以前それを嬉しそうに話している場面に出くわしたといった話だったし、おまけに隣のクラスだ。
 その辺りを詳しく知っていてもおかしくはない。
 まぁ、まだ無事な人物の名前まで把握しているとは思わなかったが。

「む? そうか。いわゆる、不良というタイプだったな。であれば、学校を休む可能性も高い訳だ」
「あー……不良云々以前に、今の彼女はちょっと学校に来にくいかも。以前、有里君に絡んだ事があって、その件でファンクラブの人達に敵視されるようになったから」
「……なるほど」

 自分にもファンクラブがあると知っているのか、いないのか。
 ともあれ、桐条は納得したように頷く。

「では、これから……はちょっと難しいか。1時限目が終わったら、その森山という人物が来ているのかどうか、見に行くとしよう。こちらからは私が、アルマー、そちらからはどうする?」
「どうするって言われてもな」

 荒垣が現状行方不明な以上、俺とゆかりの2人しかいない訳だが。
 視線をゆかりに向けると、少し考えてからゆかりは口を開く。

「今回はアクセルが行った方がいいと思う。私の場合、下手に向こうも顔を知ってると、いらない揉め事になる可能性もあるし」
「それを言うなら、俺が行っても似たようなものだと思うけどな」

 この場合、下手に男が行くよりも女のゆかりの方がいいと思うんだが。
 だが、ゆかりはやはり首を横に振る。

「桐条先輩も来るんだし、こっちからはアクセルが出た方がいいと思うのよ」
「……アルマー、どうだ?」

 ゆかりの言葉に、桐条が俺に視線を向けてそう尋ねてくる。
 別に絶対に嫌だって訳じゃないんだし、桐条とゆかりがそう言うのであれば、それは別に構わない。

「分かった。じゃあ、1時限目の休み時間になったら行くか」

 そう告げると、桐条が安堵した様子を見せる。
 別にここで俺が断っても、特に何も問題はないと思うんだがな。

「では、休み時間になったら私がアルマーの教室に行く。隣のクラスだったな?」
「ああ」

 そんな訳で、朝の会議はその場で終わるのだった。





 1時限目の授業が終わり、教師も職員室に戻る。
 そうして休み時間になるのを待っていたかのように、教室の扉が開く。

「アルマー、いるな?」

 いきなり教室に現れた桐条に、当然ながらクラス中の視線が集まる。
 桐条は生徒会長であり、桐条グループ令嬢であり、成績は常にトップで運動神経も抜群と、まさに絵に描いたような完璧超人だ。
 それでいて人を見下したような態度を取る事も基本的にはない。
 そのような人物が現れたのだから、この反応は当然だった。
 そして……こちらもまた当然ながら、その桐条が扉を開けると同時に名前を呼んだ俺に視線が向けられるのも、自然の流れだろう。

「ああ」

 周囲からの視線をスルーし、桐条に軽く返事をすると立ち上がる。
 ……勉強会で教えて貰った友近が桐条に何か話し掛けようとするものの、今の桐条が持つ雰囲気からそれは止めておいた方がいいと判断したのだろう。
 立ち上がり掛けるも、すぐにまた椅子に座っているのを目にする事が出来た。
 そうして教室を出ると、俺と桐条は特に何も言葉を交わさず、隣のクラスに移動する。
 こちらでも既に授業は終わっていたらしく、教室の中からはざわめきが聞こえていた。
 そんな教室の扉を、桐条は一切の躊躇いなく開け、口を開く。

「森山夏紀はいるか?」

 ここでも俺のクラスと同じように、いきなりの有名人の登場で生徒達の視線が桐条に集まる。
 ……あ、いや。視線の幾つかは俺にも向けられているな。
 まぁ、俺の場合は何故桐条と一緒に俺がここに? といった視線なんだろうけど。

「あの、森山さんなら、授業が終わったらすぐに職員室に行きましたけど」

 近くにいた女が、桐条にそう告げてくる。
 この女は……有里のファンクラブの一員だったような気がする。
 だからこそ、有里と仲がいい俺と……そして俺と一緒にいる桐条に親切に教えてくれたのだろう。

「む、職員室に? 一応早めに来たつもりだったのだが」
「私達のクラス、1時限目は少し早めに終わったので」
「そうか。ありがとう」

 桐条が笑みを浮かべてそう告げると、その女は頬を赤くして目を逸らす。
 ……おい、お前は有里のファンクラブに所属してた筈だろ?
 そう思ったが……まぁ、桐条には一種のカリスマとかそういうのがあるから、そこまで不思議な事ではないのかもしれないな。

「では、アルマー。職員室に向かうか」
「分かった」

 短く言葉を交わし、俺と桐条は職員室に向かう。
 そうしてやって来ると……

「何でですか! あの2人はいなくなったんですよ! なのに、何で……それに、風花も……」

 その瞬間、そんな声が聞こえてきた。
 恐らく職員室の中に響き渡っていただろう。
 だが、その声を聞いていた人物……江古田は、慌てたように口を開く。

「何か証拠がある訳ではないだろう。特に今の状況で騒ぐ必要はないと、そう言っているだけだ。……ああ、すいません。この生徒は見ての通り多少情緒不安定でして。全くもって困ったもんです。はははは」

 そんな風に誤魔化す江古田だったが、情緒不安定と言われた方の女……俺も以前何度か見た事のある、森山は江古田を睨み付ける。
 だが、江古田は自分がそんな風に睨み付けられているのに気が付いていないのか、今はとにかく場を誤魔化す方が先だと、慌てていた。

「あの生徒か?」
「ああ」

 森山か? と尋ねてくる桐条に、小さく頷く。
 それを確認した桐条は、俺を引き連れて江古田の席に向かって進み始めた。

「失礼、江古田先生。実は少しこの生徒に聞きたい事があるのだが」
「なっ!?」

 自分に話し掛けてきたのが桐条だと知り、江古田は驚きで固まった。
 森山の方も、桐条を見て驚き……そして更に俺の方を見て、より大きな驚きを露わにする。
 まぁ、森山は俺と何度か会った事があるしな。
 おまけにその時には大抵敵対的な態度を取っていたのを考えると、ここで俺と遭遇するというのは向こうにとっても完全に予想外だったのだろう。

「私に、何の用よ」

 それでも驚きで動きの固まっている江古田はそのままに、森山は俺を……より正確には桐条を見て尋ねる。

「単刀直入に言おう。君は山岸風花という生徒を苛めていたな?」

 その言葉は、間違いなく職員室の中に響いた。
 そんな桐条の言葉に森山は黙り込み、江古田は何かを言おうとしては口を閉じる。
 まさか、桐条に……そう、よりにもよってこの月光館学園で大きな権力を持っている桐条に、その事を知られるとは思ってもいなかったのだろう。

「それは……」
「苛めは我が校にはない! 桐条君、君も生徒会長であるのなら、学校の評判を貶めるような真似は止めたらどうだね」

 森山が何かを言うよりも前に、と。
 その言動を封じるかのように、江古田が告げる。
 だが……その態度を見れば、明らかに何か後ろ暗いところがあるというのが明白だった筈だ。
 当然桐条がそれに気が付かない筈もなく、不愉快そうに眉を顰める。

「江古田先生。一応聞くが、山岸風花が最近学校に来ていないのは何故だ?」

 桐条の口から漏れた言葉に、江古田の表情は一瞬固まる。
 だが、次の瞬間すぐに安心させるような――と自分では思っているのだろうが、実際にはゲスの極みのような――笑みを浮かべて口を開く。

「病欠に決まっているだろう」
「……ほう? 病欠か」

 その言葉に桐条は森山に視線を向けるが、その森山は後ろめたいことがあるのか、すぐに視線を逸らす。
 そんな森山の様子を見て、桐条は冷笑を浮かべつつ言葉を続ける。

「実は私は山岸と親交があってな。病欠をしているのであれば、今日の放課後にでもお見舞いに行く必要がある」
「なっ!? そ、それは……止めたまえ!」

 桐条の口から出た言葉に、江古田は何とかそれを止めさせようとする。
 そんな江古田を見て、桐条は軽蔑の視線を向けつつ口を開く。

「何故だ? 私は友人が何日も病欠をしているということで、お見舞いに行こうと思っているだけだが? 何故、それを止めようとする? 何か不味いことでもあるのか?」
「それは……」

 ここにいたって、言い逃れは出来ないと判断したのだろう。
 江古田は山岸は実際は行方不明で、それを隠すために山岸の両親と相談して病欠という事にしていたと白状する。
 そうなれば、当然のように桐条は我慢出来ず……爆発する。

「この、無能が!」

 大勢の教師がいる職員室の中で、1人の生徒に真っ正面から無能呼ばわりされるのだった。
 さて、有里にこの件を知らせれば一体どうなるのか……ちょっと楽しみではあるな。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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