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提督はBarにいる・外伝

作者:ごません
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正規空母・加賀と蒼龍の話

提督「というかそんなに怖がりなら、加賀も怪談話の1つくらいは持ってるんじゃないか?」

瑞鶴「そうだね!加賀さんの怪談聞いてみた~い!」

 ……そうね。皆の期待しているような話とは違うかも知れないけれど。今見てもらって解ったかもしれないけれど、私はお化けや幽霊の類いが苦手です。深海棲艦が嘗ての沈んだ艦の怨霊という話もあるけれど、私が攻撃して沈められるので大して怖いと思った事はありません。

一同『脳筋だ……』

 ただ、お化けや幽霊が出てこなくても不気味というか、変な雰囲気を感じて何とも言えない気持ちになる場所って、あるでしょう?私の場合、執務室横の書斎がそうなの。

飛龍「書斎って……昔の海戦の資料とか纏めてあるあの部屋?」

 そう。仮眠室にもなっているあの部屋。時々資料を纏めたりするのに必要になってあの部屋に入るのだけど、あの部屋の空気というか雰囲気というか、ジメッとしてて苦手なの。

提督「普段締め切ってて空気が篭ってるからじゃねぇのか?空調は回してるが」

蒼龍「でも私もあの部屋の雰囲気苦手だな……」

飛龍「蒼龍は勉強が嫌いだから、本が並んでるのが嫌なだけじゃない?」

蒼龍「なんですと!?」

 ……話に戻ってもいいかしら。

翔鶴「はっ、はい!どうぞどうぞ!」アセアセ

 その書斎の一番奥にある本棚なのだけど、その本棚の前に立って図鑑のチェックや資料の整理をしていると、時々だけれど本棚の奥の壁の向こうから……呻き声のような物が聞こえてくるの。

瑞鶴「ヒエッ……」ゾクッ

赤城「それなら私も聞いた事があるかも……確か、女性が呻くような高い声だったと思いますが」

 えぇ、私が聞いたのもちょうどそんな声だったわ。

蒼龍「もしかして、壁の向こうに怨霊でも封じられてたりして~?」

飛龍「ちょ、ちょっと止めてよ蒼龍!ホントに出て来そうじゃん!」

提督「………………」

翔鶴「どうしたんです?提督。そんな険しい顔をして」

提督「……いや、なんでもない。皆も知ってると思うが、この鎮守府の前身は艦娘量産化の実験施設だ。何処かにまだ見つかってない秘密の通路やら部屋があってもおかしくないと思ってな」

瑞鶴「そう考えると、ちょっと怖いね」

赤城「お化けの出ない現実的ホラーって感じですね」





提督「さて、次は誰だ?」

蒼龍「じゃあ、私が」

 最近、駆逐艦の娘達から聞いた話なんだけど……最近、この鎮守府で『七不思議』が流行ってるんだって。

飛龍「七不思議って……学校のアレ?七つ全部知ると死んじゃうっていう」

 そう、それ。私が聞いたのはね……さっき加賀さんが言ってた『呻き声の聞こえる書斎』と『運動場の日本兵』、それに『血の臭いのする廊下』の話。

加賀「ヒィッ……!」

瑞鶴『加賀さんマジでビビってる。ちょっと可愛いなぁ』

翔鶴「血の臭いのする廊下……ですか?」

赤城「運動場の日本兵の話は、私も聞きました。なんでも、夜中に運動場の辺りを彷徨いているとか」

 そうそう。夜中にトイレに起きた駆逐艦の娘とかが見たらしいんだけど、昔の日本陸軍の格好で運動場の真ん中辺りに立っていたり、その辺を彷徨いてたりするらしいよ。血の臭いのする廊下は、たまにだけど血生臭い匂いが漂ってくる廊下があるんだって。

飛龍「う~ん……幽霊の方は何か目的とか、探し物でもあるのかな?」

提督「しかし、今の所は実害は出てないんだろ?誰かが襲われたとか」

瑞鶴「むしろ幽霊じゃなくて、憲兵さんがコッソリ侵入してるだけだったりして!」

翔鶴「でも、それなら川内さん達警備班の人達が見逃す筈はないでしょう?」

加賀「むしろ憲兵さんであって欲しいわ」ガクガクブルブル

提督「ま、実害が出るまでは放置だな」

加賀「えっ」

提督「万が一誰かが襲われたりしたら、お祓いでも何でも対策を考えるさ」

赤城「廊下の異臭は……下水とかの不調でしょうか?」

提督「そっちは明石や妖精さんに調査を頼むさ」





蒼龍「でも、幽霊って悪さをする物なの?」

提督「あぁ、ほとんどは無害らしいが中にはいるらしいな。この世に怨みを持ってる霊……怨霊とか悪霊って奴だな」

赤城「その口ぶりだと……提督は遭遇した事が?」

提督「あぁ、あるぞ……昔な」

加賀『やっぱり実在するんだ……』ウルッ

飛龍「撃退したの?」

提督「まぁな。拝み屋だとかいう胡散臭いオッサンに聞いた方法だったが」

瑞鶴「ちなみにどんな方法?」

提督「塩を握り込んで殴る、それだけ」

翔鶴「脳筋すぎません!?」

加賀「塩を握り込んで……成る程、ならば艦載機の爆弾に塩を詰め込んで爆撃すれば」ブツブツ

一同『真に受けて実行しようとしてるー!?』

提督「いや、加賀……冗談だからな?」

加賀「ええっ!?」ガーン

瑞鶴「加賀さんて、幽霊が絡むとポンコツになるんだね!」ケラケラ

赤城「ところで加賀さん」

加賀「な、何かしら?」

赤城「こういう怪談話しとかしてると、幽霊が寄ってくるって言いますよね?」ニッコリ

加賀「!?」ビクッ

飛龍「ぶふっ……!」

赤城「加賀さんの周りにうわわわわ~って……」

加賀「あっあっあっあっ」ガクガク

提督「赤城、加賀が発狂しかけてるから止めてやれ……ぷっ」

蒼龍「赤城さん、ドSぅ~www」

加賀「あ、あぁ……何だか怖くないけど寒気がしてきたわ。提督、一緒の布団に入って温めて貰えないかしら?」

提督「やだよ、俺寒くねぇし」

飛龍「提督さんの追い討ち入ったぁ!」ゲラゲラ

加賀「なら実力行使で行くわ」ガバッ

提督「痛たたた、苦しいっつの」

加賀「離さないわ」ギュウウゥゥ

赤城「ズルいです」イラッ

蒼龍「イチャつきおってぇ……」イラッ

飛龍「ギルティ」イラッ

翔鶴「また加賀さんばっかり……」イラッ

瑞鶴『提督さん、加賀さんと仲良くていいなぁ……』

提督「まぁまぁ。後でお前らも相手してやっから」

蒼龍「ほんと!?」

提督「勿論。嫁は平等に愛してるぜ?俺ぁ」

飛龍「やったぁ!」

赤城「ところで怖い話は……」

加賀「まだ続けるの?」

蒼龍「そりゃあねぇ。皆1回はやって貰わないと」

飛龍「あー、私パス。私も話そうと思ってた七不思議の話されちゃったし」

瑞鶴「じゃあじゃあ、今度は私の番だね!この話は、怪談っていうより都市伝説の類いの話なんだけどーー…」













 

 
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