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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1923話

 
前書き
新年、あけましておめでとうございます。
今年も1年、よろしくお願いします。 

 
 36階を攻略した日から数日が経ち、5月29日。
 週末の金曜ともなれば、普通なら喜ぶ者がいてもおかしくない日だろう。
 だが、テストの成績が悪かった者は部活の方でも叱られたらしく、落ち込んでいる者も多い。
 それでも、やはり金曜日という事もあり、喜んでいる者もそれなりにいる。
 言ってみれば、普通の日……と呼ぶに相応しい日だった。
 テストが終わって一段落したというのが、正しいのだろう。
 ともあれ、そんな風に時間がすぎていき、やがて放課後になる。

「じゃあ、アクセル。私は今日部活だからもう行くわね」

 そう告げ、ゆかりが弓道部に向かう。
 既に弓道部のエースとして活躍しているゆかりだけに、部活をサボるという訳にはいかないのだろう。
 ……正直なところ、今更部活をやっても実戦では何の意味もないと思うんだが。
 だが、それでもゆかりにとって、弓道部という場所はそれなりに重要な場所らしい。
 基本的に部活をサボるといった真似をする様子が一切ないのを見ても、それは明らかだろう。

「じゃあ、俺達も部活に行ってくるわ。じゃあな」
「またな、3人共」

 順平と宮本の2人が、剣道部に向かう。
 今週初めから部活に参加し始めた順平だったが、今はもう筋肉痛も大分やわらいできたのか、特におかしな様子はない。
 ……最初の頃は、それこそ筋肉痛でロボットか何かかってくらい妙な歩き方をしたりしてたんだけどな。
 ともあれ、部活に行く連中がいなくなってしまうと、放課後の教室に残されたのは、俺と有里、友近の3人となる。
 いやまぁ、正確には他にも何人かまだ教室の中にはいるんだけどな。
 これから何をして遊ぶかと話している者や、勉強をしなければならないと嘆いている者。伊達政宗に対して恨み言を口にしている者。
 ……最後のは、日本史の教師が伊達政宗フリークというか、伊達家オタクというか、そんな感じで、日本史の授業が影響を受けている事に不満を持っている者達だろう。
 ああ、残っている中には、有里に話し掛けるチャンスを窺っている女も何人かいる。
 だが、有里はそんな事に全く気が付いた様子もなく、立ち上がった。

「じゃあ、僕もこれからちょっと用事があるから」

 それだけを言って、教室から出ていく。 
 すると、遠巻きながら有里に話し掛けるチャンスを窺っていた女達は、残念そうな声を漏らす。

「あいつ、どこに行ったんだ?」
「さぁ?」

 友近がそう俺に聞いてくるが、別に俺だって有里の事を全て知ってる訳じゃない。
 有里はその不思議な……ミステリアスな雰囲気のように、時々よく分からない行動をする事も多いし。
 それでいつの間にか戻ってきてるとか、そういう事もあったりするんだから、不思議なものだ。

「今日どうする? ゲーセンにでも寄っていくか?」

 今日は特にやるべき事はないので、友近にそう尋ねる。
 だが、友近は少し考えてから首を横に振る。

「いや、ちょっと腹が減ったし、はがくれにでも行こうぜ」
「俺は別に構わないけど」

 不味いラーメン屋なら自分から進んで行きたいとは思わない。
 だが、はがくれのラーメンは美味いし、ラーメン以外の料理も、どれも美味い。
 であれば、その店に行かないかと言われて、否と言う筈もない。
 今日は担々麺の気分だな。
 坦々タン麺の方は、まだ注文出来なさそうだし……ああ、でも常連の友近がいれば、注文出来るか?

「なぁ、友近。坦々タン麺って、友近がいれば注文出来るのか?」
「え? あ、うーん……どうだろうな。一応聞いてみるか? ただ、それで駄目だったら、諦めてくれよ」
「ああ」

 友近の言葉に頷き、俺達ははがくれに向かう。
 ……はがくれでは常連の友近がいてくれたおかげか、坦々タン麺を無事頼む事に成功する。
 それとはがくれ丼と焼き餃子を頼み、俺は豊かな一時を満喫する事になるのだった。
 友近は俺がそれくらい食うってのは知っていたので、驚きはしていたが、そこまで極端な驚き方ではなかった。
 この辺り、それなりに付き合いがあるだけの事はある。
 そんな訳で、友近と一緒に軽く腹ごしらえをした後、ゲーセンに行ってちょっと遊ぶことになる。





 夜……いつものように影時間になった頃、俺の姿はゆかりの部屋にあった。
 36階の番人シャドウを倒したという事もあり、少しの間タルタロスの攻略は中止するという事になっている。
 そんな俺が、何故影時間になってゆかりの部屋にいるのかと言えば……単純に、影時間が始まる少し前にゆかりからメールが来たからだ。
 影時間になったら、自分の部屋に来て欲しい……と。
 それだけを聞けば――もしくは見れば――逢い引きか何かの誘いだと思わないでもないだろうが、こうしてゆかりの部屋に漂っている雰囲気は、とてもではないがそのような代物ではない。
 影時間ということで、明かりは夜空に存在する月のみ。
 取りあえずという事で、俺は炎獣を何匹か召喚しておいた。
 そんな炎獣の明かりに照らされたゆかりの表情は、どこからどう考えても悩んでいる……というものだ。
 どうした? と声を掛けるのもいいが、今はそんな事を話すよりも黙ってゆかりの側にいた方がいいだろう。
 そう判断し、俺は特に何も口にせず、ゆかりの部屋の床に座り、壁に背を預ける。
 そして、ゆかりの部屋の中には沈黙が満ちる。
 そのまま、どれだけの時間が経ったのか……そもそも影時間なので時計の類も動いておらず、感じる事が出来るのはあくまでも体感的なものでしかない。
 体感的な感じでは、恐らく10分……もしくはそれ以上だが、20分は経っていないだろう。
 そのくらいの時間が経って、ようやくゆかりが口を開く。

「あのね、アクセル」

 小さい呟き、
 普段の自信に満ちたゆかりの言葉とは比較出来ないような、そんな声。
 俺はそんなゆかりの言葉に、何を言うでもなく視線を向ける。
 俺の態度は、ゆかりにとって悪くはなかったのか、ゆかりはベッドの上に座ったままで数秒黙ると、再び口を開く。

「今日、弓道部があったでしょ?」
「そうだな」

 タルタロスで実戦経験を積んでいる影響で、ゆかりの弓の実力はかなり増している。
 それこそ、顧問よりも上……いや、大会があれば優勝してもおかしくないくらいには。
 そして、弓道部のエースと呼ばれるようになったからか、迂闊に部活を休めなくなった、というのは以前にちょっと聞いた覚えがある。
 後輩の中には、お姉様と呼んでくる部員もいるとか何とか。
 ……お姉様は桐条の方が似合いそうな気がするんだが、まぁ、それはそれか。
 ともあれ、弓道部に真面目に通っているというのは、俺にも理解出来た。
 ただ、ここで弓道部についての話が出てくるという事は、もしかして部活の方で何かあったのか?
 ゆかりのように圧倒的なエースという存在がいれば、やはり当然ながら嫉妬をする者も出てくるだろう。
 もしかしてそっち関係か? と、ふと思う。
 だが、それが俺の考えすぎだったというのは、次にゆかりが口を開いたことではっきりとする。

「それで部活が終わって帰る時、途中で何かを話している女の人達に遭遇したのよ。あれは、多分……隣のクラスの人達だったと思う」
「隣のクラス、か」

 隣のクラスというのは、俺にとってはあまり興味がない。
 一番興味深いのは、有里が山岸と一緒に行動するようになったという事か。
 あの山岸ってのも……よく分からない相手なんだよな。
 苛められているのに納得しているのかと思いきや、有里に助けを求めているようにも思える。
 正直なところ、具体的にどういう奴なのかというのが疑問だ。
 まぁ、有里が自分から進んで山岸と接触しているのを思えば、敢えて俺が何かを言う必要もないんだろうけど。

「うん。それで、有里君が山岸さんと最近仲がいいじゃない」
「……ああ」

 まさか、俺の考えている事が見事にヒットするとは思えず、ゆかりの言葉に驚く。
 となると、ゆかりが元気ないのは、山岸に関係している事なのか?

「その人達、何か山岸さんを苛めてる時の事を、嬉しそうに話してたのよ」
「……なるほど。それでゆかりがそいつらに何か言ったと?」

 もしこれで、ゆかりと山岸が全く面識のない相手であれば、その話の内容を不愉快に思っても、結局はそれだけの話だっただろう。
 だが、ゆかりは既に山岸と出会っている。
 そしてゆかりの性格を考えれば、自分の知り合いを苛めた時の事を面白おかしく話していた相手をそのままには出来ないだろう。

「つまり、その女達に突っかかっていったのか?」

 そう言いながら、山岸を苛めていた相手……というので、何度か遭遇した日焼けした女達の事を思い出す。
 空き教室だったり、俺達の教室の前での騒動だったり。
 その時の事を思えば、多分ゆかりが突っかかっていった相手はあいつらなんだろうなぁ……と。
 だが、そんな俺の言葉に、ゆかりは首を横に振る。

「本当なら、そうするつもりだったわ。実際、もう少しでそうするつもりだったし。けど……その、何でか分からないけど、有里君がいたのよ」
「あー……なるほど」

 そう言えば、放課後に有里が唐突にいなくなった事を思い出す。
 ただ、ゆかりの部活が終わった後となると、恐らく数時間は掛かった筈だ。
 その間、有里が放課後の学校で何をしていたのか……気にならないと言えば、嘘になる。

「で、有里君が山岸さんの事を笑っている人達をじっと見ててね。……結局何も言えないままに、その人達が有里君に気が付いて、その場から離れていったんだ」

 それは無理もないだろう。
 以前に廊下で有里に絡んだ結果、有里のファン達によって、あの女達は思い切り悪者にされてしまった。
 そして有里のファンクラブの面々には素早くその情報が出回り、学校の裏掲示板とかにもその辺りの情報が出回り……現在あの女達にとって、学校というのは決して居心地のいい場所ではない筈だった。
 となると、あの女達が再び有里と絡もうとするか?
 普通に考えて、答えは否だろう。
 もっとも、それだと気が収まらないからこそ、山岸をネタにして笑っていたんだろうが。

「山岸さんの件、どうにかならないかな?」

 なるほど。それが相談の内容か。
 ただなぁ……

「どうにかって言っても、今の時点で既にどうにかなっているような気がするんだが」

 あの女達が学校では周囲の目でちょっと面白くない状態にある以上、何かをしようとしても絶対に他の奴の目に止まる。
 そうなれば、当然のようにまた掲示板とか有里のファンクラブの情報網で出回るだろう。
 そんな状況で、あの女達がわざわざ学校に来るかと言われれば……普通は来ないと思う。
 いや、ゆかりが見た以上は来てるんだろうが、それでも何かをするとは……

「その女達は、山岸に何かをするって言ってたのか?」
「ううん、直接は何も言ってなかったけど……それでも、ああいう風に言ってたのを思えば、もしかしたら何かするかもしれないでしょ。それに、普段から山岸さんを苛めているみたいだったし」
「そっちは、正直……山岸本人が何か行動を起こさない限り、俺達が何をしても無駄だと思うけどな。自分の境遇を変えようと行動に移すのなら、俺も何か協力してもいいと思う。けど、多少の不満はあっても、現状に満足して何も行動を起こさないのであれば、俺達が何か手を出すのは余計なお節介でしかないと思うぞ」

 そう告げると、ベッドに座って窓の外に視線を向けていたゆかりが、改めて俺に視線を向けてくる。

「そうね、アクセルの意見は分からないでもないわ。けど、誰もがアクセルみたいに強い訳じゃないのよ」
「……現状を変える為に行動するのは、強い弱いといった事は関係ないと思うけど?」
「関係あるのよ。……いい? 山岸さんみたいに気の弱い……優しいって言ってもいいと思うけど、そういう子にとって、自分を苛めている人に逆らうような真似をするのは、凄く難しいの。……私はそれを、小さい時に学んだわ」

 その言葉に、そう言えばゆかりの家族は桐条グループによってスケープゴートにされた結果、マスコミに散々叩かれたんだったな、と思い出す。
 その当時、ゆかりはまだ小さく、マスコミや桐条グループといった者達の理不尽な行動にどうにか出来るといった真似は出来なかった。
 ……ただ、それはあくまでも当時のゆかりが小さかったからの話であって、山岸の現状とは違うような気もするけどな。

「残念だが、俺にはあまりよく理解出来ないな」
「ちょ……」
「ただ」

 俺の言葉に、ゆかりが何かを言おうとするのを、強引に口を挟んで止める。
 そんな俺の様子に、ゆかりは少しだけ黙り込む。

「もし山岸が、自分の意思できちんと行動をするのであれば……そうなれば、こっちも手を貸すのを断ったりはしないけどな」

 その言葉に、ゆかりはどこか微妙な表情を浮かべるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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