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華やかと思ったら

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第四章

「俺達が勝てる相手じゃない」
「それじゃあな」
「ここは引き下がるか?」
「そんな化けものが出て来たな」
「そうした方がいいか」
「あの、本当にそうなんですか?」
 別の不良が二人に聞いた。
「お二人共その伝説の」
「昔の話よ」
「それが何か?」
 これが二人の返事だった。
「今の私達はお花屋さんよ」
「そこの店員よ」
「そ、そうですか。わかりました」
 その返事を聞いてだ、彼等も確信した。それでだった。
 不良達はあらためてだ、彼等の間で話をした。
「間違いないな」
「ああ、本人さん達だ」
「この目尋常じゃないしな」
「凄い気迫を感じるしな」
 怯えている素振りは全くなかった、県内で悪名高い彼等を前にしても。
「素手だってのにな」
「俺達の前に出て来たしな」
「こんな気迫だとな」
「マジで相手にしたら」
「まずいぜ」
「それだけでも相当な度胸だしな」
 彼等は不良、喧嘩の中で生きているだけに備わっている相手の強さを見切る独特の本能から察した、そしてだった。
 彼等は二人に頭を下げてだ、こう行った。
「すいませんでした」
「これで下がります」
「そうさせてもらいます」
「もう二度とここで暴れない」
「いいわね」
 二人はその彼等を鬼の目で見つつ応えた。
「商店街の人達にも謝りなさい」
「いいわね」
「わかりました」
 彼等は素直になって二人の言葉に頷いてだった、そうして。 
 大人しく謝ってから姿を消した、その有様を見てだった。
 太志は唖然とした顔でだ、また友人達に言った。
「見たよな」
「ああ、全部な」
「一部始終な」
「見たぜ」
「全部な」
 それこそというのだ。
「凄かったな」
「亀田高校の連中に一歩も引かずにな」
「謝らせたな」
「しかもな」
「ああ、あの話な」
「鬼女姉妹?」
「マジかよ」
「あの人達不良だったのかよ」
 花屋に帰っていく二人を見つつ話すのだった。
「何かな」
「意外だな」
「意外どころかな」
「とんでもない話だな」
「そうだな」
 どうにもというのだ。
「まさかな」
「外見見たらな」
「全然違うのにな」
「しかし本当のことか?」
「気になるな」
 彼等はどうしても信じられなかった、それでだ。
 早紀と梓希のことを商店街で何となく聞いてみた、すると恐ろしいことに彼等の予想は真実だった。
 太志達は自分のクラスでだ、聞いた話をまとめてみて言った。
「本当だったな」
「ああ、桑田中佐久間高の姉妹か」
「従姉妹で大抵一緒にいてな」
「まさに無敗」
「喧嘩をやれば無敵」
「物凄い強さだったみたいだな」
 亀田高校の不良達が恐れて話していた通りにだった。
「自分達から喧嘩は売らないけれど」
「売られた喧嘩は買う」
「それぞれ一人でやる時も勝っていた」
 事情で別々で行動している時に喧嘩を売られた時もだ。
「無傷で勝っていたんだな」
「十人の男が武器持っててこっちが素手でも」
「平気で勝ってたみたいだな」
「それも二人共」
「とんでもない強さだな」
「鬼みたいだな」
「冗談抜きで鬼女だな」
 そこまでの強さだというのだ。
「これは凄いな」
「それでな」 
 ここで太志が友人達に言った。
「お二人の学生時代の画像ゲットしたぜ」
「そんなのあったのかよ」
「今じゃなくてか」
「その伝説の不良時代の時の画像か」
「そういうのもあるんだな」
「ほんの数年前だけれどな」
 二人のその学生時代はというのだ。 
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