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レーヴァティン

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第三十四話 大魔術師ガンダルフその九

「目でルーレットなり相手の目なりを見てね」
「そうしてか」
「やるんだ、賭場だとイカサマは常だけれど」
「こっちの世界でもそうか」
「そのイカサマを逆手に取ってね」
「儲けるんだな」
「賭場じゃね、普通のギャンブルでも」 
 この場合はイカサマでないギャンブルだ、ギャンブルといっても常にイウカサマが関わるかというとそうでもない。
「相手と状況を見てね」
「賭けることか」
「そう、あと戦いは無傷で勝つのがベストだけれど」
「ギャンブルは違うんだな」
「あまり勝ち過ぎると変に思われるからね」
 軽快されるというのだ、胴元なり何なりから。
「だからその賭場で長く儲けたいのなら」
「勝ち過ぎない、か」
「十じゃなくて六分位だね」
「それ位儲けるのがいいんだな」
「そう、ギャンブルは勝ち過ぎない」
 またこう言った淳二だった。
「程々でいいんだ」
「そういうものか」
「そう、こっちの島のトランプなりルーレットでも競馬でもそうだし」
「東の島でも俺達の世界でもか」
「大勝ちはよくないよ」
 とにかくギャンブルではこれを戒める淳二だった。
「出来る限りね」
「怪しまれるか」
「それでイカサマと思われて立ち入り禁止になるか」
「消されるか」
「最悪それもあるから」
 こうした話もするのだった。
「長生きして儲けたいなら」
「ギャンブルは大勝ちするな、か」
「まあ麻雀とかトランプは腕だけれどね」
 そのギャンブルの腕前が生きるというのだ、もっとも久志達の本来の世界の日本では賭博行為は法律で禁止されてはいる。
「パチンコにしても」
「パチンコもか」
「ああいうのは実はギャンブルでもね」
「手前の腕が生きるんだな」
「そう、そこではかなり勝ってもいいけれど」
「やっぱり勝ち過ぎると嫌われるか」
「自分だけ儲けていたらね」
 結果としてそうなってしまうというのだ。
「桜井さんって人は何十年も無配の雀士だけれどね」
「桜井さんって人はそんなに凄いんだな」
「うん、プロだしね」 
 プロの雀士ということだ、こうした世界もあるのだ。
「凄いよ」
「そんな人もいるんだな」
「こうした人と打ったら死ぬよ」
「死ぬか」
「麻雀の卓の上でね」
「漫画みたいな話だな」
「嘆きの竜みたいにね」
 淳二は笑ってこの麻雀漫画の名前も出した、主人公の独特の恰好よさが伝説にさえなっていた。ただ大ヒットしただけではなかったのだ。
「凄いことになるから」
「麻雀も怖いな」
「怖いよ、ちなみにおいら麻雀とトランプが一番好きだから」
「そこで儲けるか」
「お金が必要な時はね」
「こっちの世界じゃカードだな」
「モンスター倒すかそっちで稼いでるよ」
 金が必要な時はというのだ。
「まあ六分、多くて七分でね」
「儲けてるか」
「そうしてるよ」
「ギャンブルは止めた方がいい」
 ガンダルフは久志にギャンブルのことを嬉々として話す淳二に咎める目を向けて言った。
「あれは身の破滅じゃ」
「下手にのめり込んだらね」
「それで破滅した者は多い」
「昔からね」
「勝負に賭けたりしてのう」
「それで魔術師さんはそうしたことは」
「せん、知り合いで本当に破滅した者を見たしのう」
 そのギャンブルでだ。 
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