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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百三十五話 餓鬼その十二

「自分達の思う様に動くならだ」
「もうそれこそ」
「報道の自殺でありだ」
 そしてというのだ。
「犯罪行為だ」
「そこまでなるんだね」
「私はそう思う、そしてだ」
「餓鬼になる様な」
「そんな所業だ」
「じゃあマスコミの人には多いんだね」
「そうした輩がな。そう思う」
 留美さんの言葉はいつも以上に厳しかった。
「許されない連中だ」
「そうだね、ただね」
「ただ、か」
「うん、何ていうか」
 僕はあらためて思って言った。
「腐った人間っている場所にはいるんだね」
「そういうものだろうな」
「マスコミなんかがそうなんだ」
「日本のマスコミは特別酷いという」
「まあね。色々悪い話があるからね」
 マナーも最悪だし悪いことをしても謝らない、それでいて他人には偉そうに言うから最悪だ。
「だからだね」
「そうだ、学校の教師の世界も酷いが」
 マスコミも先生の世界も同じというのだ。
「腐った世界には腐った輩がさらに集まってだ」
「さらに腐っていくんだね」
「そこで餓鬼が育まれるのだろう」
「そんなの育たなくていいよ」
 僕は心から思った、それで言った。
「別に」
「全くだ」
「餓鬼が育たないで」
 あえて仏教の言葉で言った。
「仏様がね」
「育って欲しいか」
「仏教で言うとね」
「それぞれの宗教でそこは違うな」
「うん、けれど仏教だとそうなるよね」 
 餓鬼と対比すべき正しき存在はだ。
「本当にね」
「そうかもな、しかしだ」
「しかし?」
「うむ、仏になることも難しいが」
 しかしとここで留美さんはこう言った。
「餓鬼になることも同じだけな」
「難しいんだね」
「そうした輩、そうした世界にいないとな」
「なれないんだね」
「そう思った」
 こう僕に話してくれた。
「今な」
「そうなんだ」
「うむ、上がることも堕ちることも案外難しい」
「多少は上下出来るね」
「しかし壁がある」
 上にも下にもというのだ。
「その壁を突き破ることは難しい」
「けれど逆に言えば」
「その壁を突き破ればだ」
 それでというのだ。
「人は上がれる」
「そして堕ちるんだね」
「堕ちることは問題外だが」
「上がるにはね」
「壁を突き破らないとな」
「そうだね」
「つくづぐ思う」
 その目を強くさせてまた話してくれた。
「本当にな」
「そうだね」
「ではだ」
「ああ、そろそろ」
「昼休みが終わる」
 そのリミットだというのだ。
「だからだ」
「道場に戻るんだね」
「そうする」
 剣道部のそこにというのだ。
「そしてまた鍛錬だ」
「頑張ってね」
「いい汗をかいてだ」
 そしてというのだ。
「心身を鍛えてくる」
「そうしてきてね」
「それが出来る場所で何よりだ」
「剣道場、そして剣道に部活が」
「そうしたことが出来る場所だ」
 その条件が全て揃っている場所だというのだ。
「いい場所だ、では午後もだ」
「頑張ってきてね」
「そうしよう、しかし今日は何かと話しているな」
「朝もお昼もね」
「こうした日もあるか」
「そうだね」
「ではまたな」
「うん、機会があったらね」
 またこうした話をしようと約束した、この時はまた今度だと思っていた。けれどその時はすぐにやって来た。世の中の出会いというものは本当にわからない。


第百三十五話   完


                   2017・4・8 
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