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おぢばにおかえり

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第四十二話 妹達の誤解その二十二

「そうよね」
「はい、それで旅行に来てます」
「ご親戚には連絡した?」
「何てですか?」
「だからうちにお邪魔してるってことよ」
 私は阿波野君にこのことについても言いました。
「ちゃんと連絡した?」
「まだです」
「じゃあ長くなりそうならね」
「今からですか」
「そう、連絡した方がいいわよ」
「じゃあ今から携帯で」
「そうしてね」
 長くなるならと言いました。
「いいわね」
「そうしますね」
「さもないとご親戚の人が心配するから」
「見知らない場所で何処に行ったんだって思ってですね」
「そうよ、心配かけたら駄目よ」
 何か小さい子に言うみたいだなと思いました、言ってから。
「いいわね」
「先輩の言う通りですね」
「そうでしょ、人に心配はかけない」
 親にも親戚の人達にもです。
「孝行の第一歩って教えてもらったのよ」
「ご両親にですか?」
「いえ、詰所の人にも」
 何年か前にそう言ってもらいました。
「その時の詰所の人にね」
「詰所ですか」
「阿波野君も詰所出入りしてるでしょ」
「はい、毎日じゃないですけれど週に一回か二回は絶対に」
 そうしているというのです。
「お邪魔してます」
「結構多いわね」
「そうですか?」
「そう思うわ、詰所でもすっかり馴染みなのね」
 おみちに本格的に入ったのは高校入学からだというのにです。
「いいわね」
「いいですか」
「ええ、詰所の人達ともお知り合いになることはね」
 いい人達が多いからです。 
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