真剣で納豆な松永兄妹
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第十五章 運も実力の内というやつ
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「いやはや、燕ちゃんのチームも動いたねー」
「まあね。兄ちゃんも上手く動いたね。当たるとしたら決勝戦かな?」
「松永として公式戦で負けるわけにはいかないけど、決勝戦で同じ名家ならどちらが勝っても松永の勝ち。無敗扱いでいいと思う。何より名が挙がるから、決勝までは勝ち登って来なよ」
「はは、兄ちゃんって負ける気全くないね。お互い、優秀なパートナーで良かったね。色々と対策済みなんでしょ?」
「まあね。聞けば直江大和君と冬馬君は一度勝負して冬馬君の方が勝ってるからねー」
まあ出来レースではあったが。
「ふーん。まあ、私は私でうまくやるから兄ちゃんもうまくやりなよ。でも、モモちゃんと戦うの本当に兄ちゃんで大丈夫? アレの調整もしてあるし、勝てる算段は私の方でも出来てるけど?」
九十九髪茄子の事を知らない燕ちゃんの俺に対する優しさに感動。
「ん……。まあ大丈夫。本選始まったからぶっちゃけるけど、俺もおとんに機械作ってもらって今まで装備してたんだよね」
「なんと! 兄ちゃんが私に秘密を持つなんて初めてだね。どういう機械なの?」
九十九髪茄子。
早い話、養成ギブスだ。
気を99%使ってその使用される気をあらゆる負荷に転換し、身体能力と気の向上をさせる鍛錬用装備である。
燕ちゃんに簡単に性能を説明した。
「あ~、だから体調悪そうな感じだったんだ。ま、最近は元に戻ってたけどさ。でも本選当日に外してるって言ってるけどぶっちゃけ、ぶっつけ本番だよね? 大丈夫なの?」
「身体が軽い軽い。百代と戦うまで無駄な消費しなきゃ勝てる。あとはおとんにアノ承認を取れば大丈夫」
九十九髪茄子の他に奥の手がある。
それは、川神百代に使う。
九十九髪茄子のおかげでかなり身体能力と気が向上しているから本選で奥の手を使う事はないだろう。
「じゃ、あんまし二人きりでいると怪しまれるからね。次に合うのは決勝戦で」
「うん。決勝戦で私は棄権するけどね。その言い訳を決勝戦前に大和君に言い聞かせる事でも考えとくね」
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1回戦第1試合、知性チーム対ワイルドタイガーの試合は、燕ちゃんが武田小十郎を一撃必倒で打倒しようとしたが、それを耐えた。
耐久力があるとわかり、すぐさまステイシー・コナーに目標を変更、直江大和を狙っていた所に急所を突いて打倒。
無事に勝利した。
直江大和君は即座に場外へ向かったのは予め考えていた作戦だろう。
殆ど俺達と同じ作戦だ。
「大和君の戦い方は参考になりますね。まあ、彼は銃火器を持っていないですが。そのかわり、大和君は回避だけはうまいですからね」
幼い頃から川神百代のじゃれつきの拳を避けてきただけあって回避だけは非常にうまい。
それは燕ちゃんのお墨付きである。
「ワイルドタイガーの2人は戦力を分散させないで耐久力のある武田小十郎を全面的に盾役として動く、ステイシー・コナーがその後ろから銃火器で応戦、という戦術ならいい勝負できたと思うけど、どっちも前に出る性格が仇になった感じだな」
1回戦第2試合、400万パワーズ対KKインパルスはKKインパルスの勝利。
島津岳人の力に対して不死川心の柔。
柔よく剛を制すとは良く言ったものでぶん投げてた。
長宗我部宗男の方は榊原小雪に蹴り飛ばされていた。
榊原小雪はテコンドーの使い手だった。それも脚の強さだけは相当なモノだ。
燕ちゃんは恐らく不死川心狙いで動くだろう。
1回戦第3試合、地獄殺法コンビ対デス・ミッショネルズはデス・ミッショネルズの2人がダブルラリアットで勝利を決めていた。
ダブルラリアットのタイミングと技に持ち込む動きを突けば燕ちゃんが勝つと思う。
個々で動かれたら負ける可能性が結構高いが、その時は直江大和君の回避能力が重要になってくる。
どちらかを直江大和君に集中させておいてその間に残った方を燕ちゃんが倒すだろう。
そうなった時は板垣辰子の方を狙った方がまだマシか。
注目カードの1回戦第4試合、ザ・プレミアムズ対桜ブロッサム。
鍵を握るのはやはり、葉桜清楚だった。
黛由紀江と那須与一の実力はリングの上という状況下ではほぼ同じ。
超遠距離なら那須与一が。
近接戦闘なら黛由紀江が。
――軍配が傾く。
結局、試合を決めたのは武蔵小杉が那須与一に突撃したところへ入ってきた葉桜清楚のカウンター、両手による突き飛ばしだった。
しかし、黛由紀江の実力を拝めたのは有難かった。
正直、黛由紀江と戦ったとして初見であの剣速を出されたら負けていたと思う。
個人的に注目しなければいけない1回戦第5試合、源氏紅蓮隊対アーミー&ドッグ。
攻撃と支援が完璧に近い。
源義経が前衛アタッカー。それを後衛の椎名京が狙撃で支援する。
弱点らしき弱点が少ない。
まあ対策はあるが。
椎名京が弓使いである事が弱点になる。
連射性能が低い弓矢相手に連射性能の高いマシンガンで対応してもらおう。
1回戦第6試合、ファイヤーストーム対大江戸シスターズ。
まあ、卑怯といえば卑怯だが、風間翔一がクッキー2の飛行装置バーニアパーツを使って大友焔が大筒の砲撃で上空から武舞台であるリングを破壊。大江戸シスターズは実力を出す前にリングアウト負け。
1回戦第7試合、ミステリータッグ対フラッシュエンペラーズ
俺達の予測通り、ミステリータッグの1人は九鬼揚羽であった。
彼女の相方はヒューム・ヘルシングだったのは気で予測できた。
まあ、九鬼揚羽とヒューム・ヘルシングのコンビにフラッシュエンペラーズの2人が勝てるはずもなく、ミステリータッグの勝利。そして、2回戦目は棄権するとの事だ。
予測通りであったが、どうやら俺達には幸運がつきまとっているらしい。
いや、たぶん同じB側にいるあの男のおかげかもしれんが。
「次は1回戦最後の組み合わせとなります! 注目すべきはやはり松永だ! 兄妹揃って予選ではほぼ1人で勝ち抜いております」
さて、行きますか。
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勝たなければいけない
配点:(運も実力の内)
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