真剣で納豆な松永兄妹
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第十三章 若獅子タッグマッチトーナメント予選
若獅子タッグマッチトーナメント開催後章
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――それぞれの想いが交錯する若獅子タッグマッチトーナメントが開催された。
本選出場チームは16枠。
予選では3回勝って通過出来る。
事前調査で、本選まで残ると思われるチームがある。
本選の予測は簡単だ。単純に強いチームだから残る。
義経達は確実に残ってくるだろうし、葵冬馬の言う通りならば、板垣三姉妹も残ってくるだろう。
他には、燕ちゃんや、風間ファミリーの一員も残りそうだと思う。
普通に実力があるから残るチームはこいつらだろうが、策を弄して残るのが無敵童貞軍チームだったり、俺達
智略チームである。
早々に板垣竜兵が予選落ちしてしまい、それを伏兵として対戦相手にぶつける。
一戦目は相手のチームの1人がリングに訪れず不戦勝。
また、会場で参加選手用に販売されている飲み物には即効性の下剤が入っているため運悪く二戦目の相手はそれに当たった為にまたしても不戦勝。
ちなみに、下剤を仕込んだのは無敵童貞軍チームだ。
「さー、川神タッグマッチトーナメント予選では、私川神TVアナウンサー、稲田堤《いなだ つつみ》が実況役で試合をお送りします。解説は武神・川神百代さんです」
リング四方にはマスタークラスである実力者。つまりは壁を超えた強さを持つ川神鉄心達が配置されている。
彼等は、観客に被害が及ばないように完璧に守ってくれると共に、試合を監視しているので試合中にずるをした場合は壁を超えた強さを持つ4人を敵に回すことになると言うことだ。
今の所、俺よりも燕ちゃんの方が圧倒的に目立っている。
その次に九鬼メイドのステイシーとう女の子が水着になった上に、銃火器を使用しており目立っていた。
俺も、燕ちゃんも実戦向きなので稽古より断然強い。
その強さを今の所俺は全く披露できていない。
――予選は順調に消化されていく。
「ついに出番だ!」
「緊張します」
葵冬馬は全然緊張していない感じである。
彼は一応、武装として、マシンガンと拳銃、それに手榴弾を持っているがはっきり言って飾りだ。
これも策の内であり、武装していることである程度彼に注意をしてもらう為である。
「さあ、不戦勝が続いた松永兄の方の試合が始まります。妹の松永燕は瞬殺。兄である松永久秀はどうなるでしょうか?」
「どうだろうな……、相手は3回戦まで残った実力者だ」
アナウンサーの問いに川神百代が答えた。
そして、
「注目の試合開始です!」
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「あっ、という間に終わってしまいましたね。私も大和君と同じく何もしてませんね」
「いや、冬馬の銃火器を少し気にしていたから作戦としては効果があった」
燕ちゃんと同じく、相手を瞬殺。無敵童貞軍チームには悪いが10分もすれば復活するだろう。
「兄妹仲良く相手が勝手に倒れましたー!」
「VTRのスロー再生を見ても同じだな。こことここ。手刀を相手に当てている。明らかに私との稽古より早いじゃないか……。楽しみになってきたぞ」
「これで松永久秀と葵冬馬の智略チーム本選進出です!」
本選で無敵童貞軍チームには働いてもらおう。
ちなみにヨンパチ君はトーナメントに参加したが相手が悪かったと言う事でクラスメイト達の評価が少しだけ上がったらしい。
彼等も俺と同じく2回不戦勝で勝ち上がって来たのだが3回戦はきちんと戦いに出たことが評価に繋がったみたいだ。
「というわけで、松永先輩のお陰で少しばかりクラスメイトからちやほやされたぜ」
「君達は予選落ちしたけど、引き続き協力してもらう。流石に本選残りの実力者には闇討ちは無理だ。とりあえずは本選出場者の情報集めだ」
「わかりました。鉢屋頼むぞ。ついでに隠し撮りしようぜ」
「うむ。心得た……。まずは身内の情報から話そう」
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気をつけるべき相手は、だいぶ絞られた。
攻守のバランスが取れていて優勝候補の源義経と椎名京、源氏紅蓮隊。
パワー特化の武蔵坊弁慶と板垣辰子のデス・ミッショネルズ。
この二組は俺一人で戦うとなると手こずりそうだ。
他には葵冬馬が狙い撃ちされる危険のある那須与一と葉桜清楚の桜ブロッサム、大友焔と風間翔一のファイヤーストーム、銃火器を使用する武田小十郎とステイシーのワイルドタイガーが要注意。
燕ちゃんの方は出来れば決勝まで当たりたくない。
互いにトーナメントでは反対側に配置されるのが理想的だ。
運も実力の内だ。
まあ、そうなった時には予定どおり、燕ちゃんは棄権するだけだ。
「本選では試合開始直後に私がマシンガンを撃って牽制しつつ場外へ逃げる。それだけでいいのですか?」
「正直、それ以外だと瞬殺されるからな。マシンガンは空に向かって適当に撃つ事」
「何故です?」
「意味のない行為に意味を持たせる為だ」
「ああ、何かあると思わせておき思考のリソースを無駄に使わせるということですね」
対戦相手に向けて撃つとそれだけで、狙われる。それならば意味不明な行為で相手を乱して貰った方が良い。
「話が通じやすくて助かる。ただし、知性チームが棄権しなかった場合は直江大和君を場外から狙撃してもらう。まあ、彼も場外へ逃げるだろうから狙えそうにないなら伏せておく事だね。燕ちゃんは俺が相手する」
「妹に裏切られた場合のことも考えるのですね」
「まあ、ないとは思うが、万が一という場合もあるし」
燕ちゃんが優先事項を蔑ろにするとは思わない。
しかし、直江大和君はどうだろうか。
彼が詐欺師的に燕ちゃんをだまくらかして戦いに持ち込ませるという可能性もある。
「大和君も時折えげつない手を使いますしね。その可能性もゼロとは言い切れないでしょう」
「まあ、本選では俺も本気で行くから大丈夫だと思うが」
本選では九十九髪茄子を外して戦う。
明日は久々に万全で全力で、そして本気《マジ》で戦う。
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準備万全
配点:(真剣)
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