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レーヴァティン

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第三十四話 大魔術師ガンダルフその二

「到底」
「そうだよな、ただ塩はな」
「そちらも安いでござるな」
「いやいや、安いのはいいんだよ」
 このことはまた別だというのだ。
「今俺が思ったのはな」
「というと」
「こっちの島には塩田ないよな」
「東の島にはあるでござる」
「塩の川とか湖があってな」
「そこから塩を取っているでござる」
 あちらの島ではというのだ。
「その上に塩の雨が降ってでござる」
「そうだよな」
「塩がない場所に人は住めないでござる」
 このことは絶対だ、遊牧民の場合は家畜の血の中にある塩分からそれを摂ってそうして生きている。
「このことは絶対でござる」
「ああ、だからこの島にも人が攻めるな」
「この島では錬金術で塩を得るか」
「科学と一緒だな、そこは」
 その錬金術師の源三も見て進太に応えた。
「やっぱり」
「そうでござる、そして」
「後は岩塩か」
「そちらでござる」
「そっちが主だよな」
「実はかなり大きな塩の山があるでござる」
「その近くに街も出来ていまして」
 順一も話してきた。
「塩の発掘と販売から」
「それで儲けてるか」
「そうです、そしてその街の名前は」
 何というかというと。
「ザルツブルグといいます」
「モーツァルトの生まれた街だよな」
「はい、あの街はそもそもです」
 あちらの世界のザルツブルグはというのだ。
「塩から出来た街です」
「塩の街、いやベルグだからな」
 ドイツ語の知識からだ、久志は言った。
「塩の城か」
「そうなります」
「多分かなり重要な街になるよ」
 源三は笑って久志に言ってきた。
「塩は人に絶対に必要だからね」
「この島を統一しようと考えたらな」
「お水と穀倉地帯、それにね」
「塩だな」
「その三つはね」
「絶対に必要だな」
 久志は源三に考える顔で応えた。
「何ていってもな」
「そうそう」
「塩もそのうちの一つだな」
「塩な、本当に何でも使うしな」 
 正もその塩の味を肉から感じながら言った。
「食いもので身体に入れるし退魔でも錬金術でもな」
「塩がないとだな」
「何もやっていけないからな」
「そのザルツブルグはこの島の統一の時はな」
「絶対にな」
「最初の方に俺達の勢力圏に収めていきたいな」
 是非にと言うのだった。
「本当に」
「うん、塩ってお金よりも大事かも知れないからね」
 淳二も塩の価値を知っていて言う。
「お給料にもなってたしね」
「ローマ帝国じゃな」
「兵隊さんへのね」
「だからな」
「お塩も掌握していこうね」
「この島の統一にかかる時はな」
「むしろ真っ先にでいいよ」
 塩の掌握はというのだ。
「ザルツブルグをね」
「わかった、じゃあ塩と胡椒で味付けされた肉も食って」
「残った分は燻製にしてるよ」
 淳二はその燻している最中の肉を見ていた、岩場と岩場の間にロープをくくりつけそのロープに垂らし彼等が今肉を焼いている火の上に吊るしていてその煙で燻しているのだ。その肉達を見て言ったのだ。 
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