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真剣で納豆な松永兄妹

作者:葛根
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第六章 水上体育祭午前の部



川神学園学校行事、水上体育祭。
原則スクール水着で行われる体育祭だ。

「どやっ! 私の水着姿は?」
「俺にどやっ! と聞かれても……。すごく、大きいです……」

胸が。
川神百代がその豊満な胸を張って魅せつけてきた。

「松永久秀、本当に男で候……」

矢場弓子が俺の理解不能な言語を用いたので無視した。
双子だから燕ちゃんと顔立ちはそっくりでも俺は男なのよね。
3-Sには葉桜清楚がいる。
チラリと見たが彼女は誰のクローンかは本人も知らないらしい。
けしからん肢体をしているが、彼女の元になる人物はたぶんあの英雄だろう。
名前で正体言ってるようなもんだし。
彼女は未だに成長期らしく、水着が出来ていないらしい。
初めての印象は清楚の一言に尽きる。
文学少女として文系男子の憧れの的になっている。
数回会話をしたが、彼女はゆったりとした安心感と知的なオーラが漂う人だった。
松永納豆を試食して美味しいと言ってくれた良い人だ。

「ん~? 目の前の美少女から目を逸らして別の女を見るとは良い度胸だ……」
「自分で美少女と言うか……。いやー、川神学園には美少女が沢山いて嬉しいなー」

燕ちゃんと比べても多くの美少女が川神学園にはいる。
その美少女がスクール水着とか、学長の川神鉄心は男心をわかっているな。

「ほーら、これならどうだ?」

右腕に川神百代が抱きついてきた。
むにゅうっと、彼女の胸に俺の腕が包まれていく。
肌と布。
布と肌。
布1枚の先にある感触は圧倒的な弾力! 圧倒的な肉厚!

「あー! 私の兄ちゃんが百代ちゃんの色香に……」

燕ちゃんが俺の左腕に抱きついてきた。
川神百代に劣る弾力と肉厚だが胸には違いない。

「ううぅ、放せ! いや、放すな! どっちだ?!」

両腕の感触は最高だ。
けしからん! けしからんぞ!

「支離滅裂だね。兄ちゃん……」
「兄を取られまいとする燕も可愛いな~」

むにゅむにゅと当たる胸。
神が与えた果実は劇薬だ。
今は全てを忘れてこの感触に溺れていたい。
水上体育祭前に溺れるとか、最高じゃないか!



「うおおおぉ! うらやましい! うらやまけしからん! ちくしょー!」
「血の涙を流さないでよガクト! でも確かに羨ましいなあ……」
「モロ、ガクト。落ち着け。姉さんはからかっているだけだ」

島津岳人と師岡卓也を宥める直江大和は、若干ではあるが嫉妬していた。
しかし、自らが言った通りアレはからかっているだけだと自制する。

「仲の良い兄妹だな」
「クリスは純粋だね。アレは禁断の愛! 私達も……」
「お友達で」

椎名京の求愛行動を断ち切る直江大和はこのやり取りで、冷静さを取り戻していた。



「3年生の水上借り物競争が始まりましたよー! 皆さん応援しましょう」

2-Fクラス委員長の甘粕真与《あまかす まよ》がクラスメイトに知らせる。
学年は違うが後輩であるので先輩の活躍を応援するのが彼女に取って当たり前の事なのだ。

「きゃー。松永先輩頑張ってー」

そう叫ぶのは小笠原千花《おがさわら ちか》だ。

「3-Fに新たに現れたイケメン、というか可愛い先輩を応援しなさい!」
「これだからスイーツは……」

ミーハーな彼女だが、松永久秀を応援する後輩は彼女以外にも多く存在した。

「かっこ可愛い松永先輩がんばれー」
「男でも、尻のラインは、抜群だ」
「何で俳句調?!」

レース出場者である松永久秀に注目が集まる。
彼が向かうのは、2-Sであった。
借り物競争と同じルールである水上借り物競争で彼が引いたお題は、

「名前の中に、"よ"が付く生徒。力を貸してくれ。って、義経さんがいた!」
「? 義経で良ければ力を貸すぞ」

源義経。お題を引いた時から彼は彼女を狙っていた。

「よし、行くぞ。これで勝つる」

源義経の手を握って走る。

「おお! 足の速さに義経は驚愕した」

それでもきっちりと付いてくるあたり、さすがは源義経だ。
しかし、

「げ、葉桜清楚さんが怒涛の追い上げを!」

残り40メートル先のゴール地点で後ろから物凄い勢いで追いかけてくる葉桜清楚がいた。

「待って~」

文学少女とはかけ離れた足運び、それに足の速さ。
只者ではないと感じてはいたが、身体能力は相当高いらしい。
それでも、15メートルは離れている。

「義経さん。もっと早く走れるな?」
「ああ。義経は頑張ってみる!」

俺と並んで源義経は加速する。
葉桜清楚は俺達に5メートルくらいまで迫っていたが、その距離を埋める前に、ゴールできた。

「ゴール!」

源義経に感謝だ。

「いやー、助かった。義経さんじゃなかったら追い越されていたかもしれん」
「松永久秀。義経は驚いたぞ。足が早いんだな。義経ももっと鍛えないと……」
「久秀、戦利品として源義経を連れてきたか。可愛い子大歓迎だ」
「負けちゃった。すんごい加速だったね」

川神百代、源義経、葉桜清楚と美少女が集まってしまった。

「いや、葉桜清楚さんもすごかったですよ。呼吸も乱れてないし」
「清楚で良いよ。同い年だしね。久秀君」

葉桜清楚や、源義経達とはある程度認識がある。
何せ有名人だから、松永納豆を事あるごとに渡していた。

「そうかい。清楚は意外と身体能力が高いね」
「うん。普段鍛えてるからね」
「義経達はある程度強くないといけないから鍛えているんだ」
「おい。私を無視して話をしてるんじゃないぞ。もっと構え」
「はいはい、その前髪をストレートにしてやろう」
「うわ、やめろよー」

川神百代の弱点探しで分かったことだ。
何故か彼女は前髪のクロスしている部分を真っ直ぐにしようとすると抵抗するのだ。
本人曰くチャームポイントらしい。



欲望、欲情、水上
配点:(スク水と美少女)
 
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