| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

真剣で納豆な松永兄妹

作者:葛根
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

プロローグ

 
前書き
この小説は真剣で私に恋しなさい!Sの二次創作です。
原作とは異なる設定、独自解釈、キャラクターの著しい崩壊などが含まれております。
原作の雰囲気を重視される方はご注意ください。 

 


京都某所。
各所に存在する「決闘の地」は観光客でごった返ししていた。

「カラカル・ゲイル……表世界の全米格闘王者だけど……燕ちゃん1人でいけるよね?」
「もっちろん。兄ちゃんは別の格闘技王者担当だしね!」
「この対決、見届けて頂きます。松永様」

九鬼家の従者、桐山鯉《きりやま こい》に松永と呼ばれた人物は2人。
1人は、松永燕《まつなが つばめ》。もう1人は燕の親である松永久信《まつなが ひさのぶ》だ。
カラカル・ゲイルを蹴り技一撃で仕留める様を桐山鯉は見届けて強さを評価する。
一方、松永燕の双子の兄である方の強さの評価は別の九鬼家の従者がしていたのだった。

「松永久秀《まつなが ひさひで》様の方も片付きました。問題なしです」

桐山鯉は感心する。
松永久秀といえば、歴史上の人物だ。
破天荒な記録の多い松永久秀の名をそのまま受け継いでいる現代の松永久秀はどうやら強さにおいても曲者だったらしい。
対峙した時、強さを全く感じなかったのが曲者らしいと桐山は思ったのだ。
……兄妹揃って一撃で相手を倒した辺り仲良しなのですね。
川神百代の相手をするのは兄か、妹かどちらでも問題ないようですね。
これから忙しくなります。



「うぉおお。燕ちゃん、川神の学生服も似合ってるね!」
「あんがと。兄ちゃん。あと、暑苦しいから抱きつくな」

松永久秀。
松永燕の双子の兄は、重度のシスコンだった。

「クンカクンカ、良い匂い」
「やだ……、兄ちゃん変態!」

燕は抱きつき状態から肘打ちを打ったのだが、

「はは、遠慮も、容赦もないね」

軽く躱されたのだった。

「兄ちゃん、無駄に強いからムカつく」
「無駄って。そんな風に育てた覚えはお兄ちゃんにはありません」
「育てられた覚えなんてないよー。はあ、手のかかる男が2人……」

さり気なく久秀は胸を触ろうとするが、燕は軽くその手を弾いた。
触れようとする、弾く。
その攻防が続く。
これが仲の良い松永兄妹のスキンシップである。

「何やってんだあの子達、手が見えないぞ!?」
「松永兄妹のスキンシップさ。もはや名物だね。気にしたらダメだぞ、観光客」
「噂じゃ力の兄、技の妹らしい。どこの改造ヒーローだよってツッコミは誰でも思うことだからな」

観光客、地元の人間がそれぞれ松永の噂を話し始める。
松永納豆を広まる地元の若人を地元民は誇らしく思っていた。

「双子だけあって、顔似てるますねぇ。お兄さんの方、可愛いなー」
「妹が納豆アイドルだし、兄も妹と一緒にポスター写ってるのもあるよ。ポスター1枚1000円ね。松永納豆もセットでいかがっすか?」
「双子の兄妹アイドルかー。珍しいな」
「それも売りの一つですって。さあさあ、松永納豆はここでも扱ってますよー」

地元の商売人はせっせと商売魂を出していた。



松永としての使命は、

・松永納豆の布教
・父親と母親の復縁
・川神百代の打倒

この3つである。
特に3つめが重要である。
川神百代を打倒して松永の名を売る。
さらに、九鬼家との繋がりを深める。
川神市。
多くの武士の末裔が住んでいる。
そこに転校することになった。

俺の楽しみとしては、武士道プランの申し子である英傑達と、川神百代、剣聖の娘である黛由紀江や、まだ見ぬ強者《つわもの》だ。
武人として名の売れている強者を打倒することにより、効率的に松永の名を広めることができる。
燕ちゃんとのコンビネーションプレイができるなら向かうところ敵なしで行けると思う。
それに、燕ちゃん自身強いから余程の相手じゃない限り負けないと思うしね。
燕ちゃんは俺より多芸だけど、俺より決定打に劣る。
だけど、多芸による撹乱と俺の決定打が合わされば無敵だ。
それなのに、親父はさらなる決定打を作ろうとしている。
どうやっても川神百代を打倒すると息巻いていたけど、アレの見積書を見たらトンデモナイ金額になっていた。
それを九鬼財閥が払えると言ったのだから仰天だ。
金をいくらかけても良いという出鱈目な九鬼財閥の恐ろしさを知った。
川神百代に勝てなかったら、とは思っていないが万が一という事がある。
その時は、おとん。死んでくれ。
俺と燕ちゃんは幸せにおかんと暮らすから。

「酷いよ、久秀。でも、松永は負ける試合はしないからね。勝てる算段ができたら挑んで勝つ。そうだろ?」
「俺としては、勝ち負け関係なく戦ってみたいけどな。一応家長の言う事は聞くさ」
「兄ちゃんの言う事も分かるけど、公式戦不敗って言う記録も大事だからね。松永として負けは許されないよ」
「そーだね。とりあえずは、転校初日に川神百代の性格からして決闘を申し込んでくるか、喧嘩売ってくるはずだから、稽古ならOKって感じで戦いを受けよう。そんでもって、まず、目立つように負けない事。出来れば長引かせる事。時間制限が付く条件で戦いを受ける事。川神百代と互角に戦えたと知れ渡らせれば初日のつかみはオッケーだね」
「了解ー」
「あと、川神百代って美少女とか可愛い女の子好きみたいだから燕ちゃんの方に来ると思うよ。俺は武士道プランの誰かと戦うかな」
「何かあって私の方に来なかったら兄ちゃん頑張れ」

明日の打ち合わせをして今日は終わる。
松永兄妹の新しい学生生活が始まろうとしていた。



力と技
兄と妹
配点:(松永)





 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧