八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百三十四話 件その七
「ただ、件と同じにしても」
「逆ですね」
「予言をしないのでは」
根拠はないがこう思った。
「別に」
「そうですね、やはり」
「はい、ですが」
それでもだった、あの牛女は。
「何かお金持ちの家にいたとか言われていますね」
「私は政府の要人達の家に次々とです」
「移っていたんですね」
「そうして囲われていたと」
「そうも言われますね」
僕もその話は聞いていて知っている。
「それで空襲の時にですね」
「いたお家が焼けて」
「そしてでしたね」
「逃げたと」
そして六甲に潜んでいるというのだ。
「そう聞いていますが」
「真相は不明ですよね」
「生い立ちも何処にいたのかも」
神戸にいたにしてもだ、神戸のお金持ちか要人かに。
「ただどうして囲われていたかも」
「予言をするのかも」
「わからないですから」
件とは逆の身体なので出来るかもわからないしだ。
「あの妖怪についてはどうも」
「わからないことが多いですね」
「どうしても」
僕が聞いた限りでは件以上に謎が多い。
「ですが見たという人は多いです」
「六甲で」
「襲われた人もいるとか」
そうも聞いている。
「あそこで」
「その様ですね」
「実際はわからないです」
これもまた言われているだけだ、襲われた人がいるということも。
「死んだ人はいないそうですが」
「襲われても」
「車がひっくり返されたとかは聞きますが」
「怪力らしいですね」
「牛らしく、ですが」
「それでもですね」
「人を殺すまではです」
そこまではというのだ。
「至っていない様ですね」
「そうみたいですね」
「事故も実際にあったか」
襲われたり車をひっくり返される様なことがだ。
「それもです」
「実際のところわからないですね」
「都市伝説の常ですね」
つまりこうした話のだ。
「根拠は不明ですね」
「噂がどんどん、ですね」
「そうした話を生み出していきますね」
「妖怪の話では常ですね」
「都市伝説も同じです」
何しろ現代の妖怪話だ、口裂け女でも何でも話にどんどん尾ひれがついて大きく過激になっていく。
「こうした話は」
「そうですね、ただ」
「それでもですね」
「はい、根拠はありません」
牛女のこうした話もだ。
「実際には」
「牛女が本当にいても」
「畑中さんは牛女を御覧になられたそうですね」
「その六甲で車で道を通っている時に」
「ですがそれでもですね」
「何もされなかったみたいですね」
畑中さんが言われるにはその目で確認されただけだ、牛女のその姿を。
「特に」
「若し牛女が狂暴なら」
人を襲って車をひっくり返す位にだ。
ページ上へ戻る