魔法少女リリカルなのは 異形を率いる男
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11.接触
前書き
今年はもう一話程度投稿して終わりだと思います。
深夜、一般的な生活を送っている人間は深い眠りについている時間。
とあるビルの屋上には黒い服に表は黒、裏は赤のマントを羽織り、手には刃の部分は黒く、残りの部分は冷たい鋼鉄の様な光沢を放つ異様な形をした身の丈ほどもある大きな斧の様なものを握った通常で考えれば異常としか言いようの無い姿をした十代にも行っていない様な幼い少女が居た。
「ロストロギアはこの付近にあるんだね?」
そう、少女は問いかける。それに答えたのは少女の近くに座っていた少女と以上に大きく鮮やかなオレンジ色の体毛を生やし、額に青い宝石が埋まった異様な姿をした狼だった。
「形態は青い宝石。一般呼称はジュエルシード」
少女は誰かの答えを聞くように間を開け、星が輝く夜空を見上げ呟いた。
「そうだね。すぐに手に入れるよ」
オレンジ色の狼が、再びそれに答えるかのように、低く吠える。
「それはこれの事か?」
何の前触れもなく、その男はその場に現れた。
黒いロングコートを羽織い、大型のゴーグルで顔の大半を覆ったこちらも異様な格好をした男が黒いグローブをはめた手に小さな青い菱形の宝石を少女に見せ付けるかの様に持ちながら、そう問いかけた。
その言葉には何処か少女を見下したかのような言い方になっていた。
「――――ッ!」
少女は突然、その上背後から聞こえたにも関わらず、即座に振り返り、距離を取りつつ、手に持っていた斧を構える。
「誰だッ!」
守りに入った少女とは反対に、狼はそう言いながら、異様な格好をした男に飛びかかる。
それを男は迎え撃たずに横に避けながら言う。
「お前達に敵対するつもりは無い。まずは話を聞け。その上で敵対するか、お前達が決めても遅くは無いだろ?」
その言葉を聞いて、狼は少女の意思を確認する為か追撃をする事はせずに、少女の方を向く。
「……分かりました。話を聞きましょう」
少し間を置き少女はそう答えた。
「俺の目的は簡単な事だ。お前にこれを回収する様に言ってきた人物に会わせて欲しい。それだけだ」
少女には男が提示した条件の意図が分からなかった。
自らの母に会う為にわざわざ危険な上、管理局に目を付けられるかも知れない事に協力することに対して、そんな事をするなら管理局に協力して探したほうがいいだろうとすら思えた。
「何故そんな事をしてまで母さんに会いたいんですか?」
「こんな物を集めて何をしたいのか。気になっただけ、ただの好奇心からだ。それ以外の理由が必要か?」
「そんな理由なんですか変わってますね」
既に少女の顔は呆れたような感じが滲み出ていた。
「自分でもそう思う。それはそうと会わせてもらえるのか?」
「分かりました。ですが会うかどうかは母さんが決める事なので連れて行っても会えないかもしれません。それは覚えておいてください」
少女は念を押すようにそう言った。
「それでは俺は帰るとしよう。これを」
その一言と共に差し出された手には青い菱形の宝石ジュエルシードが握られていた。
「ありがとうございます」
そう言い少女は手に持ってる斧を近づける。
その斧に宝石は吸い込まれるように取り込まれる。通常から考えれば異常な現象のはずだが、すでにそれは通常な事象として認知されていた。
「此方はお前たちのバックアップとして動こう。異論は?」
そう男は聞く。
「ありません」
少女は短く答える。
「それでは俺はこれで失礼させてもらおう」
その言葉と共に男の体は霧散し、何処かに消え去った。
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