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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第十話~模擬戦~

 
前書き

やっとライの戦闘です。
だがしかし自分の文才のせいで戦闘描写がうまくいきません。(ノД`)

今回はやたらと長いですが長い目で見ていただけたらと思います。
 

 


 魔法の訓練とデバイスの作成作業が始まり四日が経過した。
 この四日間、ライは午前中にリインフォースから魔法の訓練を午後からはシャリオとデバイスの開発に勤しんでいた。
 魔法の訓練は順調に進み今では念話、身体強化、基礎の射撃魔法、マルチタスクが使えるようになった。特にマルチタスクの精度が普通ではなかった。もともとの思考速度の速さと並列思考を素で使えるほどの頭脳を持っていたため、今ではマルチタスクで同時に20までの並列思考ができるようになっている。しかも常人よりも精密でより早くである。これを知ったリインフォースは唖然としていた。
 デバイス開発ではデータチップのデータとバトレーからの知識を存分に活かせることになった。ライがデバイスの性能に求めたのは『対ナイトメアフレーム戦を想定した性能』である。自分の渡したデータによって少なくともこれからの陸上戦闘の様相が変わるとライは予測していた。その為、自分が抑止力になるか、またはそれに準じるものを作り出すことを考えたのだ。
その際にナイトメアフレームのデータについてシャリオに説明を求められたが、話し合いの時に決めた表向きの理由を言って納得してもらっていた。
途中から魔法を教えているリインフォースも開発に参加し、より高性能な性能になっていった。しかしその為開発期間が延長され完成にはもう少しかかることになってしまったが。
 始めの三日間、ライは自らが蒔いた火種をなくすために不眠不休に近い状態で訓練と作業を行っていた。しかし四日目になるとさすがにマズイと感じたリインフォースとシャリオがライを無理やり休ませた。
 ちなみにライはこの時点で六課のメンバーに自分から自己紹介をしていない。というのもライがほぼ室内の訓練場かもしくはデバイスルームに缶詰状態だったためである。そのためライの存在は知っていてもライを見たことがある人は少なかった。
 そして本日はライとFW陣の顔合わせと訓練の初参加である。



機動六課訓練場


 機動六課隊舎の横、海上にある訓練上ではライとなのはをはじめとする機動六課FW陣が揃っていた。
 最初、ライは機動六課特別空間シミュレーターに驚いていたり、リニアレールの事件でのお礼を言われていたりしたが今は自己紹介になっている。

ライ「今日から訓練に参加するライ・ランペルージです。民間協力者ですがよろしくお願いします。」

 最初は敬礼をしようと思ったが、自分が民間人扱いだということを思い出しお辞儀をした。

なのは「それじゃ、こっちも自己紹介しようか。まずはスターズから。」

ヴィータ「ヴィータだ。なのはと同じで戦闘教官をやってる。」

スバル「スバル・ナカジマ二等陸士です。よろしくお願いします。」

ティアナ「ティアナ・ランスター二等陸士です。よろしくお願いします。」

ライ「よろしく。僕は民間人だから敬語は使わなくていいよ。」

スバル「わかりました!」

ティアナ「はぁ…」

 元気な返事と少し戸惑っている返事が帰ってきてライは苦笑する。

フェイト「次はライトニングだね。二人共挨拶しよ。」

エリオ「エリオ・モンディアルです。これからよろしくお願いします。」

キャロ「キャロ・ル・ルシエです。これからよろしくお願いします。」

ライ「こちらこそ。」

フリード「キュルル~~」

ライ「ん?」

 いきなり聞こえた鳴き声にライは辺りを見回す。すると自分の顔と同じぐらいの高さにフリードが飛びながらライを見ていた。

キャロ「この子はフリードです。」

フリード「キュクル~」

キャロが紹介するとフリードはライの周り飛び始まる。

キャロ「ライさん、フリードに気に入られたみたいですね。」

ライ「そうなのか。これからよろしくフリード。」

フリード「キュクル~」

なのは「じゃあ自己紹介も終わったから、訓練を始めようか。」

一同「「「「「はい!」」」」」

なのはの言葉にフェイトとヴィータ以外が返事をする。

なのは「今日はまずライ君が今どの程度、戦えるのかをみる為にヴィータ副隊長との模擬戦を……」

???「待ってくれ。」

 なのはが訓練の内容を説明する途中に声が割り込む。全員が声のした方を向くとそこには桃色の髪をポニーテールにし凛とした雰囲気の女性、シグナムがいた。

なのは「シグナムさん?どうかしました?」

シグナム「その模擬戦、ヴィータではなく私にやらせてくれ。」

なのは「それはいいですけど……」

シグナム「すまんな。」

ライ「あの……あなたは?」

 ライがそう言うとシグナムはライの方に振り向き口を開く。

シグナム「シグナムだ。ライトニング分隊の副隊長をしている。」

ライ「ライ・ランペルージです。よろしくお願いします。でも何故僕と模擬戦を?」

 それはここにいる誰もが思っていることであった。ライは知らないことだが、いつもは個人訓練のみ行っている彼女が合同訓練に参加するのは珍しいのだ。

シグナム「少しな……」

 そう言うシグナムの表情は獰猛な猛禽類のような瞳をしていた。その表情を見た何人かは寒気を覚え、何人かは「またか…」と呆れていた。

なのは「じゃあ、ライ君。模擬戦の準備をして来て。」

ライ「はい。」

 そう言うとライは少し離れた位置に立っていたシャリオとリインフォースの方に歩いていく。それを見ていたティアナはなのはに尋ねた。

ティアナ「あの、質問です。」

なのは「なに?ティアナ。」

ティアナ「どうしてリイン曹長とシャーリーさんがいるんでしょうか?」

なのは「ライ君のデバイスはまだ製作中なの。でも製作のためにライ君の戦闘データが必要だから、今回はその検証と彼が今回の模擬戦で使う戦闘用デバイスの簡易設定のためにいるの。」

 その説明で一同は納得し、ライ達の方に視線を向ける。



 今回使うデバイスの設定をしているシャリオの横でリインとライは話していた。

リインフォース「魔法を使う感覚はいかがですか?」

ライ「まだ、不思議な感じだけど…なんとか。」

 そう答えながらライは徐々に意識を集中させていく。元の世界にいた時も必ず戦闘の前にこれを行っていたライは今回も同じようにしていた。
 これはライにとっては一種の儀式に近い。ライは自分が普段の日常を過ごす時と戦場に身を置く時に自分の意識が常人よりも変化していることに気づいていた。その原因はライの記憶にある。王としての記憶とルルーシュ達と出会ってからの記憶の摩擦、それによりライは自分が精神的に暴走しているのだと考えた。そこでそれをコントロールするためにライは戦闘時の意識を任意でON・OFFできるようにしていた。

リインフォース「正直に言いますとこんなに早く基礎ができるとは思いませんでした。だから驚いています。」

ライ「まだ使えるものは多くないよ。覚えることもまだまだ多い。使えるものもあくまで基礎だけだ。それに…」

リインフォース「それに?」

ライ「先生が優秀だから。」

 ライの言葉にリインフォースは顔を赤くして慌てだした。

リインフォース「そ、そんなことはないですよ!?覚えがいいのはあなたの才能です!」

ライ「それでも、その才能を開花させるのは僕だけでは無理だった。だから感謝してる。」

リインフォース「そんなに褒めないでください~~」

 今度はニヤけながら手を振るリインフォース。そんな中、デバイスの調整が終了したシャリオが振り返り言葉をかける。

シャリオ「デバイスの設定、完了しました。…って、リインさん、どうかしました?」

リインフォース「いえっ!なんでもないですよ!!」

 慌ててそう言うが、その顔は未だに笑っていた。

シャリオ「そっ、そうですか。」

リインフォース「こほんっ。では確認しますが、デバイスは近代ベルカ式のアームドデバイス、形状はショートソードでいいですね?」

 そう言われライは渡された剣型のデバイスを確かめるように握る。
 剣の形は刀身が普通の剣よりも少し短いがその分、柄の部分が長くなっていた。

ライ「はい。追加設定はソードの形状変化です。」

 確認するように自分の依頼した設定を述べる。

シャリオ「…ライさん、今さらですけどこんな設定でいいんですか?これじゃハンデを背負ってるようなものですよ?」

ライ「いえ、人並みに魔法が使えるようになってはいてもまだ使いこなせてはいないから、だから自分にとってのよりベストの戦闘をするにはこれが一番なんだ。」

シャリオ「はぁ…そうなんですか?」

ライ「ええ。でも、気を使ってくれてありがとう。」

リインフォース「では最終確認をしますよ。」

ライ「はい。」

リインフォース「このデバイスは簡易の間に合わせです。だから魔力の変換率も六割具合です。この意味が分かりますか?」

ライ「自分が想定した出力の60%しか魔法は発動しない。」

リインフォース「その通りです。だから多少燃費が悪く感じるかもしれませんが、がまんしてください。」

ライ「はい。」

 今回ライが使用するデバイスは開発中の物ではなく、一般のデバイスを軽く改造したものだ。ライはこれまでの魔法の訓練ではいつもこのデバイスを使用していた。訓練の間は特にデバイスに問題はなかったが、今回の模擬戦を実は事前に聞かされていた(もっとも相手が変更になるとは思っていなかったが)ライはシャリオに依頼して少々デバイスを改造してもらっていた。しかし期間がほとんど無かったため、急場しのぎの間に合せになり不具合も生じていた。

リインフォース「それとこれには元々AIが搭載されていません。ですから訓練の時より魔法の発動が自分の認識と若干のタイムラグが出ます。」

ライ「どの程度ですか?」

リインフォース「大体ですが、一呼吸よりも短いぐらいです。」

ライ「そのぐらいならなんとかこちらで合わせるよ。」

 デバイスの調整と説明が終わりライはなのは達のもとに戻る。

なのは「準備は終わった?」

ライ「はい。いつでもいけます。」

なのは「よし、それじゃあ…」

シグナム「一つ手合わせ願おう。」

 そして、ライとシグナムの二人は訓練場へ、それ以外は訓練場を見渡せる場所に移動していく。
 移動中、スバルがなのはに興味津々な表情で質問をしていた。

スバル「なのはさん、質問いいですか?」

なのは「なに?スバル。」

スバル「確認ですけど、ライってこの間の戦闘の最後に指示をくれた人ですよね?」

なのは「そうだよ。」

スバル「それで、出身世界はなのはさんと同じ世界。」

なのは「うん。」

スバル「じゃあ…」

ティアナ「スバル、あまり他人のことを詮索しない。」

 さらに質問しようとしたスバルにティアナが口を挟む。

スバル「えぇ~。でも気になるよ。」

なのは「スバルが気になるのも無理ないけどね。でも、詳しくはプライベートに関わるから話せないの。ごめんね。」

スバル「いや、そんな。こちらこそ詮索してすいません。」

 なのはの申し訳なさそうな顔を見て咄嗟に謝るスバルであった。
 そのやりとりを少し離れたところで見ていたフェイトはそばにいたエリオとキャロに尋ねた。

フェイト「…二人もライのこと気になる?」

エリオ「気にならないことはないですけど…」

キャロ「話せないのには理由があると思うから。」

エリオ「僕たちは、ライさんが自分から話してくれるのを待ちます。」

キャロ「はい。」

フェイト「偉いね、2人とも。」

 二人からの言葉を嬉しく感じるフェイトは二人の頭を撫でた。

スバル「……」

ティアナ「あの二人の方が大人ね。」

スバル「あぅぅぅ~~……」

なのは「ほら、落ち込んでないで。そろそろ始めるよ。」



機動六課特別空間シミュレーター


 今回の模擬戦で使用する環境は森に近い林である。その中で少し開けたところにライとシグナムの二人は対峙していた。

なのは『それじゃあルールの確認をするよ。制限時間は三十分。タイムアップかどちらかがノックダウンしたら終了。それと飛行魔法の使用は禁止。それでは準備はいい?』

 なのはがライとシグナムに模擬戦の最終確認をしていく。二人は無言で頷く。
 ライに飛行魔法の適性はあったが、練習中は浮くことはできてもそこから飛行することはできないでいた。そのため、今回は陸戦の模擬戦になっていた。

シグナム「手加減などせずに全力で来い。」

ライ「全力で挑みます。」

なのは『それじゃあ、模擬戦開始!』

 なのはがそう言った瞬間、ライはデバイスを構えシグナムに向かって踏み込む。シグナムもそれに応えレヴァンティンを構える。そして二人の斬撃が交差する。初撃をお互いが受け止めると二回、三回……と斬撃の押収が始まる。
 ライはシグナムの剣撃を受け流すことに集中していた。初撃はライから攻めたのだが、それ以降は防戦一方になっていた。何より……

ライ(一撃、一撃が……重い!)

シグナムの攻撃一つ一つが重く鋭いため、防御を緩めるとそのまま押し込まれそうであった。
 一方、シグナムの方もライの技量に舌を巻いていた。
 シグナムの全ての攻撃を正確に見切り、受け、弾き、逸らし、躱していくライ。しかも一歩間違えば致命打になる行動も迷わず選択し、恐ろしい程の精度を誇っている。

シグナム(コイツのこの無駄のない動きは何だ?!)

 シグナムがもっとも感じていたのはそこであった。ライは一般の兵士が持つ動きのムラ、もしくは動作に生じるスキがあまりにも少なかった。その動きは一種の美しさすら持っており模擬戦を観戦している人全てを魅了していた。それほどまでにライの動きは洗練されていた。
 シグナムが剛の剣とするならライは柔の剣。どちらの技量も高く、現時点ではお互いに決め手にかけている。
 この硬直状態を何とかするためにシグナムは自ら後退し、居合の構えをとる。

シグナム「レヴァンティン!!」

レヴァンティン「エクスプロージョン!」

 レヴァンティンから薬莢が排出される。
 シグナムが後退した瞬間、追撃に入ろうとしたライはそれを見て足を止める。本能的に「あれはマズイ」と感じて足を止めたのだがそれがアダになった。

シグナム「紫電―」

 その隙を見逃すシグナムではなかった。再度間合いを詰めるシグナム。

シグナム「一閃!!!」

ライ「ぐっ!」

 レヴァンティンは振り抜かれその刃がライを捉えた。
 ライはデバイスの刀身で受け止めるが受け止めきれずに吹き飛ばされ木の幹に叩きつけられる。

ライ「…ハッ!」

 その際、肺の中の空気を反射的に吐き出してしまう。
 しかし敵の追撃を考えすぐに身を起こす。足が少しふらつくが戦闘は続行できると判断し身構える。
 シグナムはそんなライを見て自分の攻撃を逸らされた事に気付いた。

シグナム(受ける瞬間に刀身を斜めに傾け、攻撃の方向を変え直撃をさけたのか。)

 よく見るとライのデバイスの刀身には軽く罅割れしていた。それを確認したシグナムの表情は驚きよりも歓喜の色の方が強かった。
 彼女がライの模擬戦を受けたのはライの足運びや所作で手練であるとあたりをつけていためである。ライに対する興味で始めた模擬戦であったが蓋を開けてみれば自分の期待以上であった。
 さらにライの実力を知るために彼女はライに話しかける。

シグナム「まだ全力を出さないのか?でなければ負けるぞ?」

ライ「……」

 それが挑発と分かっていてもライは手を抜く必要がないと思い、手札の一枚を切る。

ライ「フォルムツヴァイ」

 ライがそう言うとデバイスがカートリッジを一発消費しデバイスの形が変わる。それは双剣であった。もともとのデバイスの半分ほどの細さの二振りの剣をライは両手にそれぞれ持ち構える。

シグナム「面白い…レヴァンティン!」

レヴァンティン「シュランゲフォルム」

 シグナムが叫ぶとレヴァンティンがそれに応じ刀身を変化させる。剣から連結刃になり、それを鞭のように振るうシグナム。

シグナム(さあ、どうする?)

ライ(神虎と似たような武装か。なら…)

 思考は一瞬、すぐさま行動に出るライ。

ライ「アクセル!」

 そう言うと足元に魔法陣が出現する。ライは体を前傾させ一瞬でシグナムとの距離を詰める。ライが使ったのは加速魔法。瞬間的に直線的な移動を速めるものである。

シグナム「なっ!」

 ライが懐に飛び込んできたためレヴァンティンを引き戻そうとするが、ライの動きの方が早かった。

ライ(獲った。)

そう思いながら右手の剣を振るう。刀身が細くなっている分その斬撃は早く鋭い。しかしライの予測は外れ甲高い音が響く。

ライ(鞘!)

 ライの攻撃はシグナムが左手に持っていた鞘で止められていた。

シグナム「中々の攻撃だが、まだ足りん!」

ライ「!」

 そう言い刀身を戻したレヴァンティンを振るう。それを両腕の剣で受けようとするが右腕の剣は鞘で器用に抑えられていたため、左腕の剣一本で受け止める。
 不利と感じすぐさま後退するライ。デバイスを見ると剣に入っている罅が深くなっていた。

シグナム「その損傷ではもって後一撃か。」

ライ(なんとか対応はして見せているけど…そろそろ体がもたない。さっきの一撃がかなり効いている。制限時間は残り半分。タイムアップは…見込めないな。)

 そんなことを考えながらライは右手の剣を逆手に持ち替え、左半身をシグナムの方に向けて半身になる。

シグナム「先ほどの手は通じんぞ?」

ライ「百も承知です。それにそれはこちらも同じです。」

 暗に「紫電一閃はもう効かない」と言う。

シグナム(まだ何かあるのか。本当にコイツは面白い。)

 お互いに最後の一撃に入ろうと構える。そして先に動いたのはシグナムであった。

シグナム「飛龍―」

レヴァンティン「エクスプロージョン」

シグナム「一閃!!」

 先ほどの連結刃になりその刃がライに高速で迫る。
 ライは攻撃が放たれた瞬間前に踏み出す。

シグナム「無駄だ!」

 ライの腹部を狙うシグナム。しかしここでライが予想を上回る行動に出た。
 右に持った剣を振り上げ、切っ先を下に向け振り下ろす。振り下ろした先はレヴァンティンの連結刃の刃と刃の隙間。そのまま剣は地面に刺さり一時的にレヴァンティンが縫い止められる。

シグナム「そんな小細工でっ!」

ライ「だが一瞬は稼げた。アクセル」

 動揺したシグナムの懐にもう一度飛び込むライ。そのままシグナムの踏み込んだ足を払い体制を崩し、剣を振り抜こうとする。

シグナム「くっ!」

 咄嗟に左手の鞘を掬い上げるように振るう。なんとかそれが間に合い倒れそうになりながらもライのデバイスを弾く。その際にこれまでの罅が原因でとうとう刀身が砕ける。

シグナム(勝った。)

 丸腰になったライを見てそう思うシグナムであったが、そう思った瞬間彼女の意識は刈り取られた。




 模擬戦を観戦していた一同は全員言葉をなくしていた。
 全員の視線の先には気絶して倒れているシグナム、そして怪我をして息が上がっているが確かに立っているライの姿が空中のディスプレイに映し出されている。
 そんな中、ライからの言葉が聞こえる。

ライ『模擬戦終了ですか?』

 ライには通信手段が無いため叫ぶように聞いてくる。その声にハッとしてなのはは指示を出す。

なのは「え?あ、うん。今からそっちに行くから少し休んでて。」

ライ『分かりました。』

 なのはは通信を切ると全員に声をかける。

なのは「じゃあ、みんな行くよ。」

 そして全員が動き出すがスバルは呆けたように訓練場の方を見ていた。それに気付いたティアナはスバルに近づき声をかける。

スバル「…」

ティアナ「スバル?」

スバル「…ライ、すごい…」

ティアナ「はぁ…。」

 自分の声が聞こえていないと分かると握りこぶしを作り相方の頭に振り下ろすティアナ。そして鈍い音が辺りに響いた。

スバル「痛っ!何すんのティア?」

ティアナ「見惚れてないで行くわよ。」

スバル「見惚れ…。ちっ、違うよ。感心してただけで…あっ、待ってよ!」

 自分を放置して移動するティアナを追いかけるスバルであった。

 
 

 
後書き

中途半端な描写ですいません(--;)
ライがどうやって勝ったのかの説明は次回に持ち込みです。
あとライが使った剣のイメージはランスロット・クラブのMVSです。


次回は一度ステータス情報を挟んでから掲載します。

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