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ヘタリア大帝国

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96部分:TURN9 ドクツ動くその十一


TURN9 ドクツ動くその十一

「まさか」
「しかもかなりの威力です」
「我が軍の戦艦が一撃で大破しています」
「巡洋艦に至っては撃沈されているものもあります」
「まるで要塞砲です」
「くっ、どういうことだ」
 司令官は今更ながらだ。苦い声を出した。
「あの距離から。あれだけの攻撃を浴びせてくるとは」
「司令、しかもです」
「後方にです」
「何っ、まさか」
 司令は部下達の言葉に慌てて艦橋のモニターを見た。そこには両軍の動きが三次元映像で映し出されている。自軍は赤、敵軍は青で。
 見れば青いドクツ軍の二個艦隊が自分達の後方に回っている。その速さは。
「何だ!?魚雷艇か」
「いえ、戦艦です」
「そして巡洋艦です」
「高速戦艦か。しかし」
 有り得ない速さだった。その速さは。
「何という速さだ」
「このままでは後方に回られます」
「どうされますか」
「二個艦隊か」 
 その数を見てだ。司令は瞬時に判断した。
 こちらも二個艦隊を敵に向ける、そうだ。そしてすぐにそう命じた。
 ポッポーランド軍から二個艦隊が割かれ後方に回ろうとする。しかしだ。
 その二個艦隊がだ。まさにだった。
 ドイツ妹が彼等を攻撃した。その二個艦隊をだ。
「今よ。あの二個艦隊を狙うわ!」
「了解!」
「わかりました!」
 こうしてすぐにだった。その二個艦隊が攻撃を受けた。それでだ。
 ポッポーランド軍はまたしても多くの艦艇を失った。次々に撃沈され大破していく。沈む艦艇から生き残った将兵達が命からがら脱出していく。
 そのポッポーランド軍を見ながらだ。ロンメルは己の旗艦でこう言っていた。
「よし、これでいい」
「我が軍が動いてですね」
「そのうえで」
「そうだ、動く」
 ロンメルは艦橋の司令席に胡坐をかいて座りながら言った。
「さらに動くぞ。そして時折一撃離脱を加えてだ」
「敵に我々の動きを悟らせない」
「そうされますね」
「そうだ。そうするんだ」
 こう部下達にだ。楽しむ笑みで言ったのである。
「わかったな。このままだ」
「ああ、わかってるよ」
 プロイセン妹がモニターからそのロンメルに言ってきた。
「ロンメルさん、派手に動こうね」
「妹さんもな。共に動こう」
「ああ、それにしてもこの駆逐戦艦だが」
「尋常じゃない速さだね」
「こんな速い戦艦ははじめてだ」
 そこまでの速さだというのだ。
「しかも攻撃力もある」
「しかもマンシュタインさんや兄貴達の標準戦艦もね」
「かなりの長射程、そして威力の砲を持っている」
「ポッポーランドの奴等も想像していなかったみたいだね」
「そこが狙い目だ」
 ロンメルは不敵な笑みでプロイセン妹に話した。
「敵を侮る。それ自体がだ」
「敗北につながるからね」
「その通りだ。では動くか」
「よし、じゃあやるよ」
「そうするか」
 こう話してだ。そのうえでだ。
 ロンメルとプロイセン妹の艦隊は一撃離脱を繰り返しながらポッポーランド軍を横から、後ろから霍乱していた。そしてその惑わされるポッポーランド軍にだ。
 マンシュタイン率いる主力艦隊は総攻撃を浴びせる。そしてだった。
 一方的に、それこそ攻撃さえできなかったポッポーランド軍の司令はだ。こう言った。
 旗艦も大破している。艦橋に警報が鳴り響いている。その中でだ。
 彼はだ。こう部下達に言った。
「ここまで損害を受けてはな」
「はい、最早です」
「残念ですが」
「戦闘不能だ」
 司令は忌々しげに部下達に告げた。
「だからだ。いいな」
「はい、降伏ですね」
「そうされますね」
「そうするしかない。ではだ」
 こうしてだった。司令はドクツ軍に通信を入れた。そうしてだった。
 ポッポーランド軍の主力艦隊は降伏した。そしてそれはそのままポッポーランドの敗北になった。ポーランドはワルシャワにおいて呆然としながらも降伏に同意した。こうしてドクツの初陣は完勝に終わった。


TURN9   完


                 2012・3・9
 
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