レーヴァティン
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第三十一話 アジトその五
「一番だよ」
「順風満帆だね」
「それだよ」
まさにというのだ。
「本当にな」
「そうだよね、やっぱりね」
「トラブルはな」
「ない方がいいよ」
淳二もこうした考えだった。
「何でも順調に」
「波風なくな」
「そういけたらいいね」
「ああ、けれどな」
「現実はね」
「そうはいかないものだよ」
久志は腕を組み口をへの字にさせて述べた。
「これがな」
「そうなんだよね、特においら達はね」
「モンスターも出てな」
そしてだ。
「天気が変わったり思わぬ事態が起こったりな」
「何かしらね」
「そうしたことが常だからな」
「思わぬトラブルにイレギュラーね」
「いつもだよ」
そうしたことが起こって事態が変わることはだ。
「順風満帆なんてな」
「冒険においてはね」
「あるものじゃない」
それこそというのだ。
「それこそそうなった方が奇跡だよ」
「全くだね」
「だからな」
「そうしたことの方がない」
順調に進む、戦いも冒険自体もだ。
「思わぬ事態はいつもだよ、御前に会ったのもそうだったしな」
「あはは、そうだね」
「全く、まさかな」
「おいらもだよ、盗みに入ってね」
久志達から見れば怪盗を捕まえることを引き受けて張り込んでいたらだ、その時はお互いに今の状況は想像すらしていなかった。
「皆と会うなんて」
「世の中は不思議なものだよ」
「何が起こるかわからないからね」
「本当にな」
「いいことの場合も悪いことの場合もあるけれど」
「何から何までわかるとかな」
それこそという口調でだ、久志は淳二に話した。
「それは神様だけだよ」
「それもかなり位の高い」
「そうした神様だけさ」
久志は達観した様に話した。
「俺達は所詮人間だよ」
「だからわかることは少ないよ」
「そうさ、だからな」
「世の中何が起こるかわからない」
「誰でも。勿論俺達もな」
そうしたものだとだ、久志は淳二とこう話してだ。そのうえで全員で淳二が案内してくれた宝物庫に行くと。
様々な剣や鎧、盾に兜にだ。魔法の道具に宝箱から溢れ出ている金や銀、宝石達があった。そうしたみらびやかな宝物達を見て。
最初に唸ったのは正だった、彼はおいおいといった顔になってそのうえで淳二に対して言った。
「上出来過ぎるだろ」
「上出来かな」
「ここまで集めたらな」
それこそというのだ。
「凄いぜ」
「気付いたらね」
「これだけ集まってたのかよ」
「そうなんだ」
その正に反比例して淳二の態度はあっさりしていた。
「それだけだよ」
「これはっていうお宝集めてか」
「モンスラーも倒してたらね」
「これだけの宝も集まってか」
「お金もだよ」
金や銀、財宝達がというのだ。
「集まったんだな」
「ああ。珊瑚もあるね」
源三はこの宝石にも気付いた、見れば赤い鹿の角を思わせる形のそれも財宝の中にあった。
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