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ヘタリア大帝国

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83部分:TURN8 レーティア=アドルフその七


TURN8 レーティア=アドルフその七

 そのハンナを見ながらだ。宇垣はまた周囲に述べた。
「ガメリカではあの女と会う」
「あちらの国務長官とですね」
「そうされますか」
「そうしたい。そういえばガメリカでは太平洋艦隊司令長官が交代するというが」
 宇垣はここでこの話もしたのだった。
「果たして誰だろうな」
「それはまだわかりませんが」
「しかし。ガメリカは太平洋艦隊を大幅に増強してきています」
「エイリスの艦隊に匹敵するまでです」
「かなりの規模になっています」
「やはり戦う気でしょうか」
「だろうな」
 宇垣もそう読んでいた。そのうえでだ。
 ガメリカ側を見てだ。また言うのだった。
「中帝国の後ろにいるのもガメリカだ」
「はい、義勇軍も送ってきていますし」
「そして中帝国に色々と援助をしています」
「関係があるのは明らかです」
「ソビエト以上に」
「ソビエト派は北京の戦いで壊滅したがな」
 東郷が指揮を務めた北京星域での戦いでだ。そうなったというのだ。
「だがそれでもだ」
「はい、それでもですね」
「中帝国の中のガメリカ派の力は強いです」
「実質的に同盟国となっています」
「今の様に」
 隣同士に座る。そこまでになっているというのだ。
 この両国の関係についてもだ。宇垣は言及してきた。
「ガメリカは移民の国、実に多くの移民がいる」
「特に宗主国だったエイリスからの移民が多いですね」
「もっともそれだけではありませんが」
「アフリカからの奴隷が解放されてもいる」
 宇垣はこのことも話した。
「そして提督にもなっている」
「そういえばあの国務長官もですね」
「顔立ちは白人ですが」
「肌は」
「そうだ。明らかに黒人の血が入っている」
 ハンナのそのこともだ。宇垣は指摘した。
「少なくとも人種の融和はかなり進んでいる」
「ガメリカのいい部分ではありますね」
「元は奴隷であっても提督にも大臣にもなれる」
「そのことは」
「確かにいいことだ。そしてだ」
 そのだ。移民達の中にだというのだ。
「中帝国から来た者達も多いのだ」
「そうですね。日本帝国からの移民よりも遥かにですね」
「中帝国からの移民は多いです」
「ガメリカの主要都市には全てチャイナタウンがあります」
「その発言力もかなりのものです」
「その縁もあってだ」  
 その移民達のこともあってだ。ガメリカと中帝国の関係はというのだ。
「あの両国は親密な関係にあるのだ」
「中帝国は我が国と戦う為に同盟国を探していますし」
「そしてガメリカはアジア市場を慾している」
「互いの利益も一致しているからこそ」
「我が国と」
「我々はただ生きたいだけなのだがな」
 宇垣の言葉はここでは残念そうなものになった。
「戦争はできるなら避けたいが」
「しかしそれがですか」
「それがどうなるのか」
「それが問題ですね」
「果たして」
「そうだ。あの両国に対する為にもだ」
 その為にだと。宇垣はまたレーティアを見た。そのうえで言うのだった。
「ドクツとはだ」
「親密にならなければなりませんね」
「孤立を避ける為にも」
「我が国は太平洋で孤立している」
 宇垣はこの事実も指摘した。
「米中、そしてエイリスに囲まれてだ」
「エイリスはこれといって動いていませんが」
 今の時点ではだ。
「しかしそれでもですね」
「我が国を危険視している様ですし」
「油断はできませんね」
「全く。大変な状況だ」
 宇垣の今度の言葉は憮然としたものだった。腕を組んだままでだ。
 
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