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ヘタリア大帝国

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76部分:TURN7 捕虜の処遇と処罰その十


TURN7 捕虜の処遇と処罰その十

 ここでだ。彼はこうも言ったのだった。
「ですが。それはそれで」
「困ったことになっていますね」
「彼等はとにかく純粋です」
「正義感と義侠心に満ちていますね」
 つまり善人なのだ。そこが樋口達とは全く違っていた。
「そして有能で真面目でもあります」
「人間として非の打ち所がないのですか」
「しかしそれでもですね」
「視野が狭いのです」
 それがだ。平良達憂国獅子団の面々の欠点だというのだ。
「国粋主義から国際協調主義になりです」
「平等主義がいい意味でかなり強くなってもですね」
「はい、視野が狭く正義感が強過ぎます」
「ですから平良さんも」
「お陰で有能な提督を一人欠いてしまっています」
 秋山は頭痛に悩む様な顔になってしまった。その頭も抱えてしまっている。
「大切なこの時に」
「あれは私も頭が痛いです」
「両班の横暴は確かに問題です」
 韓国のかつての特権階級だ。彼等の横暴は今も韓国での社会問題の一つとなっている。
「ですがそれは司法に任せるものであり」
「軍人がそれを見てすぐに成敗するというものではないですね」
「はい、そうです」
 つまりだ。困っている民を進んで助けることはどうかというのだ。
「確かにそれはいいことですが」
「それでもですね」
「両班は成敗された後で恨みを持ちます」
「それで平良さんも懲らしめた後で背中を向けられた時に」
「後ろから刺されたのです」
 善良な臣民を虐める両班を懲らしめて去ろうとしたそこにだったのだ。
 両班が彼の背中から襲い掛かりだ。刃を突き刺したのだ。
 それでだ。彼は今入院しているのだ。
「その結果です」
「今有能な提督が一人欠けています」
「しかも思ったより重傷でした」
「それで今も入院ですからね」
「ああしたことがあるのです」
 本当にだ。秋山は頭を抱えんばかりの様子である。
「ああした者達は通報して警察なりに任せればいいのです」
「軍人が止めて成敗するものではないですね」
「その通りです。ああしたことがあるのですから」
「あの方はよかれと思って行われ実際に正しい行いですが」
「それでも結果としてそうなったのですから」
「憂国獅子団の方々はどうすればいいのでしょうか」
 二人で悩んでいる。しかしだ。東郷はこう言うのだった。
「まあ彼等は世の中に出して世間を知ってもらえばいい」
「それでいいのですか」
「憂国獅子団の面々は」
「視野が狭いのなら色々なものを見せればいい」
 それで済むというのだ。
「人生は経験だからな」
「それ故にですか」
「悲観することもないですか」
「悲観しても何もならない」
 東郷はいつもの東郷らしく二人に言ってみせる。
「俺はそう思う。だから憂国獅子団の面々もどんどん色々なところに行かせよう。ただしそうした軽挙妄動はその都度咎めていくぞ」
「わかりました。では彼等も」
「そうして手を打っておきましょう」
 小悪党だけでなくだ。視野の狭い善人もまた問題となるのだった。東郷達はこのことについても話しながらだ。そのうえで南京攻略の前に為すべきことをしていくのだった。


TURN7   完


                    2012・2・21
 
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