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ヘタリア大帝国

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71部分:TURN7 捕虜の処遇と処罰その五


TURN7 捕虜の処遇と処罰その五

 暗い顔になりだ。こう答えたのだった。
「やはり。そうなるのですね」
「共有主義は自分達以外の存在を認めない」
 そのイデオロギー自体がだと。東郷は述べた。
「だからこそだ。危険極まる思想なんだ」
「そして中帝国が共有主義になれば」
「今より遥かに酷いことになる」
 東郷は断言した。そうなった場合の中帝国の未来についてだ。彼はそうなることを確信しているが故にだ。リンファに対して断言できたのである。
「想像を絶する監獄国家になってしまう」
「監獄国家・・・・・・」
「君は中帝国をそうしたいのかい?」
「いいえ」
 リンファは蒼白になって東郷の今の問いに首を横に振った。
「私は。誰もが仲良く幸せになれる国にしたくて」
「そうだな。しかし共有主義ではだ」
「それはなりませんか」
「その通りだ。他者を認めないからこそ」
「では」
「そう。すぐに答えを出してくれとは言わない」
 東郷もそれは求めなかった。
「だが。共有主義についてよく考えてみてくれ」
「わかりました。それでは」
「そのうえで君は今後どうするのか」
 東郷は共有主義からリンファ自身について尋ねた。
「そのことを考えてくれるか」
「私は捕虜になりました」
 そこからだ。リンファは東郷に応えた。
「そして捕虜はですね」
「そうだ。国際法で捕虜にした国の軍に入ることになっている」
「そうしなければですね」
「戦争終結まで抑留されることになる」
 これがこの世界での捕虜の決まりだった。
「君はずっと抑留されたいか。なら丁重に扱わせてもらうが」
「いえ、私はです」
 顔を少し上げてだ。リンファは東郷に答えた。
「ソビエトに疑問を持ちました」
「だからか」
「はい。母国とは戦えませんが」
 中帝国、彼女のその国からはというのだ。
「ですがそれでもです」
「戦うことはか」
「防衛の任なら。中帝国以外の国との戦闘ならばです」
「参加してくれるか」
「そうさせて下さい」
 切実な声でだ。リンファは東郷に話す。
「私は捕虜になり。そして共有主義に疑問を持ちましたので」
「そのソビエトの実態を知る為にも」
「ソビエトとも。必要とあらば戦います」 
 今のリンファの言葉も顔もだ。迷いはなかった。
「ですからお願いします」
「わかった。では艦隊を一つ用意しよう」
 リンファの決意を受けたうえでだ。東郷は彼女に答えた。
「そちらの艦艇の他にこちらの第一世代の艦や魚が混ざるがいいか」
「はい、戦えるなら問題はありません」
「よし。では台湾から愛情を受けてな」
 そうして指揮や能力を上昇させてからだというのだ。
「宜しく頼む」
「わかりました。それでは」
 リンファは中帝国の敬礼をしてそのうえでだった。日本帝国軍に入ったのだった。
 リンファは満州方面に配属された。それを受けてだ。東郷は長門の艦橋で秋山の言葉を聞いたのだった。
「リンファ提督は満州とシベリアの国境地帯につかれています」
「そうか。そうしてだな」
「はい、ソビエトへの備えとなられています」
「いいことだ。今の彼女は共有主義には戻らない」
「戻りませんか」
「共有主義のことを知ったからな」
 それ故にだというのだ。
「問題はない」
「では。今は」
「満州は彼女に任せる」 
 東郷は微笑んで秋山に述べた。
 
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