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悪行が善行に

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第四章

「俺はな、けれどな」
「たまたま奴等がいてか」
「それでか」
「いじめとカツアゲを止めたんだな」
「そうしたんだな」
「俺はワルになりたいけれどな」
 それでもというのだ。
「外道にはなりたくないんだよ」
「それで無意識のうちに止めてか」
「向こうが先に仕掛けたからか」
「徹底的に叩きのめしたんだな」
「御前強いしな」
「空手やっててな」
「いつも護身用で警棒持っててな」
 空手は何と三段である。
「そんなのに喧嘩売る方が馬鹿だろ」
「そもそもな」
「まあ連中は自業自得だな」
「ガキの時の悪事で人生パーだぜ」
「それはざま見ろだな」
「けれどな」
 またぼやくポールだった、それで言うことはというと。
「俺は何度も言うけれどな」
「ワルになりたいんだよな」
「どうしても」
「そうだよな」
「そうだよ、何でそれが出来ないんだよ」
 悪いことをしようとすればというのだ。
「それでな」
「家でビール飲んだら店の助けになってな」
「落書きしようとすれば悪者を成敗して」
「まあちょっとやり過ぎかも知れないけれどな」
「殺さないだけましだろ」
 廃人になるまで叩きのめしたがというのだ、この辺りオーストラリアは容赦しないお国柄なのだろうか。
「そこは」
「そんなものか」
「まあとにかく表彰もされたし感謝もされたしな」
「善行だな」
「そうなるな」
「俺はいいことなんてしたくないんだよ」
 ポールは抗議する様に言った。
「それこそな、けれどなんだよ」
「あれじゃないのか?」
 友人の一人がポークチャップを食いながらチキングリルを食べているポールに対して言った。
「御前が意識するしないに関わらずな」
「それとは関係なくか」
「神様がそうさせてるんだろ」
「神様がかよ」
「御前に悪いことをさせない様にしてるんだよ」
「むしろか」
「いいことをさせようってな」
「俺も神様は信じてるぜ」
 信仰はあることはとだ、ポールは言った。
「それはな」
「そうだよな」
「日曜は教会に行ってるしな」
「行かない時はあってもだよな」
「行ける時は行ってるぜ」
 そうしているというのだ。
「そりゃ俺の姓の本人みたいに馬鹿みたいに真面目に信仰してはいないけれどな」
「それでもよな」
「御前も信仰心あるよな」
「それで神様も信じてるよな」
「ちゃんと」
「そもそもワルになろうってのもな」
 それもというのだ。
「そいつみたいに糞真面目なのが嫌だからだよ」
「極端に真面目だったしな、クロムウェルって」
「そのせいで他人にも滅茶苦茶厳しくてな」
「もうその政治たるやな」
「絶対王政の方が遥かにましだったっていうからな」
 清教徒以外特にカトリックを圧迫していた、娯楽やそういったものを規制し日常生活をあれこれ束縛した。その為今も厳しい評価をする者が多い。 
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