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マジック

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第二章

「もう万年Bクラスじゃないぞ」
「影が薄いとか言わせるか」
「巨人のFA選手育成チームとかな」
「言わせるか」
「絶対にな」
「そうだ、言わせるものか」
「今年も優勝だ」
 去年に続いてというのだ。
「努力が一番いいんだよ」
「地道にな」
「その地道さがいいんだよ」
「見ろ巨人を」
「もう最下位は決まったぜ」
「今年で十年連続最下位か」
「それも十年連続百敗だぜ」
 敗北に敗北を重ねた結果だ、親会社の金がなくなりFA選手も助っ人も来なくなり主力選手がどんどんメジャーや他チームに行き選手育成が全く出来なくなっていて怪我人も無駄に多くなった結果だ。
「巨人はあのままいろ」
「努力しない連中はああなるんだ」
「しかし広島は違う」
「努力して優勝してやる」
「阪神ですら破ってな」
「何かあのチーム凄いタイミングでいつも負けるけれどな」
 阪神にとってここ一番という時にこそだ。
「その阪神にも勝ってな」
「それでマジック減らして」
「今年もカープの胴上げ達成だぜ」
「今年はマツダスタジアムで見たいな」
 緒方監督の胴上げ、それをというのだ。
 彼等はカープがマジックをさらに減らすことを期待してだった。そのうえで。
 阪神との試合を観た、だが最初の試合は。
 阪神は粘りに粘って延長十一回でアーチが出てこれが決勝点となってだった。そのうえで勝った。それを見て広島ファン達はまた嘆いた。
「そこで負けるのが阪神じゃないのか」
「こうした時にこそ」
「まさかの負けをするんだろ」
「魔物は何してるんだ」
「ケンタッキーのおっさん寝てるのか?」
 阪神に憑いていると言われている、彼等のせいで阪神はここぞという時に負けてしまうというのだ。
「ひょっとして」
「いや、それはないだろ」
「けれど何でここで負けるんだよ」
「延長までなったのに」
「こうした時にこそ勝つのはうちだってのに」
「明日負けたらマジック減るぞ」
「そうなるぞ」
 またそうなるとだ、彼等は危惧した。そしてだった。
 その次の試合阪神は完封した、伝統的にいい投手陣が奮起した結果だ。
「完封か」
「相手がよ過ぎたな」
「今日は仕方ないな」
「むしろヒット五本出ただけでもましだな」
「まだな」
 それだけ出てというのだ。
「こっちも二点で抑えたけれどな」
「それでもな」
「まあ仕方ないな」
「今日はな」
「これでまたマジック消えたぜ」
 ここでこのことが話させた。
「折角点いたってのに」
「それがまた消えたな」
「また点けたいな」
「本当にな」
 広島ファン達は心から願った、そして。
 その次の試合はというと。
「よし、勝ったな」
「ああ、今日はな」
「シーソーゲームだったにしても」
「勝ったぜ」
 広島の方がというのだ。
「これでまたマジック点灯だな」
「しかも十だ」
 そのマジックの数がというのだ。 
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