レーヴァティン
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第三十話 返還と賠償の後でその七
「特別な方法じゃないと行けないんだよね」
「魔法でも使わないとか」
「そう、そうそうはね」
それこそというのだ。
「行けない場所なんだ」
「御前魔法使えないだろ」
「それが転移の魔法なら使えるんだよ」
「それでか」
「そう、おいらは転移の術でね」
この術を使ってというのだ。
「自由にね」
「アジトまでか」
「何時でも戻れるんだ」
「成程な」
「じゃあ今からね」
早速とだ、淳二は一同に話した。
「戻ろうか」
「俺達の場合はお邪魔する、だな」
久志はこう淳二に言った。
「この場合は」
「ああ、そうなるね」
「御前のアジトで家だからな」
「そうだよね」
「じゃあお邪魔するな」
「案内するよ、ただ」
ここでだ、淳二は仲間達にこんなことを話した。
「ちょっとお腹が空いたね」
「もうお昼の時間だね」
源三が時間のことを言ってきた、自分が持っている錬金術の中で造った懐中時計で時間をチェックしての言葉だ。
「早いね」
「ああ、じゃあ皆もかな」
「朝飯は軽くだったしな」
正が言ってきた。
「昨日の夜御前を捕まえてな」
「それでだったね」
「色々あって夜は寝てないしな」
実は全員徹夜だ、気付けばそうなっていたのだ。
「朝飯なんてパン一個だったな」
「そうでしたね」
順一は正のその言葉に頷いて返した。
「我々は昨日は」
「パン一個だとな」
「お腹が空くのも道理です」
「じゃあ今からな」
「食べますか、お昼を」
「そうするか」
「ではです」
一同の言葉を聞いてだ、進太が彼等に言ってきた。
「この近くの村に行きましょう」
「村か」
「あの村です」
久志に応えて彼等が今歩いている道のすぐ前にある村を指差した。
「あの村にいい食堂がありまして」
「へえ、そうなのか」
「パスタが絶品です」
久志達に微笑んで述べた。
「ミートソース系の」
「ボロモードとかか」
「そちらが。そしてペンネやラザニアもいいです」
その店の料理はというのだ。
「特にフェットチーネが」
「大蒜とオリーブも効かしてるよな」
「勿論です」
この二つについては言うまでもなく、という返事だった。
「そちらも」
「よし、じゃあそこでいいか」
久志は一行を代表する立場として進太に応えた。
「今回はな」
「そのお店で、ですね」
「パスタを食おうか」
「勿論ワインもあります」
「余計にいいな、しかしこっちの世界にいると」
「よくワインを飲みますね」
「酒全体をな。朝からな」
あちらの世界の日本では夜だけだがというのだ。
「それがな」
「この島は欧州なので」
それも中世の頃の欧州がかなり強く出ている、生産力等はこちらの島の方があちらの世界の中世の欧州よりも遥かに高そうにしても。
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