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ヘタリア大帝国

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43部分:TURN4 長官の娘その十


TURN4 長官の娘その十

「けれどあの味はかなりなんだぜ」
「美味しいですね」
「ビーフシチューは俺も知ってるんだぜ」
 エイリスのだ。あの料理はだというのだ。
「エイリスの料理にしてはかなり美味いんだぜ」
「そうですね。エイリスはお世辞にも美味しいものは」
「全くないんだぜ」
 韓国はこうまで言った。エイリスの料理について。
「あんな飯のまずい国はないんだぜ」
「エイリス大使館で御馳走になった時のことですか」
「よくあんなの食えるんだぜ」
 晩餐会でのそれを思い出しながらだ。韓国は日本に忌々しげに話していく。
「あそこまでまずいともう芸術なんだぜ」
「私はそこまで言いませんが」
「それであの眉毛何て言ったんだぜ」
 韓国はある国の名前を出した。
「ほら、あのエイリスから出て来た」
「ああ、イギリスさんですね」
「あいつが作った料理は本当に最悪だったんだぜ」
「あの、韓国さんひょっとして」
「んっ、何なんだぜ?」
「イギリスさんのことを御存知ないのですか?」
 日本は韓国の話からこのことに気付いたのである。
「あの方のことは」
「俺どうでもいい奴のことは覚えない主義なんだぜ」
「いえ、イギリスさんはエイリスの主要国家ですが」
 そのエイリスのだ。軸であるというのだ。
「その方のこともですか」
「俺は中国の兄貴とアメリカさんのことは知ってるんだぜ」
 何故かこの二人には低姿勢の韓国だった。
「それでもそんな奴のことは知らないんだぜ」
「では欧州の方々のことは」
「俺は太平洋の人間なんだぜ」
 胸を張って言う韓国だった。
「だから欧州のことなんて知らないんだぜ」
「ではドイツさんのことは」
「ドイツは知ってるんだぜ」
 この国のことはだ。韓国も知っていた。そのうえでの言葉だった。
「ドクツの主要国家なんだぜ」
「その通りです。ですがイギリスさんもドイツさんも」
「どうしたんだぜ?」
「原初の八国なのですが」
 そうした国だというのだ。この両国は。
「私や中国さん、アメリカさんと同じく」
「何っ、そうだったんだぜ」
「はい。私達はそうなのです」
 このことをだ。日本は韓国に話した。
「気付いたらこの世界にいて。人間の方々と共にいましたが」
「ううん、そんな古い奴だったんだぜ」
「その時は人間の方々はまだまだ少なかったです」
 日本は自分が国家として意識を持った頃のことを思い出しながら韓国に話していく。
「ただ。柴神様はおられました」
「あの人はなんだぜ」
「はい、おられました」
 柴神はだ。その頃からいたというのだ。
「人類より前かその誕生と共におられた様です」
「あの神様そんなに古かったんだぜ」
「私達八人にも色々と教えて頂きました」
 日本は柴神に受けた恩も忘れていなかった。だが、だった。
 韓国にだ。こうも話したのだった。
「しかし何時この世に出て来られたのかは」
「日本も知らないんだぜ?」
「どなたも御存知ない筈です」
「八国全部がなんだぜ」
「そうです。どなたも御存知ありません」
 そうだというのだ。
「どういう訳か」
「ううん、不思議に過ぎるんだぜ」
「何か妙に恐れている感じが。その頃には強くありました」
 日本が生まれた。その時はだというのだ。
「今はそうでもないですが」
「何かに?」
「はい、何かにです」
 日本は少し怪訝な顔で韓国に話す。
「その何かがわかりませんが」
「ううん、柴神さんにも謎があったんだぜ」
「原始から人間と共にいる方ですが」
「それじゃあ創造神なんだぜ?」
「さて、それもよくわからないのです」
 柴神がどういった神かもだ。日本はわからなかった。
 それで再び首を傾げさせてだ。また韓国に話した。
「柴神様御自身はそのことを否定されていますし」
「最初からいるのに創造神じゃない?」
「この世界を創造した神がいないということも有り得ないですし」
「謎が謎を呼ぶんだぜ」
「はい、私もそう思います」
 こうした話をしながらだ。日本は柴神やこの世界のことを考えていた。それは長い間人類と共にいる彼にしても知らず、そしてわからないことだったのだ。


TURN4   完


                   2012・2・15
 
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