ヘタリア大帝国
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4部分:TURN1 殿軍その四
TURN1 殿軍その四
「じゃあ頑張らせてもらうからよ」
「はい、ではお願いします」
「ただ。田中さんは猪突猛進です」
また一人出て来た。今度はだ。
緑のおかっぱ頭にトパーズの色の瞳をした無機質な感じの少女だった。小柄で軍服はしたがやたらと丈の短いスカート、それにハイソックスとなっている。頭には小さな白いベレー帽とゴーグルがある。
その少女がだ。こう言うのだった。
「もっと慎重になって下さい」
「貴女は確か」
「はい、祖国さん」
少女は日本の言葉に応えて言う。
「私が小澤祀梨です」
「そうでしたね。貴女も確か」
「目下売り出し中。美少女将校です」
自分で言う小澤だった。
「宜しくお願いします」
「そうでしたね。貴女も第二艦隊に配属されていたのですか」
「そうなってます」
「ううむ。中々面白い人達が揃っていますね」
日本もある意味において感心することだった。
「田中さんに小澤さんとは」
「もう一人いるよ」
また一人出て来た。今度は。
紅い燃える様な長い、腰までの髪に確かな、気風のよさそうな顔に気の強そうな鳶色の目をした長身の女だった。胸がやけに目立つ。
日本帝国海軍の白い軍服だが膝までのスカートには深いスリットがありストッキングを穿いている。その彼女が来てだ。日本に笑顔で言うのだった。
「南雲圭子。知ってるかな祖国さんは」
「この前結婚された」
「あっ、そのこと知ってるんだね」
「はい。士官学校の教官だったのでしたね」
「そうさ。これでも教員資格も持ってるんだよ」
笑って自分のことを話す小澤だった。
「あたしも第二艦隊さ。宜しくね」
「では」
「しかし。何だね」
南雲は祖国に田中、そして小澤も見てだ。そのうえで言うのだった。
「個性的だねえ。第二艦隊は」
「ですが強力な布陣ですね」
日本はその南雲も含めた三人を見ながら言った。
「この顔触れなら大丈夫ですね」
「おうよ。がんがん攻めてやるぜ」
「索敵はお任せ下さい」
「じゃあ水雷戦の用意もしておこうかね」
三人はそれぞれ日本に対して言う。田中は威勢よく小澤は無表情、南雲は明るい笑顔で。それぞれの表情で日本に対して言うのだった。
そして日本はだ。ここでだ。
第四艦隊、その旗艦長門に通信を入れた。するとすぐにだ。
眼鏡をかけた長い黒髪の神経質そうな青年が出て来た。黒い瞳は知的な輝きを放っているがそれでもだ。いらぬ苦労をしている感じがしていた。
軍服は端整に、生真面目なまでに着ている。見れば額が気になる。黒髪に隠れているが。
その彼が出て来てだ。こう日本に言ってきたのだった。
「これは祖国様、どうされたのですか」
「どうも秋山さん」
その男秋山敬一郎にだ。応える日本だった。
「東郷さんはおられますか」
「司令ですか」
「はい、おられるでしょうか」
「実は今は」
ここで秋山は難しい顔になって日本に答えた。
「その、つまりは」
「ああ、あれだね」
秋山が口ごもっているとだ。南雲が笑って言った。
「また可愛い娘のところだね」
「あの、その」
「長門の看護婦の娘は可愛いからね」
南雲は笑いながら口ごもり困った顔になっている秋山に言っていく。
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