レーヴァティン
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第三十話 返還と賠償の後でその五
「倫理的にはです」
「うん、盗みだからね」
「盗賊でもです」
「盗んだことはだね」
「よくないです」
どうしてもというのだ。
「ですから返還と賠償はです」
「当然なんだ」
「それで済ませてもらうのならいいかと」
「処刑されたり牢獄に入れられたリ」
「そうなるよりはです」
遙かにというのだ。
「いいでしょう」
「まあそれはね」
その通りだとだ、淳二も頷いた。
「おいらもそう思うよ」
「そうですね、そしてです」
「そして?」
「そうしたものを集めること自体はいいことです」
盗むことは悪ではあるがというのだ。
「それはいいです」
「そうなんだね」
「はい、よい武具や道具を集めて」
「それをおいら達が使ってね」
「戦うこと自体はいいことです」
「そうなんだね」
「そうです、まあ魔神を倒せる様なものは」
そうしたレベルのもの、つまり神が実際に使うまでに強い力を持っているものはというのだ。
「やはりです」
「人の世界にはだね」
「例え存在していましても」
「盗める様なものじゃないか」
「そうです、これも」
ここでだ、順一は自分の手を観た。もっといえばその手の中に今も収められているものをである。
「私だけしか触れられず」
「それでだね」
「持っています」
「レーヴァティンもだな」
久志が言ってきた。
「神殿の中にあってもな」
「そういえばそうだね」
「ああ、俺が引き抜いてな」
それでというのだ。
「自分のものにしてるな」
「俺はあれだ」
正が言うには。
「神殿の仕事をしてな」
「アルテミスの神殿だね」
「そこで褒美としてな」
「貰ったんだね」
「ああ、持てればやるって言われてな」
それでというのだ。
「実際に持ててな」
「それでか」
「今持ってるんだよ」
「成程ね」
「僕は自分で造ったよ」
「私は頂きました」
源三と進太も言ってきた。
「功績により」
「錬金術師としてね」
「おいらはある洞窟を探検して」
淳二も自分のことを話した。
「そうしてなんだ」
「隠れ身の兜をか」
「手に入れたよ」
「それで一番奥にでもあったんだな」
「そうそう、色々倒してね」
モンスター達をというのだ。
「手に入れたよ」
「そうだよな」
「ってことは」
「ああ、それこそな」
「誰でも使えるものは」
「そうそうな」
「使えないんだね」
ここで淳二も納得した。
「おいら、つまり誰でも触れられるものは」
「御前もそうしたのを持っていてもな」
「それでもだね」
「その程度のものってことだよ」
幾ら強くとも、というのだ。
「結局はな」
「そうなんだね」
「折角集めたがな」
「まあ仕方ないね」
「あっさりしてるな」
「いや、結局ね」
集めてもというのだ。
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