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レーヴァティン

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第三十話 返還と賠償の後でその三

「支払ってもらう」
「そしてそれでだね」
「全て終わりだ」
 怪盗としての件はというのだ。
「そうなる」
「完全にだね」
「そしてそれからはだ」
「この盗みの技を世界を救う為に使うってことだね」
「ヘルメスは盗みの神でもある」
 この世界でも信仰されている、ゼウスの息子の一人であり機転と俊敏さをその武器としている。
「そしてその技で何度も神々を助けている」
「そのヘルメスみたいにだね」
「働いてもらいたい」
 是非にというのだ。
「いいな」
「わかったよ、じゃあね」
「今すぐにだ」
「ここに持って来るよ」
「待っている、そしてだ」
「持って来た時にだね」
「貴殿の冒険がはじまる」
 そうなるというのだ。
「罪を償ってからな」
「身奇麗になってだね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「そうなるからな」
「じゃあすっきりするよ」
「待っているぞ」
 団長はこれで話を終えた、そしてだった。
 その話の後で退室してだ、ここでだった。
 久志は淳二にだ、こう尋ねたのだった。
「御前何で怪盗やってたんだよ」
「お宝を盗んでたかだよね」
「ああ、どうしてだよ」
「いや、実はね」
「実は?」
「いいアイテム探していたんだよ」
 淳二は久志に笑って答えた。
「おいらも世界を救うって話を聞いてたのは知ってるよね」
「ああ、それはな」
「だからね」
「世界を救う様な力があるか」
「そうしたお宝を探してね」
 そうしてというのだ。
「怪盗をしていたんだ」
「そうだったんだな」
「うん、けれどね」
「そんな凄いお宝あったか?」
「あるにはあったよ」
 そうだったとだ、淳二は久志に答えた。城の中の廊下を進みながら。
「今回狙ってた鎧にしても」
「そうした凄い宝だったか」
「おいら目利きも出来るからね」 
 財宝のそれがとだ、淳二はここでも笑って話した。
「だからね」
「それでか」
「うん、このお宝はどうかってね」
「観てそうしてか」
「事前に忍び込んでね」
 その財宝がある場所にというのだ。
「隠れ兜を使って」
「事前に調べてか」
「観てもしてね」
「そうして盗んでたか」
「そうだったからね」
「全部そんな強さのやつか」
「そうだよ、ただね」
 ここでだ、こうも言った淳二だった。
「凄いお宝ばかりでね」
「世界を救えてもか」
「確実に出来そうなものか」
「なかったか」
「何かね」
 これまで盗んだものの中にはというのだ。
「ないんだよ、これが」
「そうなのかよ」
「ほら、君もレーヴァティン持ってるだろ」
 久志のその剣の話もした。
「それを」
「ああ、これな」
 久志も腰にあるその剣に目をやって応えた。 
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