緋弾のアリア ~とある武偵の活動録~
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prelude
~the skill of ancestress~
「ふわぁぁ……」
うん、9時30分。大丈夫だな。洗面器で顔を洗い、髪の毛を整える。一応、武偵高の制服に着替えて。予備弾倉をしまい、ベレッタとデザートイーグルをホルスターに入れる。
あとは歩いて上野駅まで行くだけ。……あれ?もしかしたら出るとき会うんじゃあ……
ガチャっ パタン。
「あ」
「やっぱりなー……」
....................
「なんで一緒に行こうって言わなかったんだろう、俺....」
「なんでだろうな」
俺たちは徒歩で上野駅まで向かう。
「っていうかなんでいきなり、家のじいちゃんに用があるなんて言ったんだ?」
「キンジのおじいちゃん、元軍人だろ?強襲科所属の俺としては、軍人ほど参考になる人はいないんでね」
「そうか……。じいちゃん、昔はかなりの人だったらしいが…その事全然話してくれないんだよなぁ」
そんな話をしていると、いつの間にか上野駅に着いていた。
「さて……行くか。彩斗」
「行くのはいいんだが。Suica持ってるのか?」
「当たり前だろう……俺を何だと思ってるんだよ」
「そりゃあ、ネクラ・女たらし・昼行灯・ニート・元Sランク武偵」
指を折りながら数えていく。
「なんで俺のあだ名知ってるんだよ!あと後半おかしくないか!?」
「まぁまぁ……。ほら、行くぞ」
「ったく……」
改札をくぐり、巣鴨を通過する電車に乗る。
-プシュー…
「彩斗、その……アリアが家に、押し掛けてきたりとかしたか? 」
キンジが唐突にそんなことを聞いてくる。
「……?ああ。挙げ句ドレイになれとか言われた」
「なんか…話が飛躍してないか?」
「いや、本当だ。家に押し掛けてきたと思ったらトイレに勝手に入って…それからドレイになれとか何とか」
「実は俺も、アリアに家に押し掛けられそうになった。尾行されてたみたいでな。家のチャイムを鳴らしてきたんだよ……居留守を使ったら、諦めて帰ってくれたが」
「そりゃあ災難だったな」
....................
間もなく巣鴨。巣鴨です。
「そろそろだな。降りたらお前の実家まで、案内してくれるか?」
「分かった」
♪……ドアが開きます。お忘れものの無いように、ご注意ください……
俺たちは電車を降り、改札をくぐる。
「えーっとたしか……こっちだ」
キンジが実家まで案内してくれる。
....................
「…なんか、家の実家に行く道と一緒だな」
「そうなのか? ……着いたぞ。ここだ」
「……え?」
-びっくりした。何がって?
「キンジ。まさかお前の実家の隣が、俺の実家だとは思いもしなかったよ……」
「え…、そうなのか!?」
「ん。表札見てみな」
と言って、キンジの実家の1個奥の家-家の実家だ。の表札を指差す。
「ほんとだ……全く気にしてなかった……!」
「まあ、今はお前の実家にお邪魔するがな」
-ガラララッ。
中からキンジのおじいちゃんらしき人が出てきた。
「……ただいま」
と、キンジが言う。そしておじいちゃんが、
「ん、よく帰った」
とだけ言う。俺も挨拶するか。
「どうも、こんにちは」
「んー?これはキンジの友達か?」
「うん。武偵中からの友達」
「そうか。ところでお主、名は何と言うんじゃ?」
「如月彩斗です。あ、ちなみに。実家がお宅の右隣なんです。」
「…やはりか。お宅のじいさんとたまに話をするんじゃが、武偵高に通ってる孫がいると聞いてな。お前さんのことじゃったか。....ところで、このような別嬪さんに興味はあるか?」
-と、和服の袂から明らかにR18系の写真を出してくる。
「うーん…アハハ..........」
俺が苦笑いをしていると、
「あらキンジ、お帰り。その子は友達かい?」
-ゴスッッッ!!!
いつの間にか現れた、キンジのおばあちゃん、だろう。
が、喋りながらのベリーショートパンチを叩き込んだ。
「ほぉぷっ!」とかワケわからない声を上げながら、おじいちゃんが向かいのブロック塀まで吹っ飛ばされる。
「秋水..........!」
しゅうすい?なんだそれ。
「…秋水って何だ?」
小声で言う。
「遠山家の奥義の一つだよ。衝撃の力-撃力とは、実践上、激突する物の重さと速度によって違うんだが……
この秋水では、余すことなく全体重を乗せる。そうすると、ベリーショートパンチ。つまりほとんど動かなくても甚大な撃力が生じるんだ」
「……似たような技が中国武術の寸勁って名前であったな」
「ああ。要はパンチに見えて、最も技術化された体当たりだ。昔-俺の兄さんが解説してくれたところによると..........」
-8グラムしかない9mmパラベラム弾が大きな衝撃を生むのは、速度がひたすら速いから。軽いが、速い。
秋水はその逆。重いが、遅い。おばあちゃんの体重だって40kgはある。弾丸の約5000倍だよ。それが拳に一転集中するなら、速度なんか少しでいい。
..........だそうだ。今度やってみよう。ESSになった時。
「…そんなことを俺に教えていいのか?秘伝の奥義だろう?」
「あっ..........」
「おいでキンジ。彩斗君もお入り」
吹っ飛ばされたおじいちゃんなんて、どこ吹く風だ。
なんだ……この家族……色々すごいな。
「どうぞ、座りな」
おばあちゃん-遠山セツさんに案内されて、来ましたるは応接間。そこには、さっき吹っ飛ばされたおじいちゃん-遠山鐡さんもいる。
「お食べ」
おばあちゃんが豆菓子をくれる。……そしてどこかに行ってしまった。
と、くれた豆菓子を食べつつ鐵さん(以下おじいちゃんと呼称)が聞いてくる。
「昨夜キンジから電話があっての。お主が儂に会いたいと聞いたのじゃが……名の用でじゃ?」
「あー……実は昨日の今朝、チャリジャックに遇いまして……その時は何とか切り抜けられたのですが。今後このようなことがあっても対抗出来るように、元軍人のキンジのおじいちゃんに……修行というか……稽古をつけてもらいたいと思いまして」
続けてキンジが、
「じいちゃん。彩斗には俺たちとHSSと同じ能力がある。乗能力者だよ、神経系の」
「ふむ……」
おじいちゃんの顔が急に真剣になる。そして、
「まさか遠山家以外にも『返對』する者がいたとはの。初代遠山金四郎から此処に至るまでに何があったのかは知らんが……。よもやお主は遠山家にとっての最後の人間となるじゃろう」
遠山家にとっての最後の人間……?
「兄、金一も死んだ。父、金叉も殉職した。……この2人はどちらも返對できた輩じゃ。この2人が死んだとなっては、遠山家の後継ぎは…キンジ。もしくは、直系ではなくなるが彩斗、お主となろうぞ」
なんかすごい深刻な話になってる……?
「分かった。もしもの時の為じゃ。お主に遠山家秘伝の技を、儂が直々に教える。キンジ、お前もじゃ。教えてやろう。そうと決まれば、庭へ出るぞい」
こくり。
....................
「先ずは彩斗、返對してみい。キンジもじゃ」
と言われ、βエンドルフィンを分泌させる。..................…
もう少し..............................なれた。ESSに。
キンジは……性的興奮だったか?どうやってんだろ。
しばらくすると、ピリッ… 空気が変わってくる。今までにない緊張感、圧迫感だな。これは。
「なったか…早速説明する。
『呼蕩』
異性の声で相手の名前を繰り返し、耳元に甘く優しく囁き、催眠術のように言うことを聞かせる。
『啄木』
答えづらい質問を繰り返し、相手の羞恥心をあおり答えさせない手法。
『猾経』
脳内領域の引き出しを開けられるように『鍵』を量産し、後に思い出せるようにする記憶定着術。
『絶牢』
全身を回転扉のように使い、相手の攻撃力をそのまま返す。
これはさっきのじゃ。『秋水』
打撃に全体重を乗せた、最も技術化させた体当たり。
『潜林』
敵の足と足の間を蛇のように這って通過する。本来はアキレス腱を切りつつ進む技じゃ。
『ヰ筒取り(いづつどり)』
敵の携行武器を両手でスリ取る
『頭突き』
遠山家の隠し技。ただの頭突きじゃがな。
『遠山家の整体術』
落馬や車に飛び込んで脱臼を治すなど、強い痛みを伴う整体術。
ここまでじゃ」
うわっ…結構あるな。
「先ず練習すべきは…絶牢からじゃ。体重を体の中央に集め、体を回転扉の様に回す。儂が手本を見せる。キンジ、かかってみい」
................................................................................
..................................................
..............................
....................
..........
-現在、午後5時。やっと全てをマスターした。ちなみにキンジは途中でHSSが切れて辞退した。1時間くらいかな。
「よくぞ頑張った、彩斗よ。この短時間で遠山家の技を全てコンプリートした者は未だにかつて居ない。金一も金叉も、丸1日かかった。それを6時間でマスターしたのなら、十分な実力じゃ」
「ハァ…ハァ…。ありがとう..........ございます..........」
もうバッテバテ。さっさと境界使って家に帰ろ…。
「じゃあ、もう家に帰ります。ありがとうございました。じゃあな、キンジ」
「ああ」
門をくぐる。しばらく歩いたところで、
-ぶわん。
家へと繋ぐ。
「ただいまー…」
「お帰りなさい、どこ行ってたの?」
あれ。昨日言ったハズじゃあ…?
「俺、とキンジの実家だ」
「何しに?」
「うーん……里帰り? 」
適当に誤魔化す。今日のことは知られたくないしな。
「何よそれ」
-部屋からドラグノフを持ってきて、ベランダに出る。
「何してるの?」
スコープを覗く。
「見れば分かるだろう。景色を見てるんだよ 」
「だからってドラグノフのスコープで? 」
「…良いだろう、別に」
夕日が綺麗だな……
「ふわぁぁ… アリア、俺はもう寝るぞ。ご飯はコンビニで買ってきな 」
「ええ…?」
6時間もESSを使っていたんだ。その分、大脳にかかる負担が大きくなる。なので、長時間ESSになったときは長時間の眠りを必要とする。そうじゃなくても普段のESSは約10分程度使っているが、使ったあとは…少し眠くなる。
-ガチャっ パタン…
即ベッドにダイブ。
明日の朝までに起きれるかな……?
~Please to the next time!
後書き
皆さんどうも。レミリアですよー。累計UA数が、1日450人とかになってきました。日別の方は、まだバラバラです。その日その日で、差が大きいんですよ。
ついでに、評価or感想くれると私が喜びます。気が向いたら、どぞ。
それではまた次回。ノシ
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