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ヘタリア大帝国

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205部分:TURN20 エルミーの来日その六


TURN20 エルミーの来日その六

「確かに優秀な軍人ですが」
「ですが、なんだな」
「その素行は問題があると」
「ははは、自覚はしているさ」
「今日もですか」
「同意のうえさ。そして相手がいる場合は手を出さない」
 これが東郷のポリシーだった。
「相手が誘ってきてもな」
「ですが今交際されている相手は何人ですか?」
「二十人かな」
 東郷は飄々とした感じでエルミーの問いに答えた。
「それ位か」
「あの、二十人も同時とは」
「駄目だというのかい?」
「ふしだらではないですか?」
 警戒にさらにだ。嫌悪と軽蔑を込めて言うエルミーだった。顔にもそれが出る。
「仮にも海軍長官ともあろう方が」
「真面目にしていてそれで結果が出る訳じゃないと思うが」
「それでもです。軍人ならばです」
「真面目にか」
「そうです。客員提督ですが」
 だがそれでもだというのだ。
「謹言させて頂きます」
「聞かせてもらおうかな」
「はい、そうしたふしだらなことはお止め下さい」
 先程と同じことを言う。
「軍人、そして海軍長官としてです」
「悪いが女の子は大好きでね」
「お止めにならないのですね」
「何、誰にも迷惑はかけないさ」
 その自信はあった。確信の域に達した。
「安心してくれ。そうしたことは」
「安心できません。そもそもですね」
「やれやれ。秋山がもう一人増えた感じだな」
「誰が見てもそうです」
 秋山の名前が出るとだ。本人も言ってきた。
「長官はそもそもです」
「ははは、世話女房だな相変わらず」
「女房ではありません。私は参謀としてです」  
 参謀総長である。海軍の。
「長官をお諫めしているのです」
「まあ迷惑はかけないからな」
「そういう問題ではないとです」
 秋山はエルミーと共に言おうとする。しかしだった。
 二人と東郷の間にだ。日本が入って来て言うのだった。
「まあ。それ位にして」
「祖国殿もそうして長官を甘やかされるから」
「いえ、長官は頑張っておられますから」
 この辺りは確かに優しい日本だった。
「こうしたことは多少は大目に見て」
「多少どころではないですが」
「まあそこは秋山さんもエルミーさんも抑えられて」
「祖国殿がそこまで仰るのでしたら」
 秋山も強く言えなかった。祖国が相手ではだ。
「わかりました」
「そういうことでお願いします」
「はい。しかしです」
 秋山は東郷への小言は止めてだ。そうしてだった。
 そのうえで潜水艦を見た。潜水艦は彼等のすぐ横にある。
 何隻かあるがそのうちの最も大きなものを見てだ。こう言うのだった。
「これで巡洋艦位の大きさですね」
「小さいと言われるのですね」
「大きいとは言えないかと」 
 秋山は向かい合う形で共にその潜水艦を見るエルミーに答えた。
「巡洋艦程の大きさですね」
「はい、この潜水艦は巡洋艦を参考に設計、開発されたものです」
「やはりそうですけ」
「フォルケーゼといいます」
 それがこの潜水艦の名前だというのだ。
 
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