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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百三十話 最後の花火その十二

「柿の種とピーナッツの組み合わせがね」
「最高に合うわよね」
「それで義和の言う通りにね」
「どんなお酒にもだよね」
「合うわ、魔法のおつまみよ」
「魔法なんだ」
「日本だから陰陽道?」
 ダオさんは自分の魔法という言葉に微笑んだ僕にこうも言ってきた。
「そうなる?」
「いや、陰陽道はね」
「ない?」
「ないよ」
 微笑みじゃなくてはっきりと笑って答えた。
「そうした術じゃないから」
「そうなの」
「確かにあれも凄いけれどね」
 安倍晴明さんで有名なあの術はだ、まさに日本の魔術だ。
「柿ピーとは関係ないよ」
「そうなのね」
「また別だよ」
 こうダオさんに話した。
「あれはね」
「まあそうよね」
「うん、確かに美味しいけれどね」
 何といってもお酒と一緒に食べるとだ。
「魔法でも陰陽道でもないから」
「そうなのね」
「企業の人の努力だよ」
「その結果生まれたものね」
「そうだよ、まあ梅酒とね」
「柿ピーね」
「最後に西瓜も用意して」
 そうして一式揃えてだ。
「飲もうね」
「それじゃあね」
「花火が終わったらね」
 ダオさんもラブポーンさんも言って来た、そしてこの話が終わるとだ。
 まずは僕の線香花火が落ちた、橙色に輝いていたその玉がぽたりと落ちて地面に消えた。暗がりの中に消えるべきものが消えた。
 そしてだ、二人の花火もだった。
 それぞれぽたりと落ちて消えた、そのうえで。
 消えるとだ、ラブポーンさんが感慨を込めて言った。
「消えたわね」
「そうだね」
「これで完全にね」
「終わったね」
「ええ、そう思ったわ」
 心からという言葉だった。
「しみじみとね」
「そうなるyね」
「この状況を見たら」
「どうしても」
「そうなるわよね」
「だからこそいいんだよ」
 花火の玉がぽたりと落ちて消えるのを見て完全に終わったと思えることがだ。
「本当にね」
「じゃあね」
「次はお酒ね」
「梅酒飲みましょう」
「柿ピーと一緒にね」 
 二人も僕に応えてくれた、そして花火の後片付けの後でだ。 
 僕達は八条荘の中に戻った、花火の後は寂しい。けれど次の楽しみに入った。夏の終わりの楽しみはまだ続いた。


第百三十話   完


                        2017・3・1 
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