ヘタリア大帝国
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18部分:TURN2 連合艦隊司令長官その六
TURN2 連合艦隊司令長官その六
「あの者達がだ」
「満州に入りたいからこそ満州についても発言力のある閣下を」
「そう思うがどうか」
「それを言えば中帝国も怪しいぞ」
宇垣が出すのはこの国だった。
「あの国は満州を自分達の領土だと言っているからな」
「ええ、今の王朝はそもそもあそこからはじまってますからね」
「ならば中帝国ではないのか?」
東郷に応えながらだ。宇垣はこう考えを述べる。
「可能性は高いぞ」
「確かに。あの国もまた」
山下もその可能性を否定できなかった。ガメリカ説を言いながらだ。
「怪しいですね」
「俺はソビエトの可能性も高いと思いますよ」
東郷はあえてだ。この国の名前を出した。
「あの国は満州はおろか韓国、そして我が国も狙ってますからね」
「あの国か」
「世界を共有主義で覆おうとしているのはわかっているが」
「ええ、それじゃああの国の可能性も高いですね」
東郷はそのことも踏まえて二人にソビエト黒幕説を話す。
「満州に加えて韓国もですから」
「そのソビエトだが」
ソビエトと聞いてだ。山下は東郷と、そして宇垣にこのことを話した。
「あのゾルゲが北京にいるそうだ」
「何っ、あの工作員が!?」
「長官、それはまことか」
東郷も宇垣もだ。ゾルゲという名前を聞いて表情を一変させた。そしてそのうえで山下に対してことの真実を問うた。そしてこれまで黙っていた秋山もだ。
表情をこのうえなく曇らせてだ。こう言うのだった。
「危険ですね。あの男だけは」
「そうだ。我が国への工作の統括者でもある」
山下は秋山にも剣呑な面持ちで話す。
「その男が北京にいるのだ」
「おそらくリンファ提督達への洗脳ですね」
「間違いないだろう。リンファ提督は元々は心優しく民のことを考える人物だ」
そしてそれ故にこそだというのだ。ゾルゲがだ。
「共有主義者は人の良心に入りそのうえで洗脳していく」
「まるで悪魔ですね」
「少なくともその行動は悪魔だ」
山下は剣を見せた。その心に。
そしてその剣を手にだ。彼女は言うのだった。
「そこには人も何もあったものではない」
「全ての者が公平で貧富の差もない。差別もない」
秋山は共有主義のその思想について話す。
「確かに少し聞くとユートピアですね」
「ユートピアなぞこの世にはないさ」
東郷はこのことは一蹴した。即座に。
「理想ばかり見て現実を見ないのならそれはな」
「ユートピアではなくですね」
「地獄をもたらすものさ」
「それが共有主義ですか」
「この目で確かめたことじゃないがな」
それでもだとだ。東郷は秋山に話していく。
「ソビエトは恐ろしい国家だ」
「旧友主義に少しでも反対する者はですね」
「即座に粛清だ」
この粛清という言葉こそがだ。まさに共有主義を象徴するものだった。
「強制収容所もあるそうだな」
「ラーゲリですね」
「四十歳以上は有無を言わせずそこに送られるそうだが」
「一体どうなるのでしょうか」
「おそらく碌でもないことだな」
東郷はラーゲリについても暗い顔で話す。
「若し日本が共有主義になればだ」
「家族もなくなりそしてですね」
「粛清とラーゲリだ。それに支配される国になってしまう」
「恐ろしいことに」
「あの国が最も危険だ」
東郷はこう結論付けた。
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