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ヘタリア大帝国

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178部分:TURN17 南京戦の後でその九


TURN17 南京戦の後でその九

「愛嬌があってね」
「愛嬌か」
「祖国さんも実はそのよさはわかってるでしょ」
「そうなるのだろうか」
「なると思うわ。それで今日はね」
「そのイタリンのパスタが昼食か」
「三人で食べましょう。何ならプロイセンさんも呼ぶ?」
 ドイツの相棒のだ。彼もだというのだ。
「食べるのなら賑やかな方がいいから」
「そうだな。そうしよう」
 レーティアがだ。グレシアのその提案に乗って彼女に目を向けた。
「悪くはない。ではプロイセン君も呼ぼう」
「そうしましょう。それじゃあね」
「パスタか。確かに悪くはないな」
 何だかんだでこう言うドイツだった。
「では頂こう」
「うむ、食事は重要だからな」
 レーティアも応えてだ。そのうえでだった。
 ドクツの面々はエイリス侵攻に取り掛かっていた。欧州は再び風雲急を告げていた。しかしだ。
 レーティアにだ。グレシアはドイツ、プロイセンを交えてのその昼食の時にだ。こう問うたのだった。場所は司令部の将官用の食堂である。
 その中に用意された一席でそのペペロンチーノと黒パンを食べながらだ。グレシアはレーティアに尋ねた。
「それでだけれど」
「何だ、一体」
「作戦名はどうするのかしら」
「作戦名か」
「ええ、それはまだ決めてなかったわよね」
 ペペロンチーノをフォークに絡めて口に入れる。パスタのコシだけでなくだ。
 オリーブオイルの独特の風味、大蒜の香りと味、そして唐辛子の辛さを味わいながらだ。レーティアに対して尋ねたグレシアだった。
「そうだったわね」
「そうだったな。作戦名か」
「それはどうするのかしら」
「アシカはどうだ」
 己の向かい側に座るグレシアを見るとだ。その後ろにアシカのぬいぐるみがあった。 
 そのぬいぐるみを見てだ。咄嗟に思いついたのだった。
「アシカ、それでどうだ」
「アシカね」
「エイリスまで渡り攻めるからな」 
 理由としてこれを選んだ。
「だからだ。それでどうだ」
「いいと思うわ。それならね」
「作戦名をアシカ作戦とする」
 レーティアもペペロンチーノのその味を味わいながら述べる。
「今後この作戦はアシカ作戦と呼称する」
「それでいきましょう」
「で、あれだよな」 
 プロイセンもここで言ってきた。やはりパスタを口にしている。
「この戦いの後はな」
「ソビエトだ」
 レーティアはプロイセンのその言葉にも答えた。
「あの国を攻める。それで我がドイツの国家戦略は一つの完成を見る」
「生存圏の確保か」
「そして欧州の統一だ」
 それがだ。第一段階だというのだ。
「そのうえでガメリカを倒す」
「壮大だな」
「壮大だが可能だ」
 レーティアは自信に満ちた顔と声でプロイセンに返す。
「必ずな」
「ああ、総統閣下さえいればな」
「私は為す」
 毅然とした顔でだ。レーティアは断言した。
「諸君等を栄光の座につけよう」
「俺達なんてな、本当にな」
 プロイセンは過去を思い出した。自分達のその過去を。その過去はというと。
「ずっとどん底だったからな」
「うむ、碌に食べるものもなかった」
「あの戦争で何もかもなくなっちまったからな」
 第一次宇宙大戦、まさにその戦争でだ。
「その俺達がか」
「そうだ、世界の盟主になるのだ」
 レーティアの言葉はここでも毅然としている。見ればもう彼女はスパゲティを食べ終えている。
「君達がだ」
「夢の様だな」
「ああ、全くだぜ」
 全てを失ったドイツ達にはだ。レーティアの今の言葉はまさに夢だった。
 しかしその夢がだとだ。彼等はこのことも感じ取っていた。
「だが現実のものとなる」
「本当にな。凄いことだよな」
「ではアシカ作戦の準備を続ける」
 レーティアは今度は黒パンを手にして述べた。
「私達は勝つ、そしてだ」
「ええ、世界の盟主になりましょう」
 グレシアが微笑みそのレーティアの言葉に応える。
「何があろうともね」
「私の戦略に狂いはない。私がいる限り必ず果たせる」
 レーティアは確信していた。自分ならばできるとだ。だがそれでも彼女は気付いていなかった。若し自分がいなければどうなるか、ドクツは今彼女だけが柱だということには気付いていなかったのだ。
 そのことに彼女も他の者も気付かないままドクツは進んでいた。果てし無い道の途中には様々なことがあることにもだ。今は誰も気付いていなかった。


TURN17   完


                       2012・4・11

TURN17 南京戦の後でその九

「愛嬌があってね」
「愛嬌か」
「祖国さんも実はそのよさはわかってるでしょ」
「そうなるのだろうか」
「なると思うわ。それで今日はね」
「そのイタリンのパスタが昼食か」
「三人で食べましょう。何ならプロイセンさんも呼ぶ?」
 ドイツの相棒のだ。彼もだというのだ。
「食べるのなら賑やかな方がいいから」
「そうだな。そうしよう」
 レーティアがだ。グレシアのその提案に乗って彼女に目を向けた。
「悪くはない。ではプロイセン君も呼ぼう」
「そうしましょう。それじゃあね」
「パスタか。確かに悪くはないな」
 何だかんだでこう言うドイツだった。
「では頂こう」
「うむ、食事は重要だからな」
 レーティアも応えてだ。そのうえでだった。
 ドクツの面々はエイリス侵攻に取り掛かっていた。欧州は再び風雲急を告げていた。しかしだ。
 レーティアにだ。グレシアはドイツ、プロイセンを交えてのその昼食の時にだ。こう問うたのだった。場所は司令部の将官用の食堂である。
 その中に用意された一席でそのペペロンチーノと黒パンを食べながらだ。グレシアはレーティアに尋ねた。
「それでだけれど」
「何だ、一体」
「作戦名はどうするのかしら」
「作戦名か」
「ええ、それはまだ決めてなかったわよね」
 ペペロンチーノをフォークに絡めて口に入れる。パスタのコシだけでなくだ。
 オリーブオイルの独特の風味、大蒜の香りと味、そして唐辛子の辛さを味わいながらだ。レーティアに対して尋ねたグレシアだった。
「そうだったわね」
「そうだったな。作戦名か」
「それはどうするのかしら」
「アシカはどうだ」
 己の向かい側に座るグレシアを見るとだ。その後ろにアシカのぬいぐるみがあった。 
 そのぬいぐるみを見てだ。咄嗟に思いついたのだった。
「アシカ、それでどうだ」
「アシカね」
「エイリスまで渡り攻めるからな」 
 理由としてこれを選んだ。
「だからだ。それでどうだ」
「いいと思うわ。それならね」
「作戦名をアシカ作戦とする」
 レーティアもペペロンチーノのその味を味わいながら述べる。
「今後この作戦はアシカ作戦と呼称する」
「それでいきましょう」
「で、あれだよな」 
 プロイセンもここで言ってきた。やはりパスタを口にしている。
「この戦いの後はな」
「ソビエトだ」
 レーティアはプロイセンのその言葉にも答えた。
「あの国を攻める。それで我がドイツの国家戦略は一つの完成を見る」
「生存圏の確保か」
「そして欧州の統一だ」
 それがだ。第一段階だというのだ。
「そのうえでガメリカを倒す」
「壮大だな」
「壮大だが可能だ」
 レーティアは自信に満ちた顔と声でプロイセンに返す。
「必ずな」
「ああ、総統閣下さえいればな」
「私は為す」
 毅然とした顔でだ。レーティアは断言した。
「諸君等を栄光の座につけよう」
「俺達なんてな、本当にな」
 プロイセンは過去を思い出した。自分達のその過去を。その過去はというと。
「ずっとどん底だったからな」
「うむ、碌に食べるものもなかった」
「あの戦争で何もかもなくなっちまったからな」
 第一次宇宙大戦、まさにその戦争でだ。
「その俺達がか」
「そうだ、世界の盟主になるのだ」
 レーティアの言葉はここでも毅然としている。見ればもう彼女はスパゲティを食べ終えている。
「君達がだ」
「夢の様だな」
「ああ、全くだぜ」
 全てを失ったドイツ達にはだ。レーティアの今の言葉はまさに夢だった。
 しかしその夢がだとだ。彼等はこのことも感じ取っていた。
「だが現実のものとなる」
「本当にな。凄いことだよな」
「ではアシカ作戦の準備を続ける」
 レーティアは今度は黒パンを手にして述べた。
「私達は勝つ、そしてだ」
「ええ、世界の盟主になりましょう」
 グレシアが微笑みそのレーティアの言葉に応える。
「何があろうともね」
「私の戦略に狂いはない。私がいる限り必ず果たせる」
 レーティアは確信していた。自分ならばできるとだ。だがそれでも彼女は気付いていなかった。若し自分がいなければどうなるか、ドクツは今彼女だけが柱だということには気付いていなかったのだ。
 そのことに彼女も他の者も気付かないままドクツは進んでいた。果てし無い道の途中には様々なことがあることにもだ。今は誰も気付いていなかった。


TURN17   完


                       2012・4・11
 
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