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南京沖会戦その五

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163部分:TURN16 南京沖会戦その五

TURN16 南京沖会戦その五

 かなり切実な顔を見せてだ。こう田中に言ったのである。
「田中さんも大切な提督なんですから」
「うっ、妹さんに言われるとな」
 田中にしても日本達、自分の祖国達に言われると弱かった。それで怯んで言うのだった。
「まあな。気をつけるからな」
「本当にお願いしますね」
「俺だって下手な損害は出したくないさ」
 これも田中の本音ではある。
「人の命がかかってるからな」
「そうだよ。まああんたの性格上難しいけれどね」
「ほぼ暴走族ですから」
 南雲と小澤はそんな田中の短所も含めて暖かい目で述べた。
「それでもしっかりとね」
「妹さんを悲しませない様に」
 日本妹という意味である。
「女の子は泣かせるものじゃないよ」
「そうしたら最低ですよ」
「だからわかってるさ。俺だって女の子は泣かせないさ」
 田中の性格はそれも否定する一面もあった。
「よし、じゃあ今日は少し慎重にやるか」
「おお、ではわしが揉んでやるぞ」
 今度は山本がモニターに出て来たのだった。
「そうしてやるぞ」
「爺さんがかよ」
「ははは、御前さんは筋がいいからな」
 いつもの屈託のない顔でだ。山本は田中に言う。
「若いうちははねっかえりがいい。御前さんはいい男になる素質があるぞ」
「へっ、そんなのは自分でもわかってるさ」
 本当にはねっかえりの顔でだ。田中は言った。
「俺はいずれは連合艦隊司令長官になるんだからな」
「ほう、海軍長官にか」
「ああ、頭になるぜ」
 こう言うのだった。
「あいつからその座を奪ってやるぜ」
「さらにいい。その意気だぞ」
「魚で戦ってな」
 実は日本軍はこの南京戦も主力というよりかはほぼ全ての艦艇が魚だ。ようやく第二世代の艦艇も配備されてきたがまだ魚の方が遥かに性能がいいのだ。
 その魚についてもだ。田中は言う。
「俺は次の海軍長官になるんだよ」
「野郎共と共にじゃな」
「ああ、そうだよ」 
 彼は部下をだ。仲間とみなしているのだ。
「やってやるからな。爺さんも見てろよ」
「ははは、御前さんは本当に威勢がいいな」
「で、その俺を揉むってのかよ」
「そうじゃ。御主はまずはそのまま進め」
 先陣らしくだ。切り込めというのだ。
「わしが小魚で援護してやるからな」
「あれでかよ」
「あれもよいぞ」
 山本は魚から出される小魚についても話した。
「ビームよりも遠くから攻められるからのう」
「ああ、あれだね」
「確かに。あれはいいですね」 
 南雲も小澤もだ。小魚と聞いて山本にそれぞれ言ってきた。
「あれは確かにいいね」
「便利なものです」
「そうじゃろ。ガメリカやエイリスではもう空母を配備しておるがな」
 新たな艦種だ。兵器は日進月歩なのだ。
「それへの参考にもなるかのう」
「そうだ」
 何とだ。モニターに今度は平賀が出て来た。ただし喋るのは久重である。
 その久重がだ。平賀の言葉を一同に伝えてきた。
「今試作型空母を開発しているがだ」
「ああ、それだね」
「そうだ。それが間も無く完成する」
 そうなってきているとだ。南雲に答える。
「思ったよりも早く進んだ。全ては魚のお陰だ」
「へえ、魚って開発にも役に立ってるんだね」
「他の艦の開発の参考にもしている」
 それは空母だけではないというのだ。
「戦艦や巡洋艦、駆逐艦にもだ」
「ではこれからの我が軍は」
「飛躍的によくなる」
 平賀は小澤にも答えた。
 
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