ヘタリア大帝国
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158部分:TURN15 ハニートラップその八
TURN15 ハニートラップその八
そしてスキャンダルと秋山、宇垣のお説教をかわした東郷はあらためてだ。長門の艦橋に入って言った。
「ではいよいよだな」
「はい、では」
秋山がその東郷に応える。彼も長門の艦橋にいるのだ。
「出撃しましょう」
「攻撃目標は南京だ」
このことは既に決まっていた。
「行くぞ」
「畏まりました。では動員できる全艦隊を以て」
「香港さんとマカオさんの兄妹だがな」
彼等のこともだ。東郷は言及した。
「あの人達はどうだ」
「はい、動けるとのことです」
「そうか。国家艦隊が四つも加わったか」
「これで合わせて十ですね」
国家艦隊はそれだけの数になっていた。
「それだけでもかなりのものになってきました」
「そうだな。有り難いことだ」
「それに合わせて正規軍もあります」
「陣容が徐々に整ってきた」
東郷はこう言って微笑みもした。
「有り難いことだな」
「そうですね。それにリンファさんですが」
秋山は彼女の名前も出してきた。
「やはりですか」
「ああ、流石に祖国との戦いを強いるのは酷だ」
東郷もこう開き山に返す。
「だから止めておこう」
「わかりました。ではあの人については」
「今回は後方で治安回復にあたってもらう」
それがリンファの今回の任務だというのだ。
「西安とかはまだ治安が万全じゃないな」
「安定とまではいかないですね」
実際にそうだとだ。秋山も答える。
「では」
「ああ、そこに行ってもらおう」
「畏まりました」
「後は。田中だが」
東郷からだ。彼の名前を出した。
「どうだ。艦隊の修理はできたか」
「突貫工事で進めましたので」
「日本本国に戻してか」
「大修理工場でそうしました」
日本本土にあるそこでだというのだ。日本本土にはそうした修理工場があるのだ。それは普通の修理工場の倍程度の設備が置かれているのだ。
そこに田中の艦隊を送ってだ。修理させたというのだ。
「ですから大丈夫です」
「だといいがな。しかしな」
「ええ、彼の戦術は」
秋山はここでその生真面目な眉を顰めさせて述べた。
「損害が多いです」
「肉を切らせて骨を絶つだからな」
「そのせいで損害も多いです」
「戦果も出してくれるがな」
「戦術が直線的過ぎます」
田中の性格がだ。そのまま出ているというのだ。
「正面から周りを見ずに突き進みますから」
「それがあいつの持ち味にしてもな」
「困ったことです。その気性が部下達に慕われてもいますが」
「本質的に悪い奴じゃない」
それもわかっている東郷だった。
「しかしそれでもな」
「はい、より成長して欲しいものですが」
秋山はかなり切実にそう思っていた。
「さもないと損害も増えます」
「あいつは水雷戦向きだがな」
「駆逐艦は只でさえ打たれ弱いのですから」
「何かいい艦艇はあるか」
「その辺りも考えていくべきですね」
そうした話をしながらだ。彼等は出撃しようとしていた。南京での大規模な戦いが今はじまろうとしていた。
TURN15 完
2012・4・6
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