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ジョジョの奇みょんな幻想郷

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第一部 ケイオスクルセイダーズ
第二章 春雪異変~神浄刀矢さんとコラボ企画~
  23.その来訪者、剣

「じゃあ頼んだよ、丞一。お前ならできるガンバレガンバレあきらめるな何でそこであきらめるんだよ、もっと熱くなれよぉ!」
「お、おう。どうした神奈子。清々しいほどにキャラ崩壊してるぞ」
「あ、お土産よろしくね~」
「雪見だいふくなら買ってきてやるよ」
 異変ということでやはり解決に行かなければならないのは自明の理であり、改めて三十分後、博麗神社に集合となった。
 丞一も準備にいったん戻ったのだが、戻ってからはお祭り騒ぎだ。神奈子が。今は少し落ち着いたが「イクサ、もとい戦だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!その命神に返せゴラァ!」と荒ぶっていた。
「ジョジョ、行く前にさ早苗に顔出して上げて。あの子最後に会いたがってたから」
「戦場に行くわけでもあるまいし(確信)。んじゃ、顔出してくるわ」












「早苗、入るぞー」
 襖を開けるとザ・女子の部屋が広がっていた。
「ゴフッゴフッ!あ、ジョジョぉ」
「だいぶ弱ったなお前。珍しく語尾が間延びしてるぞ」
 隙間が空かないようにしっかり襖を閉め、丞一はベッドでぐったりしてる早苗の傍まで寄った。
「どうだ?具合は。まあ、良くはないんだろうけど」
「ええ、少しはましに、なりました」
「無理はすんなよ。てか、冷えピタ変えた方がいいだろ。朝からずっとじゃねーか?それ」
「すみません。お願いしまぁす。ゴフッゴフッ!」
 丞一は思いっきり冷えピタを剥がした。そう、太股に貼ったガムテープを剥がすときのように。
「痛ぁぁぁい!髪がぁぁぁぁぁ!!」
「あ、わりー。髪の毛何本か引っ付いてたか。いてーのはわかるけどあんま騒ぐとぶり返すぞ」
「誰のせいですか!誰の!」
「だから、悪かったって」
 そう言いながら早苗の額に手をピタッとくっつける。
「Σヾ(゚Д゚)ノっ!?っ!?///」
「熱は下がっては来てるな。まあ、安静にしてろよ」
「ななななななな、何をするんです!?いきなり!」
「熱を計った」
「体温計でいいじゃ、ここ幻想郷でしたね。もぅ、いきなりはやめてください。心の準備くらいさせてくださいよぉ」
 ていうか、と早苗が疑わしい目線を向ける。
「なんか動揺してません?」
「‥‥‥‥‥何言ってんのさ。んなわけないでしょ。これから仮にも異変なんだから。ほら、懐炉でも持っとけ温まんだろ」
 丞一は懐から取りだした。そういって縁を持ちシャカシャカと振った。
「あり?これぜんぜん温かくなんねーぞ。不良品か?」
「ジョジョ、それ保冷剤です」
「‥‥‥‥そうだよ!動揺してるよ!お前が風邪引いて色々家庭回んなかったり、それでお前が無理してこじらせたらとか考えるとめっちゃ動揺するわ!それがなんだコンチクショォォォォ!!」
 もうぶちまけた。夏風邪は厄介なものだが冬の風邪もまた厄介なもので長引くことはないが、長引いたときは非常に厄介だ。身体の免疫力が下がっているため他の感染症と一緒にかかるときもある。この時期だとインフルエンザとの併発が一番多いだろう(多分)。そんな中でも平然と無茶をするバカが一人いるのだ。それが早苗だ。小学校時代からそれは見られていたことでそれを知っている丞一が放っておけるわけがなかった。むしろ早苗だからこそ、というべきか。
「‥‥‥‥で」
「で?」
「デレた!ジョジョが、デレた!」








「‥‥‥‥‥(#^ω^)プッツーン」
 丞一はゆったりとした動きで淀みなく早苗の頭にフォークを突き刺した。
「アーエムジー!」
「それだけほざけるなら大丈夫みたいだな」
「ひどいですよぉ。せっかくの貴重なジョジョのデレイベントが」
「いつ発生した。んなもん」
 ついさっきだろう。ちなみにこのやりとりをニャル子がすでに録音していたのがバレ、後に折檻されたのは、日本人特有の二度と来ない別のお話。
「ゴフッゴフッ、ジョジョが戻ってくる頃にはもう春は目の前ですね」
「止めろ、それ以上はまずい。死亡フラグだ」
「終わったらみんなで花見に行きましょう」
「言えってか!?『俺、異変が終わったら花見するんだ』って言えってか!?」
 魔理沙や和真なら「それはやめろ!?」といいそうだ。霊夢は「うちでやるのは勘弁よ。何?あんたらが片付けてくれるの?」と言うだろう。いや、本当に申し訳ない。だが、守矢神社ではやりたくない。
「いや、ここの桜が綺麗らしいんですよ」
 そういって、タブレットを見せてきた。そこには『幻想郷一の桜並木。春の花見はここしかない!』というありきたりな文句のページがあった。
「なんだこれ。しかもどこだよ」 
「白玉楼、って場所らしいですよ。ページへ飛ぶと地図とそこまでの交通手段も書いてあります。ゴフッゴフッ」
 まるで、観光名所だ。読んだところ、冥界らしいがそんなところに好き好んでいく一般人がいるとは思えない。
「なあ、早苗。白玉楼って幻想郷にある場所だよな?」
「ですです」
「ならなんでタブレットで調べて出るんだ?あと幻想郷に交通手段ってあるのか?」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
「バスがそもそもないから答えはゼロ人って算数の問題出てきそうですよね」
「そんな教師辞めさせた方がいいな」
 とりあえず現代の技術が幻想郷内で適当設定で使えるのはいささか問題かと思う。今更だが。しかも、その設定を忘れるか、または忘れた頃にまた出すからいやらしい。
「まったく、これから異変解決に行く奴とは思えない会話だな」
「でも、落ち着いたでしょ?」
「───ふっ、ありがとな。んじゃ、行ってくるぜ」
「異変が終わったら。デートしましょう!」
「覚えてたらなぁー。てか、フラグになるからやめてくれ」
 スーっと襖を閉め、二柱の二人には挨拶抜きで博麗神社へ向かう。
 そして、丞一が行ってから早苗は顔を真っ赤にし、再び布団の中に潜り込んだ。


(何か、あっさりオーケーくださいましたけど、大変なことになっちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁ!普通に冗談だったのにぃぃぃぃぃ!)


 冗談で言ったホラーがあまりにも真に迫りすぎて今更嘘と言えなくなったときと同じ心境が早苗を襲っていた。



 


 そして当の本人はというと。


「あー、何かあっさりとオーケーしちゃったけど大丈夫かな?まあ、いっか」

 そこまで意識していなかった。そして早苗はいったん落ち着くために守矢秘伝の風邪薬をのんでそのまま寝た。







「おう、待たせたな」
「ん?丞一、早苗どうしたんだぜ?」
「風邪で寝込んでる」
 魔理沙と話していると、もう一人飛んできた。
 白と紺で配色されたメイド服に多少の防寒具をつけているだけの状態の咲夜だった。
「あれ?姉さんも今回は解決側?」
「お嬢様の命令でね。帰りにマッ◯も頼まれてるのよ」
「それ以前に寒くないのか?」
「お嬢様が言っていた『私は(お嬢様)を輝かせる太陽だ』と。太陽が寒がるわけないでしょうに」
「あー、聞いた私がバカだったぜ」
 やれやれという風に肩をすくめる。丞一は聞き慣れたものでこう言うときは何も言わずに温かい目線を送っている。レミリアが関わるとどっちが上かわからなくなる。
「みんな、いるわね」
 神社から霊夢、そしてついさっきまでいた和真も共にいた。
「和真も連れてく気か?」
「ほら、働かざる者食うべからずって言うじゃない」
 霊夢はそういうが、どんな戦い方をして実際には敵になりうるのか味方になりうるのかもわからない、そもそも戦えるのかすらもわからない奴を連れていくだろうか。いや、しないだろう。誰だってそー思う。俺もそー思う。
「俺は運命と戦う。頼む。連れてってくれ。他でもない俺のために」
「和真、男の仕事の八割は決断だ。それ以外はおまけみたいなもんだ。お前が決めたことなら俺は何もいわねーよ」
「父さんの受け売りじゃない」
なぜ知ってるんです!(ナズェミテルンディス!)
「バカやってないで、行くわよ。こたつを取り戻しに!」
「ぜってー目的が間違ってる!すり替わってる!」
 と、そんなこんなで、五人の異変解決が幕を開けた。
 
 

 
後書き
後編へ続く。 
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