ヘタリア大帝国
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TURN15 ハニートラップその二
152部分:TURN15 ハニートラップその二
TURN15 ハニートラップその二
「残念だがな」
「ガメリカが援助していますね」
「援中ルートがある」
「ベトナム方面からそうしていますが」
「あのルートを断ち切っても中帝国にはそれなりの戦力があり重慶は北京や南京とは比べものにならない位険阻な場所だ。しかも要塞化されているとなればだ」
「攻略は困難ですね」
「南京を攻略後は南京に防衛の戦力を置き和平交渉に入るべきか」
「政治に切り替えますか」
「政治は得意じゃないがな」
東郷は少し苦笑いになった。彼は政治にはそもそも興味がないのだ。
だがそれでもだった。今はだ。
「そう言う状況じゃない」
「そうですね。それでは」
「とりあえずは南京攻略だがな」
「ガメリカはどうしましょうか」
中帝国を援助しているだ。その国の話も出た。
「あの国については」
「今はどうしようもない。しかしだ」
「しかしとは?」
「ガメリカは我が国をしきりに挑発してきている」
東郷が今度話したのはこの現実についてだった。
「このままではだ」
「ガメリカとも開戦ですか」
「その危険は充分にある」
「ガメリカは強大です」
秋山はよくわかっていた。それも痛いまでに。
「その彼等と戦うことになればそれこそです」
「厳しいものがあるな」
「はい、非常に」
「しかし戦うからには勝たなければならない」
「長官はそのことについて何かお考えは」
「成功するかどうかはわからないがな。いや」
「いや?」
「博打を重ねる。成功する確率は非常に少ない」
こう前置きしてのことだった。
「だからあまりな。俺自身もどうかと思うがな」
「そのことをお話して頂けますか?」
今言ったのは秋山ではなかった。
日本だった。彼は二人のところに来てだ。真面目な顔でこう言ってきたのである。
「是非共」
「あっ、祖国様」
「今丁度ここを通り掛かったのですが」
彼等は北京に置いている司令部にいる。そこでのことだった。
「東郷さんのお話が耳に入りましたので。どうか」
「そうか。祖国さんには嘘は吐けないな」
東郷もだ。日本の話に微笑んで述べたのだった。
「そして隠しごともできないな」
「普通はそうですが」
秋山は咎める感じの目になって東郷に言ってきた。
「己の祖国に隠しごと、嘘の類はできません」
「まともな神経の人間ならな」
「長官はそのことは確かですので」
このことは安心していたのだ。秋山にしてもだ。
「間違っても祖国様にそうしたことはされませんね」
「そうだ。心を見透かされている様にも見える」
日本を見てだ。東郷は秋山に話す。
「全く。恐ろしい祖国さんを持ったもんだぜ」
「私は恐ろしいのですか?」
「ははは、自覚はないんだな」
「特に。自分が怖いとは」
「ロシアとはまた違った意味で怖い」
こうも言う東郷だった。
「まあそれでも優しいがな」
「そうですね。祖国様程優しい国は他にはありません」
秋山はその日本、己の祖国を見て微笑んでさえいる。
「そしてその祖国様にですね」
「ああ、祖国さんと秋山には話しておこう」
ガメリカと戦争になったその時にだ。どうするかというのだ。
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