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俺のペットはアホガール

作者:猫丸
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『男子部屋/岩さんと卓球勝負あるある』7-2


「鬼じゃないですよ~、岩さんですよ~水仙時(ナルキッソス)さん~」

「飯野君! それに最藤君も!」

脱衣所を出てすぐの所にある休憩所的な広間。そこのマッサージチェアーに座り気持ちよさそうな顔をして「くはぁ~」とか声をあげている二人を発見したのだよ。
先に帰っている物だとてっきり思っていたけど、やはり僕様の友は温泉に友人を置き去りにしていくような薄情者ではなかったのだね♪

「大丈夫か?」

「ヒッ!?」

傍に般若の顔がっ……ゴホンッ。いや般若ではなく岩君という名前なのかな? 彼が思ってもなかったくらいに近くにいたので少々! ほんの少しばかり驚いてしまったようだよっ。ハハハッ。

「ありがとう。礼を言うよ、岩君」

「うっす」

差し出された彼の大きなお相撲さんのような大きな手を掴み立ち上がる。

「ん……そうだ」

立ち上がる際にひとつ卓球台が目に入った。お礼に彼を卓球勝負へお誘いするのはどうだろう。もしかしたら僕様の好プレーに感動して失神してしまうかもしれないけどね♪ 
どうかな? と聞いてみたところ、いいぞ。とふたつ返事で答えてくれた。

お互い定位置に立ち、ラケットを持ってスタンバイオッケーだ。審判は何故か乗り気で逆にそこが怖い飯野君が引き受けた。

「では最初のサーブは君に譲ろう」

「いくぞー」

岩君がボール放り投げる。どう打ってくるのだ!? その瞬間を今か今かと待ち構え……

ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!

「へ?」

「は~い、岩さん点入りました~」

「シャー!!」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

な、なに今の!? ボールが見えなかったのだけどっ!!? 打った瞬間、ボールは物凄いスピードで僕様の方へ飛んで来て顔ギリギリの所を通過して後ろに吹っ飛んで行ったようだ。ボールが激突した壁はひび割れし小さく穴が開いている。…なんだこの強者は。
2回目のサーブやっぱりそんな感じで先制点を取られてしまった。次の僕様のサーブで巻き返さなければっ。

水仙時(ナルキッソス)さんどうぞ~」

「よしっっ」

ボールを振り上げてラケットで打つ!

パ~~~~ン……コロン。

「あれ?」

ボールはゆっくり弧を描いて飛んでいきネットにぶつかって転がって止まった。

「ぷっ」

「笑わないでくれたまえ!!」

剛速球の岩君とそもそもボールが飛んで行かない僕様の勝負……これは

「これほど不毛な闘いもないな」

「最藤君!?」

それはたとえ思っていたとしても言ってはいけない一言だよっっ!!?


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!



何度も僕様の整った美しい顔スレスレを横切ってゆくボール/ピンポン玉。後ろを振り返れば剛速球のボール/ピンポン玉を何度もぶつけられた壁は今にも崩れ出してしまいそうにひび割れ小さな穴ぼこだらけ。
……もし壁が崩れてしまったら、コレはダレが弁償するのかな? ふと思った疑問。でも答えはすぐ傍にあった。そうです、僕様が払えばいいんですよね。僕様お金は沢山持っているから。……友達は幼馴染の3人しかいないけど。

岩君の剛速球は壁に激突し僕様の華麗な弧を描き飛んで行くボール/ピンポン玉はネットの向こう側へは飛んで行かない。…なして?

岩君と僕様の点数の差は圧倒的なまでにはれてしまっている。これはもう逆転勝ちのチャンスすらないかも、しれない。いや。あるかもしれないのだよ? たとえそれが1%の確率でもあると僕様が言えばあるのだよ?
父様も仰っていたしね。王になる資質の者の言葉であれば「たとえ黒であっても白となる」とね。
だから僕様の華麗な逆転勝利だって、ありえなく……

「大変だし!!」

「「「「ッ!?」」」」

突然入って来たのは、伸ばした金髪の髪を頭の後頭部上部で丸くまとめあげている、黄色いレモン柄のパジャマを着たレディでした。
 
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