ヘタリア大帝国
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122部分:TURN12 ノルウェー星域会戦その六
TURN12 ノルウェー星域会戦その六
「いつものこと。それで」
「ああ、それで。何だ?」
「俺の料理どだ」
何気にだ。スウェーデンはイギリスの皿に自分が作った料理を乗せてきた。鮭や肉、それに野菜をあっさりと料理したものだ。それを乗せてきたのだ。
「食ってみれ」
「ああ、悪いな」
「食え。そして力をつけろ」
「そうだな。戦いに向けてな」
「それで味はどだ」
スモークサーモンを食べたイギリスにだ。スウェーデンはまた尋ねた。
「美味いか」
「んっ、美味いんじゃないのか?」
何でもないといった顔でだ。イギリスはスウェーデンに返した。
「この海老もな。いいな」
「そか。ならいい」
「ああ。しかし北欧連合っていつもこんなに豪勢なんだな」
自分の皿の上の、そしてテーブルの上の北欧連合王国の料理を見ながらだ。イギリスは言った。
「凄いな、こんなに贅沢でな」
「あの、まさか」
「そだな」
イギリスの今の言葉を聞いてだ。フィンランドとノルウェーは。
それぞれ顔を見合わせてだ。こう小声で囁きだした。
「僕達普通の家庭料理ばかりにしたんですが」
「その方が親睦が深まると思って」
「量はともかく種類や味が豪勢だと仰ってるみたいですが」
「イギリスの料理事情は本当に酷い」
「それは間違いないみたいですね」
「心配になった」
二人から見てもだった。イギリスの料理事情は心配されるものだった。だがそれは彼だけのことではなくだ。ドクツ軍ではというと。
マンシュタインは茹でたジャガイモに黒パン、それとソーセージとザワークラフトを食べていた。確かに量は多く山の様に彼の前に積まれている。
しかし至って質素だ。味付けも簡素だ。それを食べている彼にだ。共に同じ食事を摂る士官達が尋ねた。
「元帥閣下でも、ですか」
「我々と同じ食事ですか」
「それで宜しいのですね」
「何か問題があるか」
そのソーセージを食べながらだ。マンシュタインは士官達に返した。場所は士官室だ。彼等はその部屋のテーブルに着いてそれで食べているのだ。
その中でだ。マンシュタインは重厚な声で言ったのである。
「この料理で」
「いえ、質素だと思いまして」
「元帥閣下の食事としては」
「この前まではだ」
どうだったかと。マンシュタインはドクツの過去の話をはじめた。
「諸君達も覚えている筈だ」
「はい、このジャガイモのしろパンにしろ」
「ましてやソーセージもです」
「碌にありませんでした」
「国民は皆餓えていました」
「その通りだ。我々は餓えていた」
宇宙の時代でありあらゆる技術が発展してだ。既に餓えなぞというものは人類社会において克服されていた。だがそれでもだったのだ。
彼等は餓えの中にあった。それは何故かというと。
「エイリスとオフランスにだ」
「まさにレモンの種まで搾り取られていました」
「あの天文学的な賠償金により」
「ルールを占領されたこともあります」
「我々は確かに敗れた」
一次大戦にだ。これがそもそものはじまりだった。
「だが。敗戦だけならだ」
「まだ大丈夫でした」
「餓えはしませんでした」
「しかし。あの賠償金とそれに伴う経済崩壊」
それにだ。世界恐慌も加わってだ。
「我々は餓えに追い込まれた」
「そしてこうしたものもですね」
「とても」
「食べられはしなかった。それを思えばだ」
マンシュタインはジャガイモをスプーンで潰して食べながらまた言った。
「今は幸せなものだ。少なくとも満腹になれる。それにだ」
「それに?」
「それにといいますと」
「我々は軍人だ」
今度はこのことから話すマンシュタインだった。
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