| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「春雪花」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

401




 立ち枯れし

  尾花にこの身を

   重ねては

 日々に想いて

    わが身恨めし



 立ち枯れた芒を風が倒さんと吹き付ける…。

 そんな芒を見るたびに、歳を経た自分の身を重ねて…何とも虚しくなる。

 それでも、その日々の中で彼を愛しく想い続ける自分に…今度は恨めしくさえ思ってしまうのだ…。


 なぜ私は生まれ…ここにいるのか…。



 風もなく

  音もなかりし

   徒浪は

 心打ちにし

   恋い焦がれつつ



 風もなく、何の音もせぬ間に静かに広がる波を徒浪と言う…。

 ならば…何の噂も聞くことが出来ず、名前さえ上がらぬ彼を想う時、心を打ち付けて止まぬ波さえもそうなのだろう…。


 ただ…心の浪は絶えることがないと言うだけだ…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧